マーケット最終日まで、去就が注目されたクロアチア人セントロカンピスタ
残留となったものの、与えられる役割も取り巻く空気も昨季までとは大きく異なるだろう
2019年夏の移籍マーケットが閉じました。バルサ関連では、うんざりを極めた長編メロドラマ/ネイマールケースがようやく終了(ただしセカンドシーズンがすぐ開始)。放出か残留かで注目されたイバン・ラキティッチはクラブに残ることとなりました。ラフィーニャは契約延長を受け入れ、“故郷”セルタへとレンタル移籍です。
日本では根強い人気があり、放出なんてあり得ない派が多数のラキティッチさんですが、現地バルセロナ界隈では必ずしもそうではありません。もはやチームに彼は不要で今が売り時だと考える人たちは、一定数存在しています。
残留は決まったものの、ラキティッチを取り巻く空気はこれまでとは異なっていくでしょう。
ここまでの3試合で、出場は45分のみ
これまでのエルネスト・バルベルデの選手起用には、ある“異変”が起こっています。
公式戦3試合にイバン・ラキティッチが一度も先発で起用されず、ここまでの出場時間はアスレティック戦後半の45分のみ。
昨シーズンまでの重用のされ方からすれば、これはもう事件と言えるくらいの変化です。
考えられる理由は、
クラブがラキティッチを売りたがっていること(移籍対象はベンチ生活が主流)。
そしてバルベルデが方向転換を目指していること(哲学への原点回帰。希望的推測)。
マーケットオープン時のラキティッチの起用法を見れば、監督とクラブは“共謀関係”にあったと考えられます。マーケットの土壇場で移籍の可能性がある(かもしれない)ラキティッチを、フレンキーやカンテラーノに賭けたいバルベルデは是非とも使う理由もなかった。そこでベンチで“凍り漬けにされた”というわけです。
移籍しないと今季はこうなるぞ、と彼に示しつつ。
そして夏の間バルサ残留を強調し続けてきたラキティッチも、そういった状況に嫌気がさし、パンプローナから戻るとクラブにユベントスの提案を聞くよう求めた、とMD紙のミゲル・リコ副編集長は述べています。
(しかしユーベの出した交換条件は、バルサの受け入れられるものではなかった)
バルベルデがなにを目指しているか
バルベルデがシーズン開幕からフレンキー・デ・ヨングを起用し続けたのを見て、ワタクシ、この感じではラキティッチは移籍する方が幸せかもしれないと考えるようになってきました。
マーケットを考慮してバルベルデがラキティッチを使わなかったのであれば、パロン(リーグ中断)明けからは出場時間が増えるかもしれないのですが、本気で原点回帰を目指しているのであれば、ラキティッチの特徴はバルサのDNAとはまた異なるものですから。
異質な選手枠は、アルトゥロ・ビダルで足りてますし。
ただ、今夏に去った方がお互いの利益のためかも・・・というのは頭では理解しても、ネイマール作戦なんぞに含まれて裏門から出ていくのは見たくなかった。
前線のクラックたちが輝くために自らは黒子に徹し、もくもくと汗を流し続けてきた彼が、雑な扱いでクラブから出されるのは切なく腹立たしいことです。その点では残留は嬉しい結果でした。
ラキティッチのバルサでの残り時間が長くないのは現実として、退団は新世代との健全な競争に敗れた結果であってほしいし、表門から見送られての退団であってほしい。さてどうなるか。
ベンチでの凍り漬けが続いていく可能性も含め、とりあえずは冬までの成り行きを見ていくことになります。
爆弾とはいかずとも、あれこれ言われ続けるであろう、先行き不透明なラキティッチ残留です。
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