バルセロナの首位変わらず、タイトルへまた一歩前進。
レアル・マドリーがベイルのゴールによって、レアル・ソシエダに0-1で勝利。一方でアトレティコもグリースマンのゴールによってラージョに1-0の勝利。いずれも辛勝でしたが結果が勝ちであることには変わりなく、3チームで最後の出番となり、暫定3位でベティス戦のキックオフを迎えたFCバルセロナが首位で今節を終えるためには、勝利が絶対条件でした。競争者としてのメンタリティが試される状況です。そしてルーチョチームはそのプレッシャーに屈することなく、3ポイントをアンダルシアから持ち帰ります。これにて3チームのポイント差は前節と変わらず。しかし違っているのは残り試合がまた1つ減り、バルサが着実に優勝へ前進していることです。
ベティスの自滅をしっかり活用
今回のベニト・ビジャマリンを訪れてのベティス戦は、華々しいフットボルではなくともとにかく結果を重視、という試合でした。前節スポルティング戦から1週間の準備期間があったことで、体力を回復した選手たちの個々の動きはそう悪くない様子でしたが、チームとしてのフレッシュさはそう簡単には戻ってこないようで。0-0で終えた前半は忍耐強くパスをつなぐことに重点を置いたプレーに終始し、得点機を作るどころかシュート数も片手で収まるなど寂しい出来で、心配性のクレを焦らせるに十分でした。
ただ、このベティス戦のバルサは相手の自滅という強力な後押しがありました。一つめは前半35分にしてウェステルマンがドブレアマリージャで(勝手に)退場となったことです。10人となったベティスは4-4-1のワントップにせざるを得ず、攻め手が減少。バルサは守備の的を絞ることができ、後半はベティスに1本のシュートも許していません。
そしてもう一つがポルテーロのアントニオ・アダンの初歩的なエラーです。試合前日、愛する古巣マドリーの優勝を後押しするべく「バルサを困らせたい」と述べていたラ・ファブリカ出身の彼でしたが、49分に自らのエラー(飛び出したのにクリア失敗)でイバン・ラキティッチに先制点を献上。前半は一つの決定機も作れなかったバルサだけにこのラッキーな先制点はありがたく、そこからは気分を楽に試合を進められました(一時期ベティスにボールを譲るような時間帯があり、勝負を一気に決めるかどうか、迷ったような節あり)。本当に安心したのは、80分のスアレスの0-2弾の後ですけれど。
ネイマールの復調、守備の改善
前半からフルスロットルで勝負を決めにかかるのではなく、ゲームをコントロールすることにまずは重点を置き、危なげなく勝つことをルーチョチームは優先したようです。試合後のルイス・エンリケは「私たちが完全にコントロールした試合だった」と振り返っています。しかしながら開始5分でベティスに最初の得点機を作られたことや、0-1のままで約30分間進めたことは、外野としましてはどうにも心穏やかではいられない。結果として上手くいったので良かったのですが、もはやチームに激しさは求められないのか、との印象です。
中央をがっちり固めてカウンターを狙ってくるチームをどう崩すか。リズムの悪い前半は、強引な中央突破が決まる雰囲気は皆無。ならば、と両ラテラルがサイドを突くも、センタリングは全てベティコの壁に弾かれていました。一方でギアを上げた後半はライン裏へのボールが決まるようになります。このあたりはルイス・スアレスの動きが実に巧み。2ゴールをお膳立てしたレオ・メッシのパス精度もすばらしかったです。メッシはこれで15アシストとなり、リーガのアシストランキングで首位スアレスと並んでいます。
南米トリデンテでは、ネイマールに復調の兆しが見えたのも朗報でした。得点には結びつきませんでしたが、持ち味である1対1のドリブル勝負を挑めるようになっていたネイ。ルイス・スアレスが珍しく決定機を外していなければ、ネイマールのパスをきっかけとして1つ2つゴールが生まれていたところでしたし、左で攻撃を作れる彼の復調は、国内二冠へ向け歩みを進めるチームにとって明るい要素です。
あとはルイス・エンリケも強調していますが、相手ボールの際の囲い込みが割と上手くいっていたことも、次へと向けた明るい材料となっています。
ルイス・エンリケ「リーガはだんだん近付いてきている」
「リーガ(優勝)は次第に近付いている」。それがベニト・ビジャマリンでの任務終了後、ルイス・エンリケが発したメッセージでした。第36節のベティス戦に勝利したことによって、早ければ次の日曜日にもカンペオンになれるかもしれないバルサ。現実的にはマドリー勢が揃ってコケるとは考えにくく、レースは最終節へもつれ込むのでしょうが、監督の言葉からは自信と手応えが感じられます。一見苦しんだように見えるベティス戦も、ルーチョにとっては安定の勝利だったようです。
「私たちが苦しんだとは全く思わない。私たちが完全にコントロールし、支配した試合だったよ。ピッチコンディションは良かったけれど、とても乾いていたね。ただそれで被害を受けたのは私たちよりもベティスだったけれどね」
「試合にはとても満足している。今日は守備面で信じられないほどの改善が見られた。私たちは非常に高いレベルで守り、相手には1回しか得点機を作らせなかった。ここ数試合では圧勝していたとはいえ、相手チームに得点機を作り出されていた。相手に得点機を作らせなければ、こちらの勝機は膨らむだろう。だから今週の私たちは、守備面の改善に取り組んできたんだ」
「毎試合0-8で勝たなければ、私たちが機能していないように見えるけれど、それはみんなが悪慣れしているからだ。私たちは真剣に試合に臨んでいるし、これは非常に競争力の高いリーガであり、優勝を狙う3チームはどこも非常に高いレベルにある。私はどのチームも取りこぼしをしないと思っているよ。全ては私たち次第だ」
「前半は石を削っていくようなハードな展開だったね。後半はすでにこちらが数的に優位となっていたし、試合を決着することができたよ。自分たちには勝利しか価値のないことは分かっていた。私たちは非常に良いレベルにあったと思う」
「自分たちがリーガを制したとは考えたことは全くなかった。とはいえ現在も私たちが首位であることは変わりなく、結果が自分たち次第なのも変わらない。私たちは為すべきは自分たちの試合に勝つことだよ。ライバルたちの取りこぼしを期待することはできるけれど、重要なのは私たちが今日のように信念を持って試合を解決していけることだ」
そしてルイス・エンリケはこのベティス戦の勝利を、前日にこの世を去ったカンプノウのアナウンス担当マネル・ビクさんに捧げると述べています。「勝利を彼に捧げたかったんだ。マネル・ビクは60年間、バルサの“スピーカー”だった人。彼の死を私たちは悲しんでいる」
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