アンス･ファティ復帰に沸く：若き彼らがクラブの光明

出口のないトンネルを進んでいるようだったクーマンバルサに、ようやく一筋の光明が見えてきました。3-0で勝利したレバンテ戦は内容でも相手を圧倒し、久しぶりに安心して見られる試合だった。ラスト10分にはスタジアムの喝采を受けてアンス･ファティが復帰し、さらにはゴールまで決めてしまうオマケ付き。この子は他とは違う、と改めて感じ入るところです。そしてこれがバルサの進む道だと。

アンスは特別

アンス･ファティの試合出場は、2020年11月7日のベティス戦以来、実に323日ぶりのことでした。アンスや彼の家族のみならず、全てのバルセロニスタが待ち望んだ瞬間。10ヶ月ぶりの実戦ですから、13分間のプレーとなりましたが、それでも彼が特別であると示すには十分だった。
特別、なのはフットボール選手としてだけではありません。人々に熱狂や喜び、希望をもたらすという点においても、アンスは稀有な存在。あんなに淀んでいたバルサを包む空気が、アンスのプレーによって澄んだのですから。

若きスターが戻ってきた＝安泰ではないのは事実です。現状ではレバンテに快勝できても強豪相手には苦しむでしょう。喜びも束の間、ベンフィカとアトレティコにやられて切ない週末になっているかもしれないのです（悲観的）。
でも苦しいからといって、長期離脱していたアンスに重荷を背負わせるべきでもない。試合の負荷に彼の膝が耐えられるようになるまでリスクはなるべく少なく行きたいですし、クーマンの見解によれば、アンスが十分な戦闘フォームを取り戻すのは11月になるようです。

これがバルサの進む道

とはいえ、アンスが戻ってきたぞーーということ自体が生み出す希望は確かに存在しています。夢見たっていいじゃない、クレだもの。金庫がすっかすかのバルサにおいては、アンスやガビ、ニコ、それにぺドリ、アラウホ、ミンゲサ、デスト、エリクら若い才能が放つ希望があるからこそ、しんどい時を乗り切っていけるのです。
バルサが復活を遂げるための道はこれしかない。
レバンテ戦はリキも含めた若手選手が8人も出場していて、図らずでしょうが、昨季終了時にラポルタが宣言していた“刷新”が現実となっています。才能ある若手と共に強くて魅力的なバルサへの復活を目指す。勝ちは求めつつも、焦らずにいきましょう。

もう少し秋が深まり、負傷者たちが戻ってくるにしたがい、チームの競争力は上がっていく、、はずです。希望は戻ってきたので、一歩ずつ着実に前へと進んでいきましょう。クーマン、頼むぜ･･･

（下の動画。「新たな王」とされるアンスが、ゴール後にアラウホに抱き上げられる場面をライオンキングになぞらえてあって笑える。試合終了後のメンフィスの抱擁も良く、みんなに愛されている感が溢れて出ます）

ドクターとの抱擁

レバンテ戦の後半追加タイム（90+1分）、復帰ゴールを決めたアンス･ファティはチームメイトたちとの祝福を終えると、観客席へと向かって走りました。ベンチ横の通路を通り、目指した先は家族。そして彼とともに長いリハビリを乗り越えてきたドクター、Lluis Til。
試合終了後のバルサTVの取材に対し、アンスは次のように語っています。

「すごく嬉しいし、僕と共にいてくれた医療スタッフ、ドクター、物理療法士のみんなに感謝したい。そしてファンのみんなにも。彼らは僕を支えてくれたね」

ドクターたちにとって、アンスの復帰は感無量でしょう。SPORTによると、ゴール後にアンスが自分たちのところへ来たことに、医療スタッフも感激しているとのこと。この感じで愛されボーイの道を突き進んでほしいです。
「ここにいること、人々に愛されていることを誇りに思うよ。怪我をした時から、この瞬間を夢見てきたんだ。それにゴールも決まったけれど、これは期待していなかったです」

アンスはまた、新背番号10の重みについてはこんなふうに述べています。
「メッシの後に10番を身につけるのは名誉なこと。僕がこの番号を守ることを許してくれたクラブとカピタンたちにすごく感謝してます」