新監督をよく知るトレーナー氏が、タタチームのスタイルを予想。
ルイス・エンリケか、はたまたヘラルド・“タタ”・マルティーノか?と注目を集めたバルサの監督選びはどうやら、アルゼンチン人監督さんに落ち着いたようです。クラブからの公式発表はまだないですが、それも時間の問題というのが各メディアの見解。タタは今日か明日にもバルセロナへと入り、3年間の契約書にサインをすると見られています。馴染みのスタッフたちを連れてのバルサ入りですので、テクニコにも幾つかの異動がある模様。未知数な監督だけに不安もありますが、哲学を踏襲しながらも外部の血を入れることを選んだ理事会の選択が上手くいくことを期待であります。
チームのピンチを救うべく、アルゼンチンより来たりし監督
もしカルロ・アンチェロッティをPSGから引っこ抜けなかった場合、白組さんはタタ・マルティーノをサンチャゴ・ベルナベウのベンチに迎えようとしていたらしく。しかし彼はレアル・ソシエダやマラガからの誘いを断ったのと同じように、フロレンティノからのオファーも受けいれようとはしなかったそうです。そのあたりのことについては、最初の会見で訊ねられるでしょうが、ニューウェルス・オールド・ボーイズでの活躍によって欧州での注目を集めている、“旬”な監督といえそうです。
ちなみに23日のSPORT紙の表紙の見出しは“Habemus Tata!”。これはカトリック用語の“Hamemus Papam” (アベムス・パパム)をもじった言葉で、コンクラーベによる新法王(パパ)の選出と新監督(タタ)の決定をかけてあります。激論の末に誰か(何か)に決まった時に用いられる言葉だそうです。新法王のフランシスコ1世がアルゼンチン人であることにも、もちろん引っ掛け。そういえば昨シーズン、バルサがミランに大逆転勝利した日がコンクラーベだったことから、アルゼンチンのメディアは“Habemus Messi”とやっていましたね。話が少し逸れました。
ボールポゼッションに大きなこだわり
バルセロニスタとして気になるのは、新監督ヘラルド・タタ・マルティーノがどんな性格をしていて、かつどんなフットボルをチームにもたらしてくれるのかです。伝えられるところではビエルサの愛弟子で、スペインのメディアは“ビエルシスタ”と表現。しかし彼は決してビエルサ教原理主義者というわけではなく、師事した複数の監督のエッセンスを取り込んだ指導者のようです。
SPORT紙には、タタ・マルティーノをよく知る人物として、アリエル・パレナというトレーナーの解説が掲載されています。パレナ氏は現役時代にニューウェルス・オールドボーイズ(NOB)の下部組織でタタとチームメイトで、かつタタがInstituto de Cordoba監督時代にフィジカルトレーナーを務めていた人物です。そのパレナ氏曰く、「彼はバルサを率いるに相応しい、信望のある監督。そのうえリーダーとしての資質も備えているし、バルセロナで大きな成功を収めると確信してるよ」。すばらしいことです。
パレナ氏は、マルティーノの得意とするシステムは4-3-3だといいます。「けれども彼は、その状況に合わせて変化を加えるのを好むね。彼はボールポゼッションに大きなこだわりを持ってる。リズム良く、速くボールを動かすこと、そしてなにより攻撃が好きなんだ。彼は非常に頭が良いから、自分のチームの持ち味をすぐ理解するだろう」、「クリエイティブなプレー、中盤での優位を好む監督だよ」
そしてマルティーノ・システムでカギになりそうなのが、両サイドを駆け上がるラテラル、いわゆる“カリレーロ”たちの存在です。「彼は攻撃の重要局面において、カリレーロを用いるのが好きだね。でもずっと上がっているんじゃなくて、“現れる”のが大事なんだ。彼はラテラルが“現れる”ことによって、相手はマークが難しくなると考えている」。バルサが誇るラテラルたち、ダニ・アルベス、ジョルディ・アルバ、マルティン・モントーヤの腕の見せ所ですな。ラテラルたちがサイドを切り裂くためには、エストレーモが中央へと切れ込みスペースを空けることも重要になります。
前線でのプレッシング
昨季のティトチームを見ていて不満だったのは、ペップ時代の鬼プレスが影を潜めていたことでした。パレナ氏は言います。「マルティーノは人数をかけてプレッシングを仕掛けるのが好きだ。相手陣内でボールを奪うために、ブロックで圧力を掛けるのを好むね。ボールを失った選手は、少しでも早く取り戻すために走らなければならないんだ」
そして。「通常彼は後ろに2人のセントラルを残し、守備的メディオセントロ(ピボーテ)がその間に入る。ボールを失った時に備えて、常に良いポジショニングをさせるのを好むんだ。ブロックでのプレッシングを好むから、セントラルたちの背後にはいつも40-50mのスペースが出来ることになるね」
パレナ氏のコメントを見ていると、タタチームではペップチームの良き特徴がなにかと復活しそうな期待感が高まります。実際にピッチでそれを表現できるかどうかはやってみないと分からないとはいえ、その期待がどうぞ現実のものとなりますよう。
またパレナ氏によると、タタ監督は「努力する選手を好むし、そういう選手をとても尊重する」人だそうです。それによって選手たちは自分が評価されていると感じ、チームのために頑張っていこうとやる気を出すと。ニューウェルスでも彼のチームは良いフットボルをしていたそうですから、マルティーノがバルサのクラックたちを使いこなし、一躍世界のトップ監督となることを願っています。まだ公式発表はないけれど!バモーース、タタ!
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