大事な試合での気迫のなさにさすがのエンリケも腹を立てたと。
ベニト・ビジャマリンでのベティス戦に0-2で勝利した後の記者会見にて、ルイス・エンリケは試合を「全く苦しまなかった」「私たちが完全にコントロールしていた」と総括。「守備が信じられないほどに良くなっていた」と高評価していましたが、0-0で終わった前半については「消耗するハードな展開」と述べていました。実際前半のパフォーマンスはピンチこそなかったものの得点の気配もなく、思わぬトラブルが発生すればリーガ終了にもなりかねない内容。後半はギアを上げていかねばならないのは明らかでした。
いつもとは異なる強い口調で
前半ダメダメだったバルサが後半になると内容が良くなり、勝負を決着させるパターンは今季も数度ありました。アトレティコとのチャンピオンズ1/4ファイナル第1戦もそうですし、アスレティックとのコパ1/2ファイナル、ロマレダでのマラガ戦などもそう。SPORT紙のデータによると今季のリーガでの全104ゴールのうち、63%にあたる65ゴールは後半に生まれているそうです。
ハーフタイムのロッカールームで選手たちに指示を出す際、ルイス・エンリケは通常声を荒げることなく、理知的に前向きにアドバイスをするとされます(参考:アトレティコ戦逆転のためにルーチョが言ったこと)。しかし今回のベティス戦での監督は、いつもとは異なる方法で選手たちを鼓舞することを決断します。バルサが無事リーガ王者となったなら、チームを救ったと称えられるであろうその決断は、激しく選手たちを叱咤するというものでした。
2日付のSPORT紙によりますと、ロッカールームで選手たちを迎えたルイス・エンリケは見るからに立腹モードだったそうです。そして選手たちに対して、いつもとは異なる口調で自分たちにはもう失敗の余地など無いと改めて伝えた。キミたちのプレーに気迫が感じられないと伝えた。そのボスの変化に選手たちは驚き、ハッとしたんじゃないでしょうか。同紙が伝えるルーチョのスピーチは次のようなものです。
「キミらはリーガ優勝したいのか、一体どうなんだ?こういうことを訊くのは、優勝したくないように見えるからだよ!キミらのプレーには激しさがないし、スピードもない、何にもない。まるで私たちには何も懸かっていないように見える。キミらが一歩前に進み出るか、私たちがリーガを棄てるか、そのどちらかだ。それはキミら自身に懸かっている!」
このボスの鬼気迫る叱咤に選手たちは反応し、後半はギアを上げて10人のベティスを圧倒、無事0-2として勝利の3ポイントを持ち帰りましたとさ、めでたしめでたしというのがこの話です。ロッカールーム内の出来事なので、真偽の程は不明。怒号が轟いていたなら、通路からある程度聞こえた可能性はあります。後半のチームの動きは違っていたので、なんらかの処方が為されたのは確かでしょう。ただ、報じる側のなんらかの意図が含まれているとも考えられます。
何故前半が低調だったのか
むしろ気になるのは、ルイス・エンリケがハーフタイム中に選手たちに喝を入れたのが事実として、では何故そういう叱咤がなければバルサ選手たちの動きが冴えなかったのかです。
バルセロナがリーガ優勝を果たすためには、残り試合に勝つしかないのはとうに分かっていました。ならば失敗は避けたいとの思惑も働くにせよ、キックオフ直後からもっと激しくいくのがあるべき姿ではなかったかという疑問。試合開始前にもルイス・エンリケはチームを鼓舞しているでしょうし、マドリー勢が揃って勝ったとの情報もあったでしょう。それでも尚チームはふんわりとプレーを始めたということになります。経験豊富な選手たちゆえの弊害があるのでしょうか。
幸いベティス戦では35分にウェステルマンが退場となり、さらに後半開始すぐにアダンが初歩的なエラーを犯したことがバルサの勝利を後押ししました。しかしそれは幸運の部類に入るもので、前半45分を無駄にするような試合運びは推奨されるものでもないでしょう(あちらの表現でいうところの“火遊び”)。試合をコントロールするのは早めに勝負を付けてからで良いわけで、無得点のままズルズルいくと焦りも呼びます。ファンとして実に落ち着かない。リーガの残り2試合とコパ決勝は、後半勝負は避けてほしいです。
ハーフタイム中に監督に尻を叩かれたことで後半のパフォーマンスが上がるのなら、精神的な理由で前半は緩くいったことになります。そしてシーズンの成否が懸かってくるこの局面で、それでいいのか選手たち。体力的なものでないのなら、日曜日のエスパニョール戦は今季のカンプノウ最終戦になりますし、最初からガツンといきましょうぜ。
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