2011/12シーズンの各テーマを振り返った会長。
ユーロコパ決勝進出の懸かったポルトガルとのイベリア決戦を前に、スペインスポーツ各紙が燃えているこの水曜日。メッシがバロンデオロ競争を制するためにも、CR7にはここでバケーションに入っていただきたいところであります。一方でカタルーニャメディアが紙面を割いているのは、サンドロ・ロセイ会長が前日に行ったシーズンを総括する会見について。ところどころで興味深い発言をしているバルサ会長なので、ちょっと取り上げてみましょう。
◇黒字は4,000万ユーロ
ミキ・ロケへの黙祷で始まったこの日の会見。サンドロ・ロセイ会長はまず、この2011/12シーズンをこんなふうにまとめました。「プロセクションが16のタイトルを獲得した昨年、私は会見で皆さんにクラブ史上最高の1年だったと言いました。そして私たちは今年、それを上回った。プロスポーツセクションで獲得したタイトルは17になります。パラウでプレーする4セクション全てがリーガを制したのは今回が初めてのこと。これはセクションの管理運営がとても上手くいっている証明といえます」
そして会長は選挙時の公約どおりに据え置いてきたソシオ・アボノ(年間指定席)の料金を今年もまた上げずにおくこと、クラブの今季の黒字額が予算(1,200万ユーロ)を大きく上回る4,000万ユーロになり、その分を負債返済に充てることを説明。現在の負債状況ではカンプノウの改修もパラウ・ブラウグラナの新築も出来ないことを合わせて話し、もし改築を行う場合には、ソシオの信を問う予定であることを語っています。
「いずれ予算の都合がつけば、私たちは2つ3つのプロジェクトを行う計画です。その際の決定は、ソシオ投票によって行います。何故ならそれは、非常に重要な決断だからです。次世代に影響することだけに、私たちはそれを全てのソシオの手で決めてほしいと思っています」
◇ペップへの感謝、ティトへのサポート
財政面と同じように、スポーツも総括する上での重要なテーマです。ロセイ会長がまず述べたのは、ペップ・グアルディオラ前監督への感謝の言葉でした。「私がまず一番に言いたいのは、ペップへの感謝です。私たちがこの4年間で勝ち取った全てのタイトルと、その勝ち取り方に感謝を伝えたい。私たちがラ・マシアの子供たちに教えたいと思っているその価値を、彼は伝えてくれたのです」
そしてこんなことも。「もしグアルディオラが会長に立候補したなら?私は彼に投票することでしょう」
しかしグアルディオラのことをいつまでも懐かしんでいても仕方がない。今はティト新時代なのです。「今の私たちにはティトがいる。私たちが彼に監督のポジションをオファーした日にティトの目から発せられていた希望は、選手たちに伝わっています。全ての選手がティト新監督を楽しみにしており、大部分のファンもまたそうだと私は信じている。成功モデルに継続性を持たせることが良い結果を生むと、私は信じて疑いません。私たちは彼を全面的にサポートしてゆきます」
◇ファンと選手たちへの誇り
会長はまた、シーズン終盤のクレたちのオトナっぷりをこう称えています。「(チャンピオンズ準決勝の)チェルシー戦において、ファンは成熟の手本を示しました。敗れたにもかかわらず、彼らは”ser
del Barça es el millor que hi ha”(バルセロニスタである以上に良いことなんてない!)の歌を歌っていた。私はボールボーイをやっていた頃から、そのようなことを一度として目にしたことはありませんでした。私たちは勝ち方も負け方もまた学んだのです」
負け方を知っているバルサ。それに絡めて、負け方というものを知らない人たちについてもロセイはちくりと物申しました。「バスケットボールチームがコパ・デル・レイ決勝で敗れた際、私たちはコートに残り、相手チーム(白組!)がトロフィーを掲げるのを見守りました」。これはバルサが白組とのプレーオフを制してリーガ優勝を決めた際、彼らがさっさとコートから姿を消したことを仄めかしての言葉です。
子供に教えるべき価値を示した、とグアルディオラを称え、ファンの成熟ぶりを称え、選手たちの潔い姿勢を称えたとなれば、自らもクラブのことを第一に考えた人間でなければならない。近頃はまたまたジョアン・ラポルタ前会長が怪気炎を上げているのですが、ロセイはそれに応戦するつもりはないと断言しています。「もし片方が争いを望まなければ、二者が争うことはないのです。そして私はそれを望まない。争いはクラブに害を為すと私は考えます。クラブを守るためには、そういった類の争いや論争に足を突っ込まないのが良いと思うのです」
◇モウリーニョへの恩赦
しかし争わないことが一番だといっても、時と場合によります。スペインフットボル連盟がジョゼ・モウリーニョのティト・ビラノバへの目潰しを不問にする可能性があるという件については、サンドロ・ロセイ会長は非常に真剣なトーンでこう宣言しました。「私たちの監督に対する暴力が罰せられないことに、私たちは一切同意しません。もしそうなるのであれば、私たちは(連盟の)担当する人物と話をする。あのような行為が処分されないことを、私たちは認めません」
「私たちは当初から、あの処分は不公正なものだと言ってきた」と強調する会長。彼はこうも続けています。「議論をすることもなく、たった一人の人物が裁定を下せることがそもそもの問題だと私たちは考えます。メッシへのピソトン(手踏みつけ)への裁定もスキャンダルなものでした」
そしてロセイ会長はもしあの目潰しが不問となった場合、クラブとして然るべき行動を起こすとも述べています。「法的な観点からはどこまで行けるのかは分かりませんが、行く必要のあるところまで行くことになるでしょう」
2011/12シーズンは、審判の判定を巡って大きな騒動の起きた年でもありました(多分にアノ男のせい)。その件に関してバルサ会長は、こうコメントしました。「審判たちはシーズン前半に不運に見舞われていて、それが私たちにネガティブな影響を与えることになりました。来シーズンは審判が判定するに際し、あまり不運のないことを願い、期待しています」
◇補強予算は4,000万ユーロ
この会見で会長は、ファンにとっての最も大きな関心事であるチーム補強についても語っています。そのなかで彼が明らかにしたのは、FCバルセロナが選手獲得のために準備している予算についてでした。「各シーズンでの私たちの投資予算は、平均4,000万ユーロとなります。しかしこれを使い切る必要はありませんし、それ以上に費やし、翌年セーブすることも可能です。結果として平均4,000万ユーロとなる必要があります」
具体的な名前に関しては、ジョルディ・アルバについては「公けにしたくはないけれど」としつつも交渉が進んでいることを認めたロセイ会長。駆け引きが続いているとされる移籍金については、「合意した金額を支払う」とのみ答えています。
前夜にバルセロナ入りが報じられ、ちょっとした騒動となったディディエ・ドログバについての質問には、「私はなにも知らない。もしここへ来ているのなら、それはバカンスでしょう」とズバッと否定した会長。最後にハビ・マルチネスについて尋ねられると、こう答えました。「もし私たちが彼に興味を抱いていたとしても、あなたたちにそれを伝えることはありません。興味がないとしてもそれは同じです。もしコメントをすれば、当該選手、あるいは別の選手の価格上昇に使われることでしょう。それはバルサにとって良くない影響を与えることになります」
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