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アルベス劇場

現時点では残留はない、とラテラル。

この5月25日はバルセロナとマドリーでそれぞれに記者会見が開かれました。ひとつはダニ・アルベスによる不満ぶちまけ会見、もうひとつがフロレンティノ・ペレスによる監督解任会見です。このアルベス会見はいろんな意味でスペクタクルだったのですが、結局のところこのタイミングでの会見実施がなんの為だったのかはよく分からず、彼の状況に同情はしても強い共感や支持が得られたかといえばそうでもありません。今は三冠への挑戦を控えたチームにとって非常に大事な時ですから、あと2週間我慢してほしかったところ。これでは大きな貢献を残した選手が、またも裏口から去ることにもなりかねません。

自分を守るために会見室に来た

先週金曜、チャビ・エルナンデスが24年間過ごしたクラブをこの夏で去ると発表した翌日、メディアに今度はダニ・アルベスが会見を開くぞというニュースが流れました。いったいこのタイミングでなにを発表するというのか?おそらくは退団を表明するものと思われるが、そうだとしてもよく分からない。その奇妙な注目を集めた記者会見で右ラテラルが語ったのは、クラブ理事会やらメディアに対する不満・不信でした。チーム以外の敵対者にがぶがぶと噛み付き、最後は歌って締める。シウター・エスポルティーバの会見室はアルベス劇場となりました。

ダニ・アルベスが最も噛み付いたのは、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長率いる理事会でした。冒頭でチャンピオンズ決勝へと辿り着いた喜びを語ったラテラルは、続けて自身の去就についてこう話しています。それぞれが各質問に対する答えです。

来季も残留するかどうかは不明だよ。ただこれから先にはとてつもなくステキなことが残されているし、僕には6月30日までの契約がある。僕を愛し認めてくれる人々やバルセロナのために、僕は二つの決勝戦のことだけを考えている

6月7日までは自分がFCバルセロナの選手であることや、再びカンペオンになることの味わいだけを考えていく。これまでと同じようにこのユニフォームを守っていく。僕らが再びこのクラブで歴史を作れれば好いね。決断については、その後でみなさんに伝えるよ。契約がある間は僕はバルサの選手だ。僕の未来は今なんだ」

決断はまだしていない。選択肢は幾つかあるけれど、チャンピオンズ決勝が終わってから決めることにするさ。今は自分の気を逸らしたくない」

ここへ話をしに出てきたのは、自分への敬意を欠くことが多く語られていたからだ。僕は今年、多くのバカげた話を耳にしながら、たくさんのことに耐えてきたよ。ピッチで答えるのが筋だと思ったから、話をしに来たくはなかった。でも僕にも限界はあるからね。その限界に達したなら、言われていることから自分を守るために出なければならない。彼ら(メディア)は僕がお金のことを考えているというけれど、僕が考えているのは自分のすることを評価されたいということだ。このクラブのためにすること、してきたことの価値を下げられるのは受け入れられない。相当な努力を必要とされたのだから、そこを許すことはないよ。クラブは僕を評価してこなかった

メディアに対して怒っているコメントが、途中からクラブへと矛先が変わっています。このあたりから雲行きは怪しくなっていきました。

お金ではなく敬意の問題

何故クラブはアルベスを評価してないと感じるのか。理事会を彼はどう思っているのか。話がこじれている理由はどこにあるのか。記者さんたちの質問は続き、ラテラルは不満を語っていきます。「今僕は200%チームと共にいる。でもクラブに対しては疑問を持っているので、理事会には10%だと思う。ここへきて、自分のことだけを考えて騒動を起こすことはできない。重要なファイナルを前にそういうことをしないほどには僕は十分に成熟しているし、知性もあるさ

僕はいつも、バルサに残りたいと言ってきた。でもそれは、なんとしても(どんな値段でも)、というわけじゃない。お金のことは言ってない。僕が言っているのは敬意のことだ。僕がこのクラブのためにしてきたことは、僕のポジションの誰一人としてやってこなかったことだ。それでもしクラブが僕に敬意を持たないのであれば、別の場所を探すことになるだろう

僕にとってお金は問題じゃない。僕は自分がプロフェッショナルだと信じている。問題はまた別のところにあるんだ。クラブを脅しているとは感じていないよ。僕はただ自分を守っているだけだ」

「申し訳ないけど、MARCAの質問には答えない。ゴミだから」「CUATROは僕らがリーガ優勝したことより、マドリーのデシマのことを話していた1年前のことなのに!恥ずかしかったよ」

今のところ、状況は去年の6月30日と同じだよ。僕は会長と話をして、彼に残留のために正当であろうと思う情報を伝えた。クラブはそれを適切ではないと考えているんだ。クラブが僕の残留を望んだのは3ヶ月ほど前からだったよ。それは僕のパフォーマンスが向上したからのようだけど、僕はこのクラブに7年前からいるわけでね。人生ではバランスが重要。僕が望むのは10になることではなく、7-8になることだ。最高の日もあれば、最悪の日だってある。でもこのクラブではタイトルを得られなかった時は誰かがターゲットとなるし、僕はツイてるよ」

今のバルサは選択肢の一つ

理事会に対して不満を持っているのは分かるのだけれど、「礼儀の点から、会長と話したことの詳細は公表はしない。僕が興味を持つものでもなかったし、あなたたちもそうだと思うよ」ということなので、アルベスがどこにどう怒っているのかは分かりません。ただ彼が強調するのは、「クラブは僕を評価してない」ということで、クラブは何故あなたを評価しないのか?との問いにも、ラテラルは「僕にだってそれが分からないし、理解できない。自分が率直な人間だから難しいやつだってのは知っているよ。ただそれを受け入れる気のない人たちもいる」とのことです。

ではもしアンドニ・スビサレッタが間に入れば事情は違っていただろうか、との質問にも、そうは思わないとダニは言います。「スポーツディレクターがいることで状況が改善できたとも思わないよ。ディレクターのいた頃からこうだったんだ。クラブは僕との契約延長を望まず、僕は軽視されていると感じた。それで時間が過ぎて、物事は改善し、僕には幾つかの選択肢ができた。今のバルサはその幾つかのうちのひとつだ」

ではルイス・エンリケレオ・メッシの後押しでなんとか解決しないものか、との問いにも、「彼らに仲裁してほしくはないんだ。彼らは自分たちの仕事をすべきだし、仕事はもう十分たくさん抱えてるからね。自分はこのクラブに残るための十分な功績は残していると考えていて、誰かにそれを理事会に伝えてもらう必要があるとも思わない。もしバルサを去ることになっても、なにも起こりはしないさ。バルサはいつまでも僕の心にあるだろう」

そして敬意を欠いているのは具体的には誰か?との質問には、「クラブの人たち、僕の背後で僕のことを話している理事たちだ」と言い、「僕は多くを与えてきたここバルサよりも、外部で評価されてる」と語ったアルベスは、FIFAの処分によって理事会が方針を変更したことについては次のように考えを述べました。「半年前、彼らは僕との契約延長を望んでいなかった。FIFAの処分が分かるまではね。そして今彼らは僕との契約延長を望んでいるけれど、どうしてもということじゃない。僕は自分を高く評価しているんだ」

自分がこのクラブに欠かせない人間と思ったことは一度もなかったよ。モンティやドグラスがいたから僕は向上したし、彼らには感謝をしている。ミスターは僕が男前だから起用しているわけじゃない。男前はそうなんだけど、僕はポジションを得るためにハードワークしてきた」

片足と体、頭はクラブの外にある

40数分に及んだ長い記者会見もそろそろ終盤へと入っていきます。最終決断を下すのに、夏の会長選挙の結果を待つか、との質問には、「そうは待たないだろう。チャンピオンズ決勝が終わった後、自分がどうするのかを決めるよ。自分の将来をコントロールするのは僕だ」と回答したバルサの22番。このようなアルベス流が自らを傷つけているか、との問いには「知らない。もし自分を害していたとしても、どっちだっていいさ。僕はこうしか生きられない」と述べ、現時点ではバルサ残留は却下されていますか?と訊ねられた彼の答えはこうでした。

現時点では、そうだね。僕がバルサに残るために何をしなければならないかは、会長が知っている。もし彼がそれをするならグッドだし、しないのならばノーグッドさ。僕の2本の足のうち、片足と体、頭もほぼクラブの外に出ている。チームの中には両足とも入っているけれどね

そしてアルベスはチャビを絶賛し(「プロとしてどう振舞うべきか、いつも教えてくれた。彼のような歴史的な人が去るなんて奇妙だよ。いつまでも残っておくべきだった」)、ユベントスを警戒した後(「彼らには注意が必要。偶然ではファイナルへは勝ち勧めない」)、会見は終了。最後はある記者さんの誘いに乗っかり、サヨナラの場面でよく用いられるという有名な歌(別れを言うにはまだ早い)を歌って閉会になるという、奇妙なことになっています^^; まさにダニ・アルベスが言いたいことを言い、やりたいように会見したアルベス劇場といったところです。

 

この爆弾投下によって、バルトメウ理事会が「悪かった、ダニ。考え直すから是非とも来季もクラブに残ってくれ」と言うかといえば、ちょっと考えにくいのが現実でしょう。むしろこの二つの決勝戦に向けてバルサが一丸となっていくべき時に、なにをしてくれとんねん、というところか。仮に怒りをぶちまけるとしても、6月8日まで待ってくれよと。会見の序盤はまだ、二つのファイナルのことだけを考えている、と事を荒立てずにコメントをしていたダニでしたが、喋っているうちに熱くなってきたのか、次第に言葉はヒートアップしていきました。おそらくはロッカールームで会見を見つめていたであろうカピタンチャビも、おいおい最後にまた騒動かよ、とため息をついたかもしれません。

ということで、結局なんだったのかというアルベス劇場。“自分に敬意を欠く報道がいくつもあり、それは我慢できない。真実は6月7日以降に話す”、とだけ言って終わっていればまだ良かったでしょうが、チームの平穏を乱すような発言の数々はあきません。いかにもアルベスっぽいのですけど、さすがにこの時期に暴走するのはねぇ。。散々放置プレーをされた彼の理事会への怒りや不信はよく分かる。バルトメウ理事会の功労者であるダニへの扱いはひどい。それでもチーム>選手ですから、もうちょっと待ってほしかったところです。この記者会見から数時間後、郊外のレストランで開かれたという団結のための食事会はどんな様子だったんでしょうかね。

そしてベルリンから戻った後の発表はどうなりますやら。。ダニ・アルベスはこれまでの貢献度からいって表門から気持ちよく送り出されるに相応しい選手ですので、2年後であれ今夏であれ、そんなサヨナラになってほしいのですが、この感じでは難しいでしょうか。なんにせよ騒動はさっさと終わらせ(そっち方面は白組さんに任せ)、明日からはコパ決勝に集中です!

 

コメント

  1. レト より:

    今回の会見が感情的に過ぎたことは否定できませんが、
    (三冠ムードの追い風はあるにせよ)現フロントはクレに支持されていない現状ですから
    今回のフロント批判はむしろ支持する人が多いかもしれません。
    そもそも、アドリアーノやモントーヤは正直、力不足ですし、
    アウベスの年齢を考えても出ていかれるのはやっぱり厳しいでしょう。
    現状、フロントが続投できる見込みは薄いですし、フロント側に折れてもらうしかないんじゃないでしょうか。

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