ブレイク前の若手に投資し、価値を上げてから売る
この2日間ほど、SPORT紙が大きく扱っているのがルーカス・パケタ(21)です。またもや登場、南米の若手選手のウワサ。どうやらバルサさん、あちらで宝石の原石を獲り、それを高く売るビジネスを新しい柱にする目論見のようです。
南米直輸入の黒歴史
この転売ビジネスについて説明しているのは、9月11日のSPORT紙です。
FCバルセロナの南米直輸入選手というと、以前は失敗のイメージしかありませんでした。
順番に挙げていきますと、
ドグラス(2014年、サンパウロ)
ケイリソン(2009年、パルメイラス)
エンリケ(2008年、パルメイラス)。
もっと遡ればマキシ・ロペス(2005年冬、リーベル)。
背番号さえ与えられずに去ったエンリケはなんだったのでしょう。
監督との相性が悪かったとはいえ、クラック候補だったファン・ロマン・リケルメ(2002年、ボカ・ジュニオールズ)も、ハビエル・サビオラ(2001年、リーベル)も成功には遠く。
ロッチェンバック(2001年、インテルナシオナル)
ジェオバンニ(2001年、クルゼイロ)
ロベルト・ボナノ(2001年、リーベル)
も黒歴史にその名を刻んでいます。
ボカ・ジュニオールズから移籍したディエゴ・マラドーナもいますが、ちょっと時代が違いすぎる。
なのでバルセロナで成功した南米直輸入選手といえばやはりネイマールです。
レオ・メッシ、ルイス・スアレスとMSNトリデンテを形成し、多額のユーロをクラブに残しもした。
南米選手の転売ビジネスは、この経験が大きなポイントとなったようです。
道を拓いたネイマール
SPORT紙によると、このPSGの2億2,200万ユーロ支払いによるネイマールの引き抜きは、バルサが選手獲得戦略を変更させる重要なきっかけとなりました。
思い知らされた、富豪クラブのマネーパワー。
と同時にバルサは、ヨーロッパ経験がなかろうとも将来性のある年米選手なら、後々に高額で売れる可能性があるという事実を実体験として知ったわけです。
そしてバルサは次々に南米の若手選手たちと契約(マルロン、ジェリー・ミナ、アルトゥール)。
500万ユーロで獲得したマルロンはサッスオロに600万ユーロで、1,200万ユーロ費やしたジェリー・ミナはエバートンに3,000万ユーロで移籍させています。
このジェリー・ミナが予想以上の金額で売れ(てしまっ)たこと。
これもバルサ理事会に何匹目かのドジョウを期待させる要因になったと推察して間違いないでしょう。
ぼろい商売だと考えていたりして。
富豪クラブには対抗できない
南米から期待される若手を連れてきて、数年後に高く売る。
これはヨーロッパの中堅クラブによく見られるビジネスモデルですが、バルサもまたやり始めた理由は、富豪クラブのマネーパワーとまともに勝負しても勝ち目がないからだとSPORTはいいます。
ウスマン・デンベレに1億500万ユーロだ、フィリペ・コウチーニョに1億2,000万ユーロだと札束を投じているバルサ。しかしこれはネイマールマネーがあったからこそで、元々の年間補強予算は5~6,000万ユーロほどです。選手売却による収入がなければ、メガクラック級との契約は難しい。
そこで、ブレイク前の南米選手と契約する。
この先は3つのパターンがあります。
- ①期待の活躍でトップチームの戦力に
- ②期待されたほどではないけれど、インパクトを残した選手は買い手が付きやすい
- ③さっぱり成果を残せず、“不良在庫”となって安値で移籍
以前の南米直輸入といえば③ばかりだったのが、最近はスカウトが上手くいっているのか、①と②になるケースが増えている。
SPORTが新たに注目を始めたルーカス・パケタなる若者も、きっと①か②になる可能性が高いのでしょう。
(ただしフラメンゴとの契約更新をして解約解除金が7,000万ユーロに上がれば、簡単には手を出せない。PSGも本気でパケタを狙っている模様)
さて、このモデルは上手くいき続けますかどうか。
ボトルネックとなるのは、非EU選手登録枠です。
このニュースのまとめ
- ・失敗続きだったバルサの南米直輸入
- ・ネイマールから様子が変化した
- ・マルロン、ジェリー・ミナも利益を上げ、次なる選手も狙う
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