2ヶ月余りの沈黙を破り、バルトメウ理事会の手法に関して改めて批判を示す第3カピタン
あのリスボンでの2-8後、メディア前に出てきてコメントを発する気骨を示したのがジェラール・ピケでした。そこで彼が語ったのは、クラブには構造的な改革が必要だとの考え。つまりは理事会に辞任を促したのですが、バルトメウ一味はそれでもなおクラブに居座り続け、不信任動議を突きつけられるに至っています。
あれから2ヶ月余り、沈黙を破って一般紙LA VANGUARDIAのインタビューに登場した第3カピタンが語ったのは、クラブがわざわざ他企業に自分たちの選手を批判依頼をすることの愚かしさでした。
正しくない道を進んでいた
ジェラール・ピケのインタビューが一般紙 LA VANGUARDIA に掲載されたのは、エル・クラシコを翌日に控えた10月23日のことです。リスボンでの悪夢が8月14日のことでしたから、約40日ぶりとなるメディア発言。これまで沈黙を守っていたのは「僕らには消化するための時間が必要だった」からで、「バケーション中にリセットをした」と彼は述べています。
2-8直後のコメントは、いわば頭が熱くなっていた時のものです。では冷静になった今も、構造的な変化が必要だと考えるのか。ピケの考えはこうです。
「ああいうクラブの歴史に刻まれるであろうことが起こった時は、指導者たちが決断しないといけないんだ。自分自身の姿や、何を変えなければならないのかを見なければならない。僕らの進んでいた道が正しくなかったのは明らかだからね。負けることはあるけれど、あの負け方は絶対にダメだよ。(2-8の後に)言った意見は今も変わりはない」
あの時ピケは、絶対必要な存在は誰もおらず、もし新しい血が必要ならまず自分が去ることを申し出る、と言っています。その考えも変わりはないのでしょうか。
「もし指導者たちか、新監督が僕を戦力外にしていたなら、僕にはなんの問題もなかったよ。バルサ(クラブ)は全てに優先されるんだ。いまも同じように考えてるよ」
クラブがおかしくなり始めた2015年
バルサの進んでいた道が正しくなかった、というピケの弁。ではいつ頃からおかしくなっていったのか、というとルーチョバルサが歴史的3冠を達成した頃からだとセントラルは言います。FIFA制裁などで追い込まれていたバルトメウ一味が、選挙で勝ち抜けた後ですね。
「僕らは2015年のトリプレーテで頂点を極めて、そこからクラブは成長するかわりに落ちていった。その傾向はどうしようもないものだよ。僕らは2-8と共にどん底に落ち、クラブにとって何が最良かを見るために、全てをリセットしなければならなかった。謙虚に、絶対必要なのは誰もいないと明らかにしながらね」
でもバルトメウ一味はそのリセットを拒んだ。ロナルド・クーマンを呼び、高給ベテラン選手を放出するなどの対応はしましたが、自分たちに関しては手を付けないままです。
ロッカールームの権力という話
今にして思えば、シーズン途中でのエルネスト・バルベルデ解任は失敗でした。監督交代に関するピケの考えはこうです。
「結果論で話すのはとても簡単だからね。(続投で)どうなっていたかは誰にも分からないし。でも僕としては、リーガを連覇して首位でいる時にシーズン半ばで監督を追い出すのは、プロジェクトのように、一貫性があるようには見えないんだ。論理的だとは思わなかった」
その監督交代の過程の中で、カピタンたちはその決定に巻き込まれていきます。バルトメウ一味の小ずるさが見えるやり口。メディアを利用して選手たちを利用しているとセントラルは示唆します。
「それが問題の要点だね。僕らがミーティングに呼ばれて、あるメッセージを伝えられる。すると僕らが議論し、承認や非承認をしたように見える。僕らが“ボスの皆さん、それはあなたたちが下すべき決断ですよ”と言ったとしてもね」
フットボール選手たちの影響力、いわゆるロッカールームの権力については、会長たちの問題であるというのがピケの考えです。
「多く言われているよね。でもひとつのクラブがより良く機能して、誰もにとって全てがより健全になる時というのは、ヒエラルキーが上手くいっている時だよ。会長がトップであるべきだし、その次に監督が選手を管理するべきだ。このヒエラルキーが崩れると、物事は機能しない。もし僕ら選手がいくつかの瞬間に力を持っていたなら、他の人たちが行使したがらなかったからだよ」
自分たちの選手を批判するためにお金を使う愚かさ
会長との関係については、自分は敢えて誰かと悪い仲になろうとはしないとピケは言います。しかし好まずして関係がこじれることはある。ピケの場合はバルトメウらが I3 Ventures なる企業に依頼して選手や元選手に対する悪意ある情報を流させていたバルサゲート事件がそうです。
「(長い沈黙)SNSのこととかだね。僕は、バルサの選手として、自分のクラブがクラブの歴史に関係のある外部の人間だけじゃなく、所属している選手を批判するためにお金を使ったと思っているんだ。今は彼らが僕らに(減給を)求めているお金だよ。それはバカげてるよね・・・ 僕はバルトメウに説明を求めたんだ。すると彼は『ジェラール、私は知らなかったんだ』と僕に言った。僕はそれを信じたよ」
「でもその契約を結んだ人物(ジャウマ・マスフェレール)が、まだクラブの中で働いている。それが僕の心を痛めるよ。前に会長に個人的に言ったことだから、ここでも言ったんだけれど・・・ 僕にそれ以上なにが出来る?出来ないよ。会長との関係は和やかになるかもしれないけれど、残る物事はあるんだ」
カピタンの1人としてチームのために行動する
そしてテーマはここ最近話題となっていた、給与調整と4選手同時の契約更新に入って行きます。ジェラール・ピケはバルトメウのやり方に反対する選手団に合意しつつ、一方でクラブと契約更新をした。ここに矛盾はないか、セントラルの見解はこうでした。
「ノー。すごくシンプルなことだよ。クラブは僕や他の選手たちに対して、パンデミックによってクラブが経済的にとても苦しくなると伝えている。そしてクラブが第一だからね。バルサは僕に全てを与えてくれたから、僕のことはクラブが好きにしてくれればいいんだ。彼らからは、今年諦めるお金は将来に手にすることになるって言われてるよ」
(※ピケは今季給与の50%を来年以降に受け取ることで合意している)
その一方でピケはスカッドに協力し、職員とひとまとめでの減給交渉には応じないとするburofax(内容証明郵便)に署名をしています。ロッカールームは団結している、と強調し、ここでもバルトメウのやり口を批判するセントラルです。
「それはまた別の話さ。クラブの提案を自発的に受け入れるかどうかは各選手の自由だからね。一方的に押しつけることや、彼らのやり方はまた別。クラブのやり方に僕は全く合意しない」「クラブは選手の多くが代表チームに行っている時にそれをしたんだ。全職員を同じ袋に突っ込んでね」
「僕はカピタンとしてチームの利益を守り、署名をする決断をする。僕らは団結してるしね。ロッカールームが分裂したと言われているけど」
「僕ら4人のカピタンはすごく団結しているから、僕らは2枚のburofaxに署名をしたんだ。チームとして何度か会議を行ったし、僕らは説明をして、全員がひとつになって進んでいる」
「チームにはすごく若い選手も、ベテランもいるけれど、僕らはとてもよくつながっているんだ。良いロッカールームだよ」
進行中の不信任投票では、「ソシオとして、僕は自分の権利を行使するだろう」とピケは言います。
「クラブはかつてなく活気がある、それが僕の結論さ。2万枚の署名を今の状況で集めるなんて、とんでもないことだよ。パンデミックによって意思表示ができない時、立ち上がる人々が多くいることは、クラブが眠ってない証だ」
クラブはメッシを守るべき
最後にメッシの退団表明に関しては、クラブに多大な貢献をしてきた功労者であるD10Sに対しては、彼の意思をもっと尊重するべきだったというのがジェリの意見です。
「あの時は、レオとはあまり連絡を取らなかったんだ。すごく個人的な決断だと思ったからね。『レオ、1年のことだし、そうすれば新しい人(会長)が来るよ』って言ったことは覚えてる」
「レオは決断を下すだけの権利を勝ち取っているし、彼が去るべきだと考えたのならね・・・ 僕が会長なら、また違った行動をしたよ」
「16年にわたって多くをもたらしてきた選手だからね・・・ 彼と合意に達するのは義務だよ。双方があまりに離れていることが、これほどに明らかになってはいけない」
物議を醸したのは、退団の意思をburofaxで送ったメッシの手法でした。
「僕は自問するんだ。僕らを楽しませてきた史上最高の選手が、ある日起きて、クラブが自分の言い分を聞いていないと感じてburofaxを送るなんて、どうしてそうなる?すべてが驚きだよ。何が起こっている?レオにはあらゆる価値がある。新しいスタジアムには、スポンサーよりも前に彼の名前が付くべきだ。自分たちの重要人物(もしくは姿)を守るべきなんだ。名誉を汚すんじゃなくてね。いらだつよ」
「ペップ、プジ、チャビ、あるいはバルデスのような人物がクラブにいないことに驚くんだ。なにかが良くない。クラブの歴史を形作る、偉大なことをした人は、常にクラブに保っていなければならない。彼らはここにいるべきなんだ」
コメント
もう選手権会長でお願いします(2度目)。