もっと伸び伸びとプレーを楽しみたいというデランテロ。
この夏のプレシーズンから“今年のヤツは違う”と言われ、たしかに元気よくプレーはしていたものの、ゴールには恵まれていなかったアレクシス・サンチェス。先日のバジャドリー戦ではバルサで6回目となるドブレッテを決め、いよいよエンジン全開かとの期待も高まります。アレクシスに関しては、イタリアでの輝きをカンプノウで放てないのは精神面の影響が大きいと言われていました。その点において、昨シーズン終盤にティトから残留を明言されたことが重要だったようです。「それで落ち着いたし、プレーが良くなって得点も決まった。僕は解放されたよ。僕にとって監督の信頼はすごく良いことなんだ」
攻撃陣にとっては快適な状況
バジャドリー戦の勝利を祝うバルセロナのスポーツ紙、SPORTとMUNDO DEPORTIVO(MD)の見出しは奇しくも共通していました。“JUGADORAZOS”。これは“スゴイ選手たち”の意味で、元々はアレクシスが自らを称して語っていた言葉の引用です。当時は、サンちゃんが愉快なことを言ってるネ!くらいの扱いだったのですが、最近は周囲も彼のことを“フガドラッソ”として認めてきている。それはクレとして純粋に嬉しいものであります。
そのサンチェスへのインタビュー記事が、金曜日のMD紙に掲載されていました。タイトルは「爆発する準備は出来ている」。翌土曜日の活躍は、まさにその言葉を守った形となったわけです。アレクシスはまっすぐな人柄なので、コメントもなかなかに興味深く好感が持てます。ここではその幾つかをピックアップしてみましょう。
まずは最近まで議論となっていたタタチームのプレースタイルについて。ダイレクトな速い攻めはあなたにとってはプラスに働くのではないですか?との問いに対する答えです。「デランテロにとって良い状況だよ。去年の僕らはボールを回し過ぎていた。そしてデランテロの前には2、3人のデフェンサがいたんだ。それが今は違っていて、速攻の時には毎回1対1になるし、エリアに入れる状況が多くなってる。デランテロにとっては、それは居心地がいいんだ。ボールを回すのか、それとも1本のパスで攻めるのかは、僕らの後ろにいる選手たち次第だけれどね」
ピッチでもっとプレーを楽しみたい
「イタリアではいつも1対1になっていた」から、速攻は大好物だというアレクシス。前を向いて仕掛けていけ、というマルティーノ監督の指示は彼にとても合っているようです。彼はプレーの修正点について、こう語っています。「プレーを開始する前の決断だね。時々僕は悪いプレーを選んでしまって、フィニッシュにいけない。もっとフィニッシュしなければいけないし、正しいプレーが何かを分かっておく必要があるんだ」
自分は試合後にあれこれと考えるタイプだ、とアレクシスは言います。「自分がピッチで出来なかった事について何度も考えるね。何故シュートを打たなかったのかとか、どうして立ち向かっていかなかったのかとかね・・・僕はフットボル選手としての自分の能力を知っているし、自分が1対1に立ち向かえること、相手を抜けることを知ってるんだ。僕はバルサのプレーを学び、イタリアでしてきたことにそれを足さなければならない」
カルチョとの違いに関して、サンちゃんはこう語りました。「イタリアではボールを失っても目立ちはしなかったし、その後も前線で戦い続けていたよ。ここでは違っていて、もし僕が3回連続でボールを失ったら、相当目立つ。バルサではいつもチャレンジし、ボールを3回失うことは出来ないんだ。いつチャレンジしていいのか、いつチームメイトにパスをするのかを分かってる必要がある」
監督の信頼を手にした今季、アレクシスは次のような目標を設定しています。「もっと伸び伸びと自分のプレーをして、もっと得点をあげてもっとアシストすること。レギュラーを勝ち取ること。僕はピッチでもっと楽しみたいんだ。これまでは時々自分に腹を立てて試合を終えていたからね。以前の僕は自分のプレーを楽しんでいたし、ここでもそうありたいと思ってる。でもそれは自分次第だ」
ニックネーム“カチャイ”
とまあ、短いですがフットボル話はこのあたりにして(^^;、最後にロッカールームの雰囲気が伝わるコメントを紹介します。アレクシス・サンチェスはチームの中では“カチャイ(cachai)”と呼ばれているそうです。これはチリの人たちが使う俗語で、“分かった?”という意味。“~だからバルサは他と違うんだ。カチャイ?”という感じに使います。それがもう完全にチームに定着していて、「今ではミスター(監督)まで僕をカチャイって呼ぶんだよ」と言うサンちゃんです。
では何故バルサの面々は彼をカチャイと呼ぶようになったのか。アレクシスの説明はこうです。「僕がいつもそう言ってたんだ。チームメイトたちが僕の言うことを理解しているのかどうか、自信がなかったからね」
そして記者さんは訊ねます。レオ(メッシ)が以前、あなたのことを唯一理解しているのは自分だと言っていましたよ。「いや、本当のところ、レオは僕を全く理解してはなかったね。ただ1人僕のことを解ってくれていたのは、ピントさ(笑)そう、彼は通訳だったよ。今でも自分がみんなに理解されているのか全然自信がないんだけど(笑)」
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