監督はスペースを活かせた事とチームの姿勢を高評価。
初訪問となったレガネスのエスタディオ・ムニシパル・ブタルケで、1-5のマニータ勝利を収めたFCバルセロナ。スコアを見れば楽々の快勝、昇格チーム相手の王者の完勝ですが、南米トリデンテの決定力が爆発した結果につき、バルセロニスタの満足感が高いかといえばそうでもありません。今回のレガネス戦での大きな話題は、ルイス・エンリケが試みたシステム3-4-3です。前節アラベス戦ではFIFAウイルスに対処するため大幅なメンバー入替をして黒星。今節はメンバーは主力中心ですがシステム変更と、就任3年目のルーチョは昇格組を相手にあれこれ積極的に試しています。
打ち合い上等プラン
ブタルケでルイス・エンリケが試みたのは、攻撃時にはジョルディ・アルバが中盤に位置する3-4-3システムでした。最終ラインは右からマスチェラーノ、ピケ、ウンティティの3人。中盤は右からラフィーニャ、ラキティッチ、イニエスタ、アルバが横並びとなり、前線はいつものメッシ&スアレス&ネイマールの最強3人組がレガネスのゴールを狙いました。
一方、相手チームが攻撃を仕掛けてきた際はジョルディ・アルバがラテラルに入る4バックへとスライド。マスチェラーノが右ラテラルを務めています。やり慣れないポジションとスピードあるマチスへの対応に、ヘフェシートは四苦八苦といった様子でした。それで一度は大ピンチも招きましたが、さすがにそれでマスチェを責めることは出来ません。
アラベス戦終了後は、相手が5バックできたのは予想外だったと認めていたルイス・エンリケですが、今回は守備的にくると予想されていたレガネスが、ハイプレスをかけてきたのは意外だった旨のコメントはありません。「3対3での守備は上手くいった。改善は必要だが、私はこのプランニングが好きだった」、「私たちは立ち上がりから非常にインスピレーションがあり、積極的だった。もしチームが眠っていれば、私たちはもっと苦しんでいただろう」と、狙った策が上手くいったと説明しています。
つまり選手たちには3バックで緊張感を持たせつつ、レガネスが前に出てくるのであれば背後のスペースをトリデンテで撃つ。殴り合い上等。実際バルサはラインを上げてくるチームはトリデンテパワーで打ち負かしていますし、レガネスもまた例外ではありませんでした。監督はまた「リスクはあったが、私は選手たちがリスクを取り、立ち向かうのが好きなんだ」とも述べています。
3バックにしても、「他の試合でも攻撃時は何度も3バックでプレーしている。ピボーテがセントラルの間に入るか、最初からセントラル3人でプレーするかの違いはあるが、奇妙なことはなかった」とのことです。
ルイス・エンリケ3.0
また、選手起用面でもルイス・エンリケの変化は感じられます。水曜日に控えるアトレティコ・マドリー戦を考慮してセルヒオ・ブスケツ(トラブル発生中?)とセルジ・ロベルトを招集リストから外し、試合中の交代でも56分にしてルイス・スアレスをお役御免に。スコアは0-4ですでに勝負は決していましたが、休ませるべき時にはトリデンテも休ませ、パコ・アルカセルに適応の機会を与える采配は新しいです。スアレスの代役としてのアルカセルであり、そのための獲得だったことがよく示されています。
昨シーズンの終盤、いわゆる“真実の時”にガス欠になりタイトル獲得に黄信号が灯った事実を、テクニコと選手たちは反省し教訓にしたのでしょう。控え層を分厚くするべく積極的に若手実力派たちを獲得し、彼らを積極的に起用してシーズン後半に備えようとしている。この交代にはルイス・スアレスも試合後、「僕らも人間だし、身体には休みが必要だからね、僕もみんなもそれを理解してるよ」と賛同をしています。
セルジ・ロベルトを休ませるための案が3バックとなれば、アレイシ・ビダルはどうなるとは思いますが… ルイス・エンリケがこれからも積極的にメンバーをやり繰りするのは確実でしょう。時には失敗もあるとして、新たな挑戦自体は好ましいことです。
ピケ「攻撃面で恩恵がある」
とはいえ3-4-3は見ていてフラストレーションが溜まりました。勇気あるレガネスのハイプレッシングによって最終ラインからの組み立てに難儀し、横並びに配置された4人の中盤はパスコースを見つけられず。3バックをするにせよ、もっと安心して見られるようになるには、選手配置などを練りこまなければなりません。ボールを受ければ卓越した技と広い視野によって相手守備網を破壊してしまうトリデンテはもう流石なのですが。
ジェラール・ピケは3-4-3に関し、試合終了後にバルサTVに対して次のように見解を示しました。「レガネスはかなり攻撃的な試合を計画してきたし、彼らの背後には大きなスペースがあった。前線の3人はそれを上手く利用したね。彼らはすごく速くてと得点力があるし、今回もそれを証明して見せた。レガネスのプレッシングと、新しい守備ラインによって僕らは少しばかり苦しんだけれど、僕らはバルサだからそういったリスクは受け入れないとね」
「守備ラインが1人少なくなることで僕らはよりむき出しとなり、相手の得点チャンスは増えるけれど、それと同時に攻撃面においては僕らは恩恵を受けることになる」
「僕らはいつも勝たなければならないけれど、時々は負けることもあるよ。そして負けた時にすべきなのは頭を高く上げることで、チームはそれをやったんだ。セルティック戦でも今日の試合でも、僕らはこのチームがすごく良い流れにあることを示した。アラベス戦のことはもう忘れたよ。これからはアトレティコ戦に集中しないとね」
ということで、今回もまたトリデンテ、とりわけレガネスの最終ラインを幾度となく破ったレオ・メッシのパス・ドリブルはお見事でした。アトレティコ戦が直後に控える状況での昇格組との対戦はうっかりを生みがちですし、慣れない13時開始での敵地戦でマニータ勝利ですから、良いことではないですか。チーム状況から監督は効率的に勝つことを優先し、チームはしっかり結果を出した。アトレティコ戦ではまたいつものバルサがファンに喜びをもたらしてくれることでしょう。
コメント
今回のシステムがロベルトやブスケツを休ませる狙いもあったとすればビダルはもう見限られてるんでしょうね。
改善の意思が見られず完全に足を引っ張ってしまっているのでそれも仕方ないと思いますが。