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「カピタンたちは状況が劇的だと理解した」:ラポルタの発言を浅く深堀り

減給に関し、ピケに感謝を表すバルサ会長
夏の補強やメッシ退団、クラブの株式会社化などについて語った

今週月曜(8月16日)の2時間にも及んだ記者会見において、前会長ジュゼップ・マリア・バルトメウに対して徹底的な反論を行ったジョアン・ラポルタFCバルセロナ会長。そのなかでジャン会長はクラブ運営に関するいくつか重要テーマについても見解を述べており、そこを見ればこれから実施されるであろう政策が分かる。

昨日の記事ではバルトへの反撃で終わってしまったので、今回はそれ以外の部分を取り上げてみます。

ピケの減給に他選手が続くことを期待する

まずは最近のホットワードであるカピタンたちの給与減額に関してです。
先週末にはジェラール・ピケが先陣を切って給与カットに応じ、それによって新加入選手2人のラ・リーガ出場登録が可能となったバルセロナ。どんだけカピタン頼みやねんと悲しくもなりますが、近日中にはセルヒオ・ブスケツジョルディ・アルバ、そしてセルジ・ロベルトも減給された契約書にサインをすることでしょう。

その前日に記者会見を行ったジョルディ・アルバが、給与減額については会長に訊ねてほしいと言った件に対して、会長はちゃんとリアクションしています。記者が逃さずに訊ねますからね。ラポルタの説明はこうです。

ジェラール・ピケとの給与減額が解決したことに満足しているし、彼には感謝をしている。いくつかの瞬間において、選手以上となる選手たちがいるんだ。ピケは何よりもバルサを愛するクラブ一筋の選手で、私たちが困難な状況にあると見た。彼は誰もが出来るわけではない立派な行いをし、それは称賛に値するよ。クンの件はまだ解決していないので、カピタンたちがピケに続くことを期待している。彼らとの交渉は順調で、彼らは皆非常に良い振る舞いをしている」

ジョルディは正しいよ。彼の代理人に連絡をしたのは5月25日だった。その後、彼自身には7月8日に手紙を送っている。彼にはいま、給与支払いの遅延とは別のもう一つの努力を求めているところだ。カピタンたちはクラブの状況を知り、そしてそれが劇的であるとの結論に達した。この手の決定が必要なんだ。近日中に私たちは合意に達するだろう。そして可能な時に、私たちは返報をしていく」

支払いの遅延あるいはタイトル獲得ボーナスの削減を考えている。スカッド全体(の給与体系)を再編していこうと考えているところだ。彼らは最初、驚いていた。2019/20シーズンにCOVIDによってすでに3,900万ユーロ分の給与を下げていたのに、いま別の努力を求めているからだ。それを好むものはいないさ。しかしクラブの状況を彼らは理解した。まずはカピタンたちで解決を試み、それからスカッド全体へと移していくだろう」

いずれはスカッド全体で給与体系を整えていくとして、クン・アグエロの登録はまだカピタンズのご奉仕次第であるのが分かります。そしてクラブは余裕ができた時にカピタンズになにかしらの褒美を与える考えのようです。

スター選手の放出はなさそう

続きまして、夏マーケットに関してです。バルサはここまで、バルトメウ時代に進めていた補強プランを継続して4選手を加入させています。ラポルタたちが選び、連れてきた選手はまだいない。残り2週間となったマーケットで、動く可能性はあると会長は言います。

メッシが去ったことで、給与を2億ユーロ減額するという目標は変化した。私たちはラ・マシアに賭けていくだろう。それによって私たちが望む形になれるからだ。監督やスポーツ部門が構想外とする選手を除き、高い市場価値を持った選手たちの売却は考えていない。すでにその考えで動いているが、こういうマーケットでもあるし、レンタルもしくはトレードが成立する可能性はある。しかし私たちが重要な選手を手放すことはないだろう」

「給与上限は、予算に基づいている。最初の損失計算では、ラ・リーガは私たちに8,800万ユーロの新規登録を許していただろう。しかし4億8,100万ユーロの損失額では、余裕は少なくなる。ここには1/4ルールがあり、1億ユーロの給与を空ければ2,500万ユーロの登録が許される。ピケの場合は、先発レギュラーの云々で(ごめんなさい、意味理解できず)比率は1/2となっている。それによって(メンフィスらを)登録できたよ。あとは売った選手の分だ」

「私たちが限られた状況なのは、キミたち(記者)も知っているところだ。1/4ルールに従い、解放した金額の1/4しか新契約に使えない。とはいえマーケットは8月31日まで開いており、まだ可能性はある。ラ・リーガとCVCの合意後、資金力のあるクラブたちから提案は届くかもしれないしね。選手を入れるためには、出す必要があることはクーマンも分かっている。私にとって重要なのは、スカッドがしっかり働き、貢献していることなんだ。いまのスカッドに私たちは満足している」

2億ユーロの給与減額目標が不可能に近いミッションだったので、メッシが去ることで解決したと解釈するのは意地悪でしょうか。以前ラポルタは「私たちの計算では、新加入選手たちは登録できるだろう」と言っていましたが、メッシ残留を前提にいったいどういう計算だったのか詳しく聞いてみたい。下に一応経緯の説明があるのですが、見込み違いで放出へと路線変更と受け取ってOKなんでしょうか。。

サラリー上限を超えているバルサにはまだ、ラ・リーガの1/4ルールが適応されています。となるとラポルタが説明したように、控え選手たち(トリンカオジュニオルアラニャー)放出による移籍金と彼らの給与分+ピケの減給(+メッシ退団で空く給与分)、その1/4が加入選手メンフィスエリクの給与となる。
あとはカピタンズの残り3人による減給分の1/4が、アグエロの給与に相当するということでしょうか。伝えられるところでは、セルジ・ロベルトは40%減給の新契約でサインをするそうです。

そしてメッシ退団により高給クラックを叩き売る必要はなくなり、減価償却が終わっていないスター選手は残留となった模様。彼らを今年のマーケットで手放すよりも、来年の方が高値が付く可能性は大いにあります。ウンティティピアニッチはさすがにドナドナとして、コウチーニョはどうだろうか。SPORTがオーバメヤンとの交換作戦を大きく報じる一方、MDは逆に残留で重要な役割を与えるかも(背番号10の提供すら検討)としています。もちろん安値放出を回避するための予防線かもしれません。

※バルサはコウチーニョ獲得の際にリバポーと試合出場数による出来高移籍金を設定しており、あと10試合で2,000万ユーロの追加支払いが発生する模様。

資金力で他に負けるバルサが、ラ・マシアに賭けるのは原点回帰で自然な成り行き。「カルテラ(財布)よりもカンテラ」がモットーだったあの頃を思い出すのです。メッシとペップ黄金時代でブランド力が上がり、進むべき道を誤った。今こそ、身の丈に合ったクラブ運営に戻る時か。

メッシ退団は悲しいが、必要だった

レオ・メッシ退団に関しては、正しい決断を下したとの見解をラポルタは崩していません。

「メッシの発言は、私たちの説明と一致する内容だった。私たちが契約は可能と考えたのは、前理事会の言う数字しか知らなかったからだ。私たちはラ・リーガに損失は8,900万ユーロで、努力できる額だと提出していた。私たちは楽観的だった。けれどもそれがムリだと気付いた。レオは契約が給与上限に収まるよう大きな努力をしたけれど、私たちはムリだと見た。悲劇の大きさを見た時、不可能と分かったんだ。双方が別の結末を望んでいたが、最初の意図を果たせなかったことを受け入れなければならない」

取るべき決断を取ったと確信している。メッシ退団は悲しいことだけれど、必要だったんだ。全ての上にクラブがあるのだからね。私たちは全てが非常に危険だった。状況は劇的だ。解決策はある、しかしそれは劇的だ。もしこの件が数年遅れて起こっていれば、私たちはあと1~2年メッシといれただろう。ここ数年は、期待されていたようなスポーツ的目標を達成できなかった。彼にはバルサでキャリアを終えてほしかった。しかし劇的な財政状況と給与上限によってそれは叶わなかった。2億ユーロの給与削減を目指したが、メッシがいなくなりその必要額は減少した。(収入比で)65-70%にしなければならない。いまは90%を超えている」

「このクラブが経験した、ステキな愛の歴史だったと思う。通常はこれほどには続かない。それも最後に傷が付いてしまった。人生の掟なんだ。私たちはポストメッシ時代を2年間前倒しした。2年延長で合意をしていたからね。PSGのプレゼンテーションは見た。幸せそうだったね。私は矛盾する感覚を受けたよ。彼の最良を願っているし、私は幸せな彼が見たい。彼や彼の家族にはそれが相応しいんだ。直接のライバルへと去ったことは心地よいものではないけれどね」

「私たちの意思は、彼が残ることだった。しかしクラブの状況を見た時、クラブの利益を優先させるのが良いと私たちは考えたんだ。その結論に至ったのは、経済的な結果が劇的だからであり、彼を残留させるにはクラブ(の放映権)を抵当に入れる必要があったからだ。もしラ・リーガがもっと柔軟であれば、私たちは彼の残留も考えただろう。双方に好意があったからね」

「退団関係でのよそよそしさ?どちらも交渉が実を結ぶことを期待していたのだから、相互の不機嫌はある。理解できることだ。けれども私の彼に対する敬意に変わりはなく、よい瞬間を覚えていたいと思う。望んでいたような結末とならず、残念だった」

これらのジャンの言葉からは、ある程度の真実味を感じます。レオに残ってほしかったのは事実だと思う。泣く泣くクラブを優先したのも事実でしょう。でももっと痛みを和らげる方法はあったんじゃないかと思うし、ああいう結末になったことにはラポルタも後悔してるんじゃないか。
ただ、8月5日になって事態が急変したかといえば、怪しい。契約が不可能だと認識したのはもっと前で、それでも「大丈夫」「順調」と言って8月まで引っ張ったのでしょう。それがよりメッシを傷つけたのです。

株式会社化を否定

そして最後に、FCバルセロナの株式会社化の危険性についてです。ここはバルサが最も譲れない聖域のひとつ。ジャンももちろん、これを全否定しています。

「状況は劇的であるものの、私たちには良いニュースもある。私たちのチームが持つ信頼性と経験の中で、戦略的プランを実行している。バルサには非常に重要な資産もあり、それらによってこの状況は一時的なものとなるだろう。私たちは(ゴールドマンサックスから)負債を再編するための5億6,000万ユーロを手にしたところで、利率は1.9%、それは良い知らせだ。Barça Studios には17の投資家が興味を持ち、主要スポンサーには5社の提案があるんだ」

「バルサの所有者はソシオでなければならないと私たちは分かっている。私は過去にUEFAからしつこく言われたことがあり、バルサの違いを説明して分かってもらえた。バルサはソシオの所有物であり続けるだろう」

 

コメント

  1. トム より:

    ラポルタの計算違いは、本人の言ってる通りでしょう。
    バルトメウの負の遺産が想像を遥かに超える大きさだった事と、テバス会長がFFPのコロナ禍による特例を一切認めなかった事です。
    この二つがある限り、メッシとの契約の道は無かった。
    スーパーリーグの話が影響してるのかどうかは分かりませんが、テバスは余りにも頑なにすぎました。

    メッシがいなくなって、ラポルタはちょっと肩の荷が降りている感じもします。
    この辺りは切り替え早いですね。
    正直引き摺ってる私からすれば、どうなんだソレと思いもしますが、これも才能なのかもしれません。
    ラポルタが考えてるのは、バルサを正しい方向に導く事だけでしょうから。

    メッシがいなくなった事で、経済的負荷も相当減っています。
    グリーズマンの無理な放出も無さそうですね。まあ微妙なりな活躍はしてくれるでしょう。
    デンベレは、やはり現状スカッドではクーマンは必要と見ると思います。ただメッシのいなくなったバルサでデンベレが契約更新するかどうか。彼については分かりません。
    その他の売りたくても売れない選手は、やはり売れたら売るとなるのでしょうが、もう無理はしなくて良いという感じですかね。

    オバメヤンは、正直今来てもらってもなという気も。
    スピード主体のオバメヤンで、引いた相手を崩すサッカーができますかね。
    ウィングというよりストライカーですし、まあ無理して取るべき選手ではないと思います。お給料も高そうです。

  2. たいき より:

    デンベレはそのまま延長せずにポグバなどのようにフリーで出ていく事を目論んでいるのでは?エンバペでさえ来夏そのようにしてレアル行きを望んでいるようですから。デンベレのようにほぼ怪我で重要な所外す選手を欲しがるかは疑問ですけど。今季はみんなで守備したり攻撃に転じたりしなければいけないところが出てくる。メッシというとんでもないものが去ったのだから。

  3. よし より:

    パルトメウは最悪でしたが、ラポルタも悪い。
    パルトメウに原因があるからと言って、ラポルタの全てが免罪されるわけではありません。

    ラポルタ・・・楽観過ぎましたよね。
    パルトメウの惨たらしい運営とコロナ禍。メッシ残留という最重要課題(選挙公約)があるのに、余りにも楽観過ぎた。
    「メッシをフリーにして」、「ハーランド取りをぶち上げ」、「デンベレも減額条件とはいえ更新方針」、「グリーズマンのアトレティコ移籍も許可せず」、「4人も新戦力を確保」。
    『違う世界線に住んでいる人かな?』と不思議に感じていました。

    恐らくですけど、CVCへの期待感があったのでしょうね。それがペレスに説得され、CEOに反対されて断念。どうしようもなくなったのだと想像しています。

    ユウさんと同じく、ここ迄のラポルタ政権に対する私的評価は最低評価です。
    普通の経営陣ならこんな結末は迎えていないはずです。
    ルールはバルサの為にねじ曲がらないし、お金も空から降ってきません。

    願わくば、この失敗に懲りて、地に足を付けた運営をして欲しいです。

    ※デンベレは減額更新をしなければ干す!という方針があったはずです。この方針を堅持して欲しいですね。

  4. サイ より:

    主要スポンサー5社気になります。またカタールかアメリカ資本か。デンベレフリー移籍どうでもいいです。もう重要選手ではないので。

  5. ヤマザキ より:

    ラポルタ会長はリーガに対して自分はプライドを曲げないけど、貴方たちはメッシとバルサの為に譲歩してねって言ってる時点で信用ならないんですよね。物事を都合よく考えすぎている。

    スーパーリーグから離脱する気はないようですし、パルトメウ政権と同じ道を辿らないか心配になりますね。

  6. ぼこ より:

    別れは、仕方ない。いつか来るもの。フットボール的には行き詰まりもありました。けど、別れ方なんすよね…。それをこそラポルタという政治家に求めたかったな〜…。そう、最後に傷、傷ができた。他でもないメッシとの関係に。自分で言うじゃん…。
    もう終わっちゃったことなんすけどね…。

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