コロナウイルス危機で補強資金は不足し、人気株の選手を売らなければ厳しい
膨らみ続けているサラリー総額の削減も避けられない問題
バルサの強化技術部門にとって、適切な補強と共に重要になるのが選手の放出オペレーションです。「買う前に売らなければならない」はマーケット開幕時によく見られるフレーズで、毎回ムリめな補強を目論むバルサは、選手の保有権売却による収入が生命線。コロナウイルス危機でキャッシュが枯渇する今夏は特に、スカッドの若返りや給与額削減のためにも放出が重要となります。
レンタル終了組をどうする
5月21日版MDによると、FCバルセロナのファーストチームはこの夏に35名もの選手を抱えることになります。現時点では19名です。
この35名という数字は、現在セティエンチームとトレーニングをしているフィリアル(Bチーム)の6選手も可能性として数えているので“盛った”ものではあります。しかしレンタル先から戻ってくる選手が7名もいるので、上手な決断をしなければならないのは確かです。
レンタル期間が終了して戻ってくるであろうのは、コウチーニョ、ジャンクレール・トディボ、ムッサ・ワゲ、ラフィーニャ、カルラス・アラニャー、ファン・ミランダ、オリオル・ブスケツ。
ひょっとしたらスカッドに残りそうな選手もいますし、移籍濃厚な名前もありますな。特に人気株となったトディボ。正確にはペドリもレンタルバックですが、バルサに残ってもBチームなのでここではノーカウントとします。
新加入ではトリンカオ(ブラガ)とマテウス・フェルナンデス(バジャドリー)がすでに決まっています。
高給取りの外様ベテランは売りたい
スカッドが高齢化し、給与総額が危険水域にまで膨らんでいるバルサにおいて、ポイントとなるのはスカッドの若返りと高額年俸選手の放出です。
つまりは、非カンテラーノで三十路を越えた選手はできるだけ売りたい。該当するのはアルトゥロ・ビダルとイバン・ラキティッチですね。どちらも2021年6月でクラブとの契約が終了するので、良い移籍金を得るならこの夏が最後の機会。ルイス・スアレスはまだ外せません。
5月20日版SPORTは、定評あるウェブサイト Transfermarkt のデータを引用し、アルトゥロ・ビダルの市場評価額が1,100万ユーロ、イバン・ラキティッチは2,000万ユーロだと紹介しています。
バルサは彼らを両方移籍させたいでしょうし、それが前提でのピアニッチ獲得なんでしょうが、思惑通りに行くかといえば、さて。
ちなみに Transfermarkt は選手の詳細な出場データも掲載されているので、よくお世話になっているサイトです。
良いオファーが届けば放出を阻まない
より高額での移籍金収入が期待できるのは、旬な年齢の選手です。
放出可能のシールが貼られた選手では、ネルソン・セメド、ジュニオル・フィルポ、サムエル・ウンティティ、それにラフィーニャとSPORTによるとカルラス・アラニャー。
もし彼らに市場評価額に準じたオファーが届くのであれば、クラブは放出を阻まない、とSPORTは報じています。
では市場評価額がいかなるものかというと、前述の Transfermarkt によるとセメドが3,200万ユーロ、ジュニオルが2,000万ユーロ、ウンティティが3,200万ユーロ、アラニャーが1,800万ユーロ、そしてラフィーニャが950万ユーロと。
彼らと共にビダルとラキティッチも評価額で売れれば、バルサは1億4,000万ユーロの収入を得る(キャッシュを得られずとも、トレード作戦に入って同等の評価ならOK)というのが、SPORTの取らぬ狸の皮算用です。そんなに上手くはいかないでしょうね。。
カンテラーノへの入れ替えが望まれる
コウチーニョにはもっと移籍金が付くでしょうが、バルサは1億ユーロを回収しようとしているようなので、今夏は売らずに残留になりそうな気配です。クラブはグリーズマンにもあと1シーズンは機会を与えることにしたとバルサ系各紙は見ています。
いずれにしても、スカッドの若返り&サラリー総額削減をバルサは避けて通れない。
この両方を満たす最良の方法がカンテラーノたちへの入れ換えにつき、失敗したガラクティコ路線からの修正を強化技術部には取り組んでほしいです。ただし時間はかかる。
マドリーの“カルテラ”(財布)にバルサは到底対抗できないので、カンテラで対抗するのが10年くらい前までの定説だった。それがいつしか毎年補強に1億ユーロ以上を平気で使うようになり、もはや持続不能なところへと来ています。コロナウイルスによる経営危機が、戦略見直しのきっかけになれば。
(ネイマールは獲得のための“実弾”をバルサが用意できそうにないので、ここへきて鎮火の気配)
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