バルサ移籍が突然消えたセントロカンピスタが胸中を語る
クラブ間合意も成立し、あとは公式発表を待つだけだとすら言われていたジャン・セリのバルサ移籍が突然破談になったニュースは、大きな驚きを世界中のバルセロニスタに起こしました。しかも土壇場で獲得を止めたのは、“スポーツ的な理由”というから余計に訳が分からない。9月1日あたりのロベルト・フェルナンデスによる総括会見では、この件は重要なテーマの一つとなるでしょう。
ナポリ戦当日にバルサが来て
そんなジャン・セリへのインタビューが、8月28日付のMUNDO DEPORTIVO紙に掲載されていました。愛するバルサにあのような扱いを受け、セリは今どのような気分でいるのか。それについて彼は、「ものすごく気分が悪いし、とても動揺している」「バルサへ行く僕の夢は破れた、それは僕にとってゾッとすることなんだ」と説明しています。
交渉が決裂した経緯に関してセリは、ニースでの最後の試合となるはずだったナポリ戦(チャンピオンズ予選)の日、「バルサは僕の移籍交渉を完了させるためにここに来ていた」と明言。そしてバルサがきたことは、彼の心理に大きな影響を及ぼしたようです。曰く、試合前とはいえ「それを忘れるのは不可能」で「言い訳はないけど」「100%で試合に臨むことは不可能だった。そう試みたけど、不可能だったよ!」と。それはあたかも、意識しないようにしても無理な恋心の如しか。
ならば、バルサ移籍を強行するためにナポリ戦を欠場する選択肢はなかったのかと訊ねられたセリは、「その可能性も頭をよぎったけれど、自分のクラブのために戦うことを決めたんだ。もしプレーをしなかったら、それはチームメイトたちに対して不誠実だったから。ナポリ戦は全員の出来が悪かったよ。僕が資質を表現するには、チームがボールを持つ必要がある。あの試合はそうはならなかった」と返答。好感がもてます。
そしてそのナポリ戦の不出来が理由でバルサのテクニコが獲得を止めたとされる件については、「そう言われてるの?なら僕があなた(記者)に質問をするよ。あなたはバルサがよく知らない選手のために3,000万ユーロ以上を払ったと本当に考える?僕はそうは思わないよ」とのことです。
「バルサへ行くことへの恐れはない。僕は子供の頃からバルサのインチャなんだ。この偉大なクラブの規模は知っているさ」
ニースからの説明はなし
ナポリとの試合後、セリは報道陣に対して「今日がニースでのラストゲームではなかった」とコメントしましたが、その反面、バルサ移籍は成立すると考えていたようです。
「試合が終わったあと、FCバルセロナの人たちと1時間以上話をしたよ。僕の契約が後退したことは、なにも言われなかった。僕は喜んで家に帰って、次の日、ニュースを知ったんだ。自分には理解できない形でオペレーションが壊れたのを見て、ビックリ仰天だった。それから僕は、何があったのかを理事たちに聞くためにニースのオフィスへ行ったよ。で、僕は爆発した!あなた(記者)には壁が震えたと保証する。ニースの理事たちは僕に何も言わなかったし、僕の目も見なかった。何かがあったのは間違いないんだ。ニースは僕にあることを約束していたんだけど、それは果たされなかった」
このあたりから察するに、ニースの方もなにかかなり後ろめたい事実を抱えているのは確かそうです。ニースはセリと、4,000万ユーロ以上のオファーがあれば邪魔をせずに協力すると約束していたと報じられますし、ネイマール資金を持っているバルサに対し、ぎりぎりで値上げを仕掛けてきたか。
ニース幹部の振る舞いについてセントロカンピスタは「例えばローマからは何度もオファーが出されていたし、僕はモンチと何度も話したんだ。この移籍は経済的な理由で生み出されたものじゃなかった。モンチはニース首脳にウンザリしていたよ!ローマは良い選択肢だったけど、バルサの件とはなんの関係もない」ともコメントしています。
もしニースとの交渉が決裂したことによる突然の破談だとすれば、バルサは何故、その理由をスポーツ的なものと言うのか。そもそもそのスポーツ的理由、というのも本当にクラブが言ったことか。コウチーニョ交渉の行方次第で、まだどんでん返しがある?セリは「自分が調べたところでは、僕のニース退団は財政上の理由から生まれたものじゃなかった」と言っていますが・・・。
これからの展開についてセリ自身は楽観的に、「楽観的でありたいし、まだ選択肢はあると考えたい」「待って、神の手に僕の運命を委ねるよ」と語っています。泣けるのはこんな仕打ちに遭っていながらも、クレは止めないと語ってくれていることです。「僕はバルサのファンだから、何が起ころうとこのクラブを心の中に抱いていくさ。今回のことは僕にとってかなりのダメージだったけどね」
この言葉を、クレ的 8月の一番嬉しい言葉に勝手に認定。ありがとう。
チャビに感謝を伝えたい
ちなみに、、このインタビューでセリはいかにバルサ入団を楽しみにしていたか、チャビからの称賛がどれだけ嬉しかったのか、などについても語ってまして、特にチャビに関しては、「彼の自分についてのコメントにはすごく感動したよ。それは名誉なことだし、フットボルで目標としている人にそう言われるんだもの、彼の言葉を読むのは、魔法にかかったような感覚だったね。彼には自分の口から感謝を伝えたいと思ってる」といった具合。きっと、その願いは叶うんじゃないでしょうか。
コメント
このインタビュー記事には流石に心が痛みますね。
私自身はデンベレの獲得を歓迎しましたが、彼の取った行動はセリとは対照的なだけに余計に複雑な気持ちです。
セリには幸運を祈るとしか言えませんが、デンベレにも(成果とは別に)しっかりとサポーターと信頼を築いていって欲しいものです。
はじめまして。
こちらでセリを知って以来、ずっと彼にバルサに来て欲しいと思っていました。
なので、先週のバルサの動きには完全に振り回されました。ショックでした。
テクニコの判断とのことですが、なるほどセリのプレーはコウチーニョに比べれば洗練に欠け、ヴェラッティに比べればアイデアに欠けているかも知れません。
しかし彼のプレーからは、我流とは言えシャビのプレーを自分のものにしようと、丁寧に、ひたむきに努力をしていることが伝わってきます。
(あくまで独学なのでしょう、どうしても表面的にシャビの仕草を真似ているだけのように見えてしまう場面もありますが・・・)
26才と、今からバルサデビューするにはやや遅咲きとは言え、あれほど意欲のある選手なら、しっかりと系統立ててバルサイズムを学びつつ、ブスケツ・イニエスタを助けて中盤を形成することも可能ではないかと思います。