バルサのプレー哲学ほか、諸テーマについて語ったセントロカンピスタ。
ミッドウィークの試合がない事によって、久々に平穏な空気が流れているカンプノウ周辺。1週間後にはミュンヘンでの大一番へと臨む選手たちは、心地いい緊張感に包まれて準備を進めていることでしょう。そしてこういう休憩の週にメディアを賑わすのは、来シーズンの構想ネタと選手のインタビュー記事です。今回、各方面に顔を出しているのはチャビ・エルナンデスでして、UEFA公式サイトならびにBTVのインタビューにて、いつものクレっぷりを披露してくれています。
ただ勝つだけでなく、アイデンティティが必要
UEFA.COMでのインタビューは日本語版でも読めますので、ごく簡単に肝の部分だけ拾ってみましょう。「他のチームでは勝てばそれで満足だけど、ここではそうじゃないんだ。それではアイデンティティが欠けている。フットボルにおいては、結果は詐欺師みたいなもんだよ。ものすごく好いプレーをしたからといって、勝てるわけじゃない。結果以上に大事なもの、それは恒久性のある何か、つまりは受け継がれていくものなんだ」
勝つことこそがアイデンティティだ!なんていう白いグランデもいますが、バルサは手段を選び、そして勝つことで人々のハートを掴むクラブです。「ただ勝つだけじゃなく、それ以上の何かを提案し、良いフットボルをプレーするのが僕らのスタイルさ。僕らはいつも主役になることを目指し、受身になるんじゃなくて攻撃を仕掛け、ファンがアイデンティティを感じるような華々しいフットボルをしてきた。主導権を握らない他のスタイルでは、バルサファンには理解されないんだ」
怪我はもう癒え、体調万全
ここからはBTVによるインタビューでの各コメントを拾ってみます。バイエルンとの決戦が迫る中、チャビのコンディションはどうなのか。バルサの6番はこう語っています。「怪我のことはもう忘れてるよ。僕はこの数ヶ月間、怪我を何度か再発させてきた。違和感がありながらもプレーをしたり、ちょっと無理をしたこともあったんだ。でも今はもうすっかり良くなってる。グループ練習にも100%で参加できてるしね。それに僕がプレーをすることで自分を鍛えてるのを、ティトはよく知ってる。僕はもう19歳の若者じゃないんだ。今の僕は完璧なコンディションだよ」
バルサが疲れていて、ベストのフォームではないとの意見を最近はよく目にします。「僕らはすごく好い状態だし、これ以上にないコンディション(状態、状況)にある。リーガを決めてしまう必要はあるけど、状況はすばらしいんだ。もしシーズンの最初に、リーガはほぼ僕らのモノになっていて、選手の大半がプレーに参加していて、全員がチームにとって重要だと感じているとしたなら、それでOKとしただろう。フィジカル状態も好いし、重要なのはメンタルが良い状態にあるってことさ」
そして。「今のバルサにとっての問題は、ハードルがものすごく高くなってることだよ!最近の成績がすごかったことで、4-0とかじゃなく接戦でPSGを退けたことが少し物足りなく映るんだ」。6年続けてチャンピオンズ準決勝に行くだけでも偉業で、その先の優勝は最高のボーナスのはずなのに、”バルサの覇権は続くのか?”ですからね。
どんとこい、メッシ依存症
“覇権”の他にバルサ関連の記事でよく使用する言葉が、”メッシ依存症”です。チャビさん、それについてはイラッとしたりはしませんか?「ううん、しないよ。レオが僕らのチームにいて、すごく嬉しいんだ。これまでにも何度も言っているけれど、僕にとっては彼はフットボル史上最高の選手だし、彼はプレーの度にそれを証明してる。ちょっと前の記者会見でアンドレスが言ってたけど、メッシ依存症ウェルカムさ」
セントロカンピスタはまた、バルデスの退団についても「彼が考え直すとは思わないんだ。友人であり、カサの手本である選手が去るなんて悲しいこと」とし、メディアから受けた守護神の扱いに関しては、「おそらくは僕が見てきたなかで最悪。でも彼はいつも批判を乗り越えてきたし、批判を浴びプレッシャーを掛けられている時にベストのプレーをする」と語っています。
チームは今季、ティトとアビダルの病という二つの悲しみを乗り越えてきました。「他のチームにはない苦しみだったね。ティトは並外れた人物だし、すごい働き者だよ。彼は僕らの手本であり、僕らに力を与えてくれた。彼はこのチームの精神的リーダーさ。アビダルもそう。彼は生きるうえでの手本だ。ビーストでアニマル(もちろん褒め言葉!)だからこそ、彼はプレーに復帰できたんだ」
ユーロクラシコ決勝、カシージャス、モウリーニョ
一方、バイエルンとのチャンピオンズ準決勝については、「勝ち抜けの可能性は50%」だと見るチャビです。「バイエルンのフォームが最高の状態にあって、彼らがすでにリーグ優勝を決めているのは事実だよ。でも僕らもまた最高のチームだし、チャンピオンズではディティールで勝敗が決まるからね。是非とも、もう一度ウェンブリーへと行きたいよ。そのためにはカサでのミラン戦のようなプレーをすることだ」
もう1つの準決勝での本命は、レアル・マドリーだと第2カピタンは予想します。もしバルサが決勝へと勝ち進めば、心臓破りのユーロクラシコファイナルが実現です。「スペクタクルだね。多くのバルセロニスタが、バルサ対マドリーの決勝を望んでいないのか、僕には理解できない。楽観的でなきゃダメだよ。フットボルは楽しまないと。僕らは決勝へと行けるし、優勝もできる。そう信じてないといけない」
マドリーと言えば、あちらの守護神はチャビの親友です。「カシージャスが控えなんて、正しくないと僕は思う。彼がベンチに座っているのを見るのは、僕はイヤだね。そんなのは彼に相応しくない。バルサにイケルが来るか?それはないだろう。彼はかなりのマドリディスタだからね。もしやって来るなら歓迎するけど、正直、実現するとは思わない」
UEFAのインタビューで、結果至上主義ではないバルサ流への誇りを示すチャビです。モウリーニョについて訊ねられると、バルサの6番は再びこう考えを述べました。「彼はフットボルの歴史には残らないだろう。彼を批判してるように見えるからイヤなんだけれど、僕が言いたいのは、彼がグアルディオラやサッキと違ってフットボルに変革をもたらしていないということなんだ。彼のことはリスペクトしてるよ。ここに3年間いて、僕とも良い関係にあった人だからね」
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