忍耐とアブラカダブラ:アーセナル戦

メッシの2ゴール+テル・ステーゲン完封で1/4ファイナルへ大きく前進。

やはりこのチームはファンの期待を裏切りません。これまで未勝利だったアーセナルの本拠地エミレーツ・スタジアムへと乗り込んでのチャンピオンズ1/8ファイナル第一戦は、レオ・メッシの2ゴールとテル・ステーゲンの堅守によってFCバルセロナが0-2で勝利。3週間後にカンプノウで行われる第二戦へと向け、非常に大きなアドバンテージを手にしました。

前半は我慢

前半の45分間は、バルセロナにとっては我慢の時間でした。事前情報にて、最近のアーセナル(ベンゲル)がポゼッションにこだわっていないらしいことは知っていましたが、欧州王者バルサを地元エミレーツへと迎えるにあたって、フランス人監督が用意したプランは自陣で守ってからのカウンター攻撃。自分たちがボールを持てば、カサでの戦いですから勿論前には出てくるのですが、バルサがパスを回し始めると全員でエリア周辺を固める様子は少々驚きでありました。バルサもルーチョの手によって変わりましたが、ベンゲルさんもずいぶんと現実的になりましたな。

アーセナルが主導権を譲り渡したことで、前半のバルサは70%を超える率でボールを支配します。しかし10人でゴール前を固められてはスペースはありませんから、忍耐強くパスを回す時間が続く。この対決を180分勝負と捉えた、待ちのパス回しです。ペップバルサなら電光石火のティキタカで崩したのかもしれないですが、今のルーチョバルサにはそれほどのパスワークはない。前半はジリジリとしたにらみ合いとなり、バルサが最初の決定機を作り出したのは実にハーフタイム数十秒前のことでした(ポストをかすめたスアレスのヘッド)。

一方でグナーはカウンターから好機を演出します。どれだけボールを支配しても何度かは速攻を許すわけで、自陣で引いてカウンターの機会を窺うこのベンゲルの作戦はバルサを苦しめる点において、まずまずの効果を発揮していました。テル・ステーゲンが阻止した21分のチェンバレンのシュートは、かなり危なかった。前半は我慢の時間でした。

後半は打って変わって、オープンな展開となりました。もっと守備的なチームであれば、地元でのイダを0-0で乗り切ってカンプノウで0-1勝利なんて方程式を狙ったかもしれませんが、アーセナルはそこまで保守的でもなかったようで。彼らが前へと出てきたことでボールは両陣営を忙しなく行き来するようになります。スペースの欲しかったバルサとしては、それは好都合な展開でありました。そして時が熟した瞬間、アブラカダブラほいの呪文をひとつ唱えれば、芸術的なカウンターが発動してレオ・メッシがネットを揺らすわけです^^

やはりメッシ

このトリデンテ印のカウンターは見事でした。あるいはネイマールルイス・スアレスも仕上げ役=主役になれたとは思うのですが、ここでその役割を“持っていく”ところがレオ・メッシの偉大さでもあります。ネイマールからラストパスを受け、守護神チェクの壁を打ち抜く直前に入れたフェイントはさすがの一手間。チェクさんが持っていた“メッシから得点されたことのない数少ないポルテーロ”という称号も、この夜で終了となったのでした。

メッシはさらにその後、もう一つの“宿題”を片付けることにも成功しています。メッシは83分、自ら受けたファールによって手にしたペナルティキックをきっちりとネットへ沈めましたが、対チェクのペナルティと言えば思い出されるのが2012年チャンピオンズ準決勝(対チェルシー、2-2)でのクロスバーを叩いた場面。これが決まっていれば2年連続の決勝進出、という局面でのペナルティ失敗でしたから、レオがどう感じているかは分かりませんが、ファンとしてはちょっとしたお返しをした感はあります。

ちなみにこちらのゴール、FCバルセロナの公式戦での通算1万ゴールだとか。レオは先週のスポルティング戦でも1万ゴールを決めたと報じられてましたが、集計方法の違い?いずれにせよ、そのどちらも決めてしまうところがメッシメッシたるところです。

レオ・メッシは試合終了後、チームの快勝についてこうコメントしています。「今日は幸運なことにチェクからゴールを奪えたけど、まず何よりも強調すべきは、偉大なチームを相手に僕らがすばらしい試合をしたことだよ。チームみんなで果たした仕事に僕は満足してる」、「アーセナルは前半にすごく良かったけれど、僕らは最後までそのリズムが持たないと分かってたんだ。後半はスペースができて、より快適にプレーできたよ。そうやって最初のゴールも生まれたしね」、「良い結果だけれど、勝負はまだ付いちゃいないさ。彼らの力を僕らは知ってる」

能力を示したテル・ステーゲン

今回のアーセナル戦にてバルサが勝利し、1/4ファイナル進出のための大きなアドバンテージを得ることになった立役者の一人は、ゴールを死守しグナーの得点をゼロに抑えたマルクアンドレ・テル・ステーゲンでした。

2ゴールの手土産を持ち帰ったのはトリデンテのパンチ力ですが、ポルテーロの大活躍がなければ話はまた違っていたわけで。前半にはチェンバレンのチャンス阻止もさることながら、後半のジルーのヘッド弾を右手一本で弾いたパラドンは額に入れて飾っておきたいほどの好プレー。このドイツ人守護神の働きがなければ、バルサがエミレーツでの初白星を得ていたかどうかも分かりません。さらにジェラール・ピケが85分にカードをもらい、累積警告を“清算”したことも、0-2ゆえに可能な選択でした。

バルサの守護神に求められる仕事は、時折訪れるピンチを確実に防ぎチームを救うことにあります。聖テル・ステーゲンと呼ばれるようなパフォーマンスが出来れば、決定機を作られたのはマズイとはいえポルテーロとしては大合格。この夜のテル・ステーゲンは、自らがバルサの守護神に相応しい資質があることを改めて示しました。クラウディオ・ブラボもまた非常に安定しているのでリーガでの出番は難しいですが、テル・ステーゲンにはやはり新天地なんて言わずにカンプノウの正ポルテーロを目指してほしいですよね。

てなわけで、攻守のカギとなる選手たちが力を発揮し、チーム全体としても称賛されるべきプレーを示してのエミレーツ初攻略。まだカンプノウでのブエルタが残っていて、油断すれば何が起こるか分からないスコアではありますが、この0-2で1/4ファイナルへと大きく近付いたことは間違いないです。3週間後もビシッと締め、欧州連覇の夢へ向けまた一歩進もうではないですか。アブラカダブラ!バモス!

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