アトレティコ戦はすぐ目の前、凹んでいる時間はない。
FCバルセロナにとって、今回のクラシコは手痛い経験となりました。たとえどのような勝点状況であろうとも、カンプノウでマドリーに負けるのは悪夢。勝点以上のものを失うことにつながります。ただ、全世界注目のゲームで残念な試合をしてしまったことは選手たちが一番悔やんでいるでしょうし、あの敗北から教訓を得て逆境を乗り越えていくことが、クライフ追悼試合でああいう事態になったことを埋め合わせる唯一の道です。そんなことは言われるまでもないと、ルーチョチームは気合を入れ直して明日のアトレティコ戦、週末のレアル・ソシエダ戦に臨んでいくでしょうけれど。
学ぶべき教訓
今回の40試合ぶりの黒星で得るものがあるなら、その一つは気持ちの引き締め効果でしょう。強敵アトレティコとの対戦、という時点で気の緩みなんてものが生まれる余地はありませんが、あの試合の後では“ルイス・エンリケはシメオネ・アトレティコに6戦全勝”であるとか、“バルサはカンプノウでの欧州戦にほぼ3年間負けていない(14勝1分。45得点 9失点)”というデータも安心材料には程遠く。元々クレには悲観的な性質がありますから、あのマドリー戦で一気に不安になったという諸氏も少なくないんじゃないでしょうか^^;
なにせ次の対戦相手はジダネ・マドリーよりもっとタフなフットボルをするシメオネ組です。彼らに引けをとらないほどの激しさがなければ、土曜日に開いた傷口はさらに広がる。ルーチョチームの強さはチーム全体のハードワーク+トリデンテの破壊力だったわけですから、それがなければこういうことになるぞ、と痛感したことがクラシコ敗北の教訓であります。
そしてバルサが学ぶべき教訓、改善すべきポイントとしましては、4日付のSPORT紙が次の7つを挙げているので、ごく簡単に書きます。
- 一つ。審判への抗議と相手デフェンサたちとの陰の戦いに執心したルイス・スアレス:序盤にネイマールのパスを仕留め損なったことで、集中を失った印象。審判たちへの抗議、デフェンサらとの肉弾戦にこだわりすぎた。
- 二つ。ラテラルたちは守備で苦しみ、攻撃で前に出られず:アルバとアルベスはベイル、クリスティアノへの対応で手一杯。大一番で彼らの替えがいない。
- 三つ。大事な時間帯で疲労が感じられた:2試合連続でリードを守れず。フィジカルよりもメンタルで連戦による疲れが感じられる。終盤はマドリーが押していた。
- 四つ。メッシはトライするもスアレス、ネイマールと連係できず:よりボールに触れるため、数メートル低い位置に下がっていたメッシだったが、トリデンテやアルベスとつながれず。得点が無理ならアシスト役をこなす彼だが、このクラシコではどちらも出来なかった。
- 五つ。試合を解決できる選手がベンチに不在:このバルサは通常、試合途中で流れを変える必要性を生じさせないが、もしそうなった場合、結果は芳しくなかった。先発と控えに大きな差がある。
- 六つ。アルダが試合を変えられる選手になっていない:デビューから3ヶ月経った今も、彼が期待されたパフォーマンスを示すことはなく、展開を変えられる選手となるための適切なポジションやフィジカルに疑問が存在する。
- 七つ。大きな持ち味である1対1で輝けなかったネイマール:代表戦は1試合のみの出場だったネイだが、期待されたベストなプレーには遠かった。最大の武器ドリブルで一度も崩せなかった。
過信やアトレティコ戦へ気持ちが行っていた可能性については、この7つのポイントには入っていませんでした。鉄板イレブンを送り出した時点で“最強状態”のバルサですから、それでダメだった場合に流れを変えられる選手がいない、ってのは厳しいです。
SPORT紙のフォルク編集長はまた、去年の“アノエタ事件”以来チームと“休戦”することで信を得て結果も出してきたルイス・エンリケなので、中心選手をベンチに座らせることは出来なかっただろう、大一番ではラキティッチをアルダに代えることくらいしか監督に出来ることはない、システムが上手く行き過ぎたために監督に操作できる余地はほとんどない、との見解。ルーチョがトリデンテに相当気を使っているのは間違いないでしょうし、少なくとも今季はトリデンテと心中でいきそうな感はあります(アブラカダブラ!)。
20分間のグループセラピー
とはいえ、ルイス・エンリケに出来るのは鉄板イレブンを大一番に送り出すことだけではないでしょう。たとえば、勝つべき試合で負けて凹んでいる選手たちの精神や身体を次の大一番で戦える状態に持っていくのもテクニコの仕事です。MD紙が伝えるところによりますと、クラシコ敗北の翌日、つまり昨日のトレーニング開始前にコーチ陣と選手たちによる約20分間のミーティングがあり、敗戦の分析などが行われたのだそうです。
MD紙によりますと、ルーチョチームの面々は今回のクラシコ敗北にだいぶショックを受けています。その理由はジダネチームが会心の試合をしたわけでもないのに負けたから。白組さんは前半はほとんど守備しかせず、彼らがシュートを打ち出したのはピケの先制点が決まった後からなのに、それでも負けてしまったことに凹んでいるようです。
ミーティングでは試合に負けた要因として、激しさの欠如、3日後に待つアトレティコ戦、ポジショニングの悪さ、代表戦の疲れ、トリデンテ不発、ラテラルの脆さなどが挙げられたと同紙は言っていますが、なにぶんロッカールーム内のことなので事実がどうであったかは分かりません。ただ話し合いが行われたのはおそらく事実でしょうから、そこで彼らが腹を割って意見を言い合い、問題改善へ向けて前進したと期待したいです。スポーツには失敗を次の試合で挽回できるチャンスがある。ルイス・エンリケの“セラピー”効果を、シメオネ組との難戦で見てみることにいたしましょうぞ。
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