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エンリケ式選手管理法

選手それぞれの状況で扱いを変化。

スポーツにおいて心理学はもはや、無くてはならないものとなっています。ど根性あるのみ、ではアスリートは高いパフォーマンスを発揮することは出来ない。ただハイレベルを求めれば良いもんでもない。選手が競技力を向上させるためには心の面を無視することは出来ず、それは戦術指導に負けず劣らずの重要性があります。戦術だけでなく気持ちのケアもしっかりと行っていくのが、良いテクニコと言えるでしょう。ということで我らのルイス・エンリケ監督ですが、専属で心理学者を付けている彼ですから、十分にその心の大事さに気付いている。チーム管理にはそういったスキルを取り入れているようです。

メッシは称え、ピケにはより上を求める

“要求のレベルの高い監督”とされ、厳格なチーム管理がしばしば取り上げられるルイス・エンリケですが、厳しさ一辺倒ではありません。10月10日付のSPORT紙によれば、ミスターは選手各人の特性や状況に合わせ、彼らの扱い方を変化させています。その例として挙げられているのが、レオ・メッシ、ジェラール・ピケ、ネイマール、ムニール、そしてチャビの処遇。メッシに対しては称賛し、ピケには要求し、ネイマールには導き、チャビには仲間として接す、、、といった具合です。

ルーチョは心理学者ではないですし、立場はマネージャーですから、正確にはチーム管理に心理的スキルを導入し、、という感じでしょうか。目的はモチベーションや士気の上昇と維持。各選手がやる気を失わず、競争力を上げていくことにあります。

レオ・メッシに対しては、ルーチョは事あるごとに賛辞を送っています。「彼が望むなら、メッシはどんなポジションでも世界一になれる」、「唯一でスペシャル」、「キャプテン翼でも見たことないようなことをする」などなど、とにかく褒め言葉を惜しまない。それに対してレオも監督が与えてくれるプレーの自由に感謝し、守備にアシストにと活躍の内容を広げています。新監督が不本意なシーズンを送った大エースをどう扱うのかに注目が集まりましたが、ここまでメッシは全試合にフル出場し、7ゴールで7アシスト。非常に順調な滑り出しです。

一方、監督によってより向上を求められ、控えからの出発となったのがジェラール・ピケです。昨年まではセントラルの人員不足もあり、なんだかんだでレギュラーだった彼ですが、今季はベンチスタートが大半(9試合のうち5つに出場で先発は4回)。しかしワカ旦那がそれに立腹しているかといえば逆らしく、周囲の情報によるとジェリはこの状況を新たな挑戦として受け止めているそうです。お前ならもっとやれるだろ、の期待をピケは感じているんじゃないでしょうか。

若手選手は導く

ネイマールに対しては、指導者の役割を担っているとSPORT紙は説明します。ブラジルの至宝である彼は、試合を重ね、シーズンが進んで行くにしたがってチーム内での重要度を増していくと監督は見ていて、今はその発展段階。なのでネイには信頼を置きつつ、出場の機会を増やしながらも、彼のパフォーマンスについて訊ねられた時にはメッシほどの賛辞は与えず、他の選手たちの名前も挙げつつ称えるといった感じにしているようです。

今季からトップチームに出入りしているムニール・エル・ハッダディサンドロ・ラミレスに対しては、その役割は保護者に変化します。まだ十代の彼らには焦りは禁物で、正しい方向へと進路を向けてあげるのがまずは重要となる。尻を叩きすぎることなく、機会を与えて成長を見守らなければなりません。いいぞ、と褒めつつも安心感は与えないさじ加減。

特殊なケース、チャビ

チャビ・エルナンデスの場合はなかなかに特殊です。バルサの6番はルーチョが現役だった頃のチームメイト(1998~2004)で、実際にプライベートでも仲が良い。さらにはチームの最古参選手にしてカピタンであり、メッシと並んでバルサの象徴と言える生きる伝説です。この夏に退団をほぼ決意していたチャビを残留へと翻意させたのはエンリケの言葉も大きかったわけですから、彼の扱いには相当気を配っていると考えるのが妥当でしょう。声かけは頻繁だと想像します。

シーズン最初の1ヵ月半ほどはチャビの出番は本当に限られていて、第5節までのリーガ出場はベンチからの2回のみでした。しかし第6節、第7節は先発に名を連ねてのフル出場。これからはより頻繁に出場機会を得られると予想されますし、そうなってほしいなと思います。イニエスタやラキティッチのケアも含め、上手いやり繰りとなりますように。

という具合に、ルイス・エンリケはそれぞれの選手に合わせ、微妙に扱い方を変化させながらグループを管理しているようです。おそらくはもっと細かく、いろいろとやっているんじゃないでしょか。ミスター自身が何度か言っているように、評価はシーズンの最後に行うべきですが、ここまでのところはどうやら概ね順調。チームの成績にも不満はありませんので、春に向けて着実に競争力を上げていってほしいですよね。ふれふれ、ルーチョ!

 

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