勝利あるのみ、の直接対決まであと1日。
スタンフォード・ブリッジでのチャンピオンズ準決勝第一幕が終わったかと思えば、今度は中2日でのレアル・マドリーとのリーガ天王山クラシコ。昨シーズンのクアトロ・クラシコもタフでしたが、今回のこれもまた、応援体力を試されるなかなかにハードな流れであります。チェルシー戦にマドリー戦が挟まれているカレンダーは、トリプレッテを達成した08/09シーズンと同じなので、クレとしては同じ幸せな結末が訪れることを願って、応援あるのみ。シーズン終盤にこういった1週間を楽しめるのは、幸せなことです。
◇全面モザイク
まずはクラシコに関しての、いくつかの情報を紹介しましょう。もはや名物の域を通り越している感もあるモザイクは、今回も当然のことながら登場します。それもコパクラシコやミラン戦に現れたバックスタンドのみではなく、気合の煮えたぎっているゲーム限定となるスタンド全面バージョン。コパの”Som-hi Barça”(カモン、バルサ)、ミラン戦の”Sempre junts”(いつも共に)に続くメッセージは、”Som i serem”となります。英語に直訳すると、”we are and we will be”。スッキリ上手く訳すのは難しいのですが、イムノにある”som la gent blau-grana”(私たちはブラウグラナ)に絡め、「私たちはバルサだ。そしてこれからもバルサだ」という感じだと思います。違ってたらすんません。
◇アレクシスは出場微妙か
チーム状態に関しては、アレクシス・サンチェスのクラシコ出場が微妙だという情報が流れています。水曜日のチェルシー戦でペドロと途中交代したアレクシスですが、テリーのタフなチャージによって、どこかを痛めているかもしれないというのです。クラブからは公式情報として彼の負傷についてコメントされていませんが、バルサ系スポーツ紙のSPORTとMUNDO DEPORTIVO(MD)紙はいずれも「クラシコ出場は微妙」と報道。昨日バルセロナへと戻ってきた際のサンちゃんの歩き方が明らかに不自由そうだったそうで、心配なところです。大げさな芝居・・・?だといいんですけれど。。。
◇がっくりセスク
バルサ一行はチェルシー戦の夜はロンドンで泊まり、木曜の朝にバルセロナへと帰ってきています。プラット空港へと到着した選手たちの様子は、試合に負けたことを引きずっている感じではなかった模様。普段どおりに、自分たちにはやれるんだという自信をのぞかせていたようです。ただMD紙によれば、そこにはひとりだけ例外がいて、セスク・ファブレガスはどうやらドンヨリモード。チームのために仕事をしたいと意気込んでいた試合で決定機を仕留め損なったことに、きっと責任を感じているのでありましょう。
チームはその後、トレーニングのために直接カンプノウへ向かい、セッションと昼食の後、解散となっています。クラシコ前日となる金曜日は18時よりトレーニング。つまり選手たちは1日と少々、身体を休める時間を得ることになります。
ちなみに、ロンドンからバルセロナへの移動中、ペップ・グアルディオラはサンドロ・ロセイ会長の隣りの座席に座っていたそうです。飛行時間はおよそ2時間ですから、その間、ふたりはどんな話をしたのか。契約の話で突っついたりはしていないでしょうが、クラシコやチャンピオンズのほか、来季の補強方針などについては語り合ってるかもしれません。
◇チャビ 「表か裏か」
スペインのフットボル専門放送局ゴルTV(GOL T)が、チャビ・エルナンデスのインタビュー番組を放送しました。カンプノウのピッチ上で行われたこのインタビュー。バルサの第2カピタンは土曜日のクラシコについて、こう語っています。「リーガのかなり多くのところは、この試合の結果次第やね。バルサがゲームに勝ち、マドリーと1ポイント差にできるよう頑張っていくよ。一時は10ポイント差がついたこのリーガで逆転優勝してやろうと、僕らはものすごくワクワクしているんや」、「もしバルサが勝てば、優勝の可能性は残ってくる。負けた場合は、マドリーで決まりやろう。そやからこれは、表か裏の試合なんや」
モウリーニョがこの決戦にどのような手を使ってくるのかは、幾つかのパターンが考えられます。しかしペップチームはただ愚直に、自分たちのスタイルを貫き通すだけです。「マドリーはいろんなやり方で僕らと戦ってきたけれど、僕らは一度もスタイルを変えたことはなかったよ。僕らはいつだってボールを求め、試合の主役になりたいと思ってきた」
インタビューではもちろんペップ・グアルディオラについても話題は及んでおり、チャビは「ファンタスティックな監督で、そこにいるだけで周りを魅了してしまう人物」だとミスターを大絶賛。彼の契約問題については、「僕にとっては彼は、このチームのなかで最も重要でカギとなる人やし、僕らは彼の続投を願ってる。決めるのは彼なんやけれどね」と言い、「でもロッカールームではそれは話題にはなってなくて、戦術やフットボルのことを話してる。ミスターの決定を最初に知るのは会長やし、その後に発表があるよ」としています。
ちなみにいずれはバルサの監督になるだろうと巷では言われているチャビですが、「今のところは、自分が監督になるとは思わない。とりあえずはその考えはない」ということです。
◇ダーティプレイ再現か?
20日金曜のSPORT紙は、一面に次のような見出しを付けています。「モウリーニョは再び汚れた戦争の準備をしている」。今回のクラシコを、マドリーは4ポイントのアドバンテージを持って迎えます。昨年のベルナベウクラシコ時のバルサと同じで、彼らにとっては引き分けでも特に問題はありません。4ポイント差をキープできれば、仮にサン・マメスでコケてもバルサには追いつかれない。よってSPORT紙は、モウリーニョがこの天王山決戦では0-0上等のプランを練ってくると読んでいて、そのための方法論として採用するであろうのが、手っ取り早いアンチフットボルだとしています。
ここぞという時にはアンチフットボル。これはもうモウリーニョのセオリーです。それもただガチガチの守備戦術を敷いてくるだけなら可愛いものなのですが、モウは真剣にゲームを破壊しにかかってきそうだから性質が悪い。引き分けでいいのであれば、なにも真っ当にバルサとプレーを競い合う必要はありません。バルセロナのプレーをファールで止め、時には困ったことをして、ゲームに集中させなければいい。少しでも試合を混乱させられれば目的達成に近づくというのが、厄介なことです。そのための忠実な僕たちも、彼の下には揃っています。
マドリーの中には、「試合が上手くいかなかった際には審判のせいにしろ」というポルトガル人監督の命令を良しとしていない選手たちも多く、クラシコでまたも汚れた戦争を仕掛けようとする指揮官に対し、異議を唱えるであろうことも十分に考えられます。しかし”マトモにバルサと向き合って負けずに済むのか?”という不安や、なんであろうとミッションを達成した後に待っている報酬(タイトル)のことを考えれば、結局は荒れ試合になりそうな予感はふり払えません。少なくともいつもの困ったメンバーたちは、今回もきっと黒い主役になることでしょう。
いつだって大胆で勇気あるグアルディオラとは異なり、臆病者のモウリーニョでありますから、土曜日もまた必殺のトリボッテを使ってくる可能性は高そうです。審判がタックルに甘いと判断すればガンガン当たりを仕掛け、なんなら退場になったとしても、あとでその判定を批判すればいいというのは、かなりストロング。書いていて悲しくなってくる予想なので、いや実は正々堂々たるモウマドリーがついには登場するかもと想像してみるのですが、やはりどうにもそういう姿は思い描けない。固定観念に縛られちゃうって、悲しいことです。
しかしまあ、バルセロニスタはそんなモウの悪巧みなどは気にすることなく、チームの勝利を信じ応援するのみです。2つのタイトル争いで生き残れるかどうかの4日間!緊張感MAXですが、それはとても恵まれたことでもあります。幸いなことに、これまでのモウのさまざまな試みは、結局のところは功を奏すことなく終わっています(コパ決勝除く)。フットボルの女神様は真摯にプレーに取り組んだものに最後は微笑みかけてくれる。そう信じたいと思います。バモス、バルサ!俺たちは強い!(BY スラムダンク)
もしこれが邪推に終わり、悪巧みなんてまったくないクラシコとなれば、その時はモウさん、ゴメンナサイ。
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