マドリー選手たちより、選ぶ車が控えめだったティトチーム。
他のクラブでビッグになったスター選手たちを揃えているマドリーに比べると、少年時代からラ・マシアで育ってきた選手が多いバルサの選手はやや地味めです。地味といってもバロンデオロのファイナリスト常連たちや、セスクやビジャなど大スターが揃ってはいるのですが、基本としてあるイメージは”庶民的”。メディアで見かける私服もほとんどがTシャツ+ジーンズですし、派手に遊んでいる図は浮かびにくい。そんな控えめな感じが表れたのが、バルサと白組選手たちによるアウディ(Audi)から1年間提供される車の選び方です。
アウディによるクルマの1年譲渡会
チームがモスクワ遠征から帰国した21日、ティトチームにはちょっとしたお楽しみが待っていました。ライカー監督時代までは毎日の練習場として使用され、現在は駐車場へとその姿を変えているラ・マシア横のグラウンド跡地にて、毎年恒例アウディによるトップチームへのクルマの1年貸し出し会が執り行われたのです。
バルサの公式サイトを開いて、ページを下の方へとスクロールしていけば、クラブのメインスポンサーたちのロゴが目に入ります。アウディ社はラ・カイシャ(La Caixa)、トルコ航空(TURKISH AIRLINES)、TV3、エストレージャ・ダム(Estrella Damm)とならぶプレミアムパートナーの一角。ナイキ(Nike)やカタール財団(Qatar Foundation)は最上位のメインパートナーというやつです。
で、そのプレミアムなパートナーであるアウディからは毎年、トップチームの選手と監督に自由に使っていいクルマが提供されます。昨日はそのクルマの鍵の譲与イベントがあり、広報活動も兼ねた交通安全イベントも行われたのでした。イベントには選手他、自分自身がソシオ、または親がソシオだという子供たち(8-10歳)25名が参加。交通安全のためのレクチャーをアウディの人から受けたり、駐車場に設けられたミニサーキットにて子供たちへの交通ルール授業(ちびっ子たちが小さなアウディに乗ってコースを走り、おちゃめな選手が前へ飛び出したりしてアクシデントを演出)をしたりして楽しみました。
平均5万8千ユーロ対7万ユーロ
さて今回のこの記事は、ここからが本題となります。SPORT紙に掲載されている情報によれば、倹約するところは倹約する、というバルサのポリシーは、こういうところにもよく表れているというから面白いものです。
毎年恒例のこのイベントでは、選手たちはそのシーズンにアウディから提供を受けるクルマを各自選べます。アウディのラインナップの中から、好きなクルマを選べばいい。というわけで今回バルサの選手たちがどの車種を選んだのか、SPORT紙調べによる情報を紹介してみましょう。ちなみにジョルディ・アルバは運転免許を持っていません^^
■A1 Sportback 1.4 TFSI S tronic 25,000€ :ビジャ、アビダル
■Q3 2.0 TDI quattro S tronic 40,000€ :ティト・ビラノバ
■A5 3.0 TDI quattro S tronic 53,000€ :クエンカ、モントーヤ、ムニエザ
■A5 Sportback 3.0 TDI quattro S tronic 53,000€ :ペドロ、アレクシス
■Q5 3.0 TDI quattro tiptronic 59,000€ :プジョル、ジョナタン、ピント、チアゴ
■Q7 3.0 TDI quattro tiptronic 65,000€ :バルデス、イニエスタ、バルトラ、アルベス、ブスケツ、メッシ、テージョ、ピケ、アルバ、マスチェラーノ、ソング、アドリアーノ
■A7 3.0 TDI quattro tiptronic 67,000€ :チャビ、セスク
(価格はSPORT紙のものです。クルマには詳しくない管理人の調べでは、QシリーズがSUVモデル。Aシリーズが一般的なモデル)
上のリストを見て気がつくのは、ダビド・ビジャとエリック・アビダルがアウディでは安い価格帯の車種を選んでいる点です。病気になって人生観が変わり、高級車は全部手放したというアビさんの価値観はここにも出ています。ティトもイメージに沿った控えめな選択。81,000€もするA8を選択したモウリーニョとはエライ違いです。レアル・マドリーもアウディがスポンサーなので同様の提供を受けていて、彼らの選択はバルサよりずっと高価だったのです。
白組の選手たちは大半がQ7以上のグレードを選んでいまして、一番安い車種を選んだのは第3ポルテーロであるナントカ・フェルナンデスのA5。クリスティアノに至りましてはR8 coupe 5.2 FSI quattro R tronicなんていう、それはカッコいいスポーツクーペを選んでいます。こちら価格も桁が違って140,000€だそうです。合計金額を見てみれば、マドリーが1,758,000€なのに対して、バルサは1,500,000€。ひとり平均では白組70,000€と青えんじ組58,000€となります。
また、毎年恒例となっているアウディによるクルマの提供イベントですが、今回は去年までと趣きが異なっています。覚えている方もいると思いますが、一年前はシウター・エスポルティーバ内にわざわざオフロードコースを作って、選手たちがワイワイ楽しんでいました。その前はたしか、レース用のサーキットでがんがん飛ばすのを楽しむイベントでした。しかし今年は、子供たちを招いての交通安全講習。2週間前のマドリーがこれまでのようにサーキットでストレス解消をしていたのと対照的に、バルサは啓蒙活動を選択したわけです。
いろいろな思惑があっての選択だとは思いますが、選手たちがサーキットで遊んでいる写真よりも、子供たちと笑顔で交通について学び楽しんでいる写真の方が、確実にイメージはいい。それにこちらの方が、なんといいますか、ずっとバルサらしいんですよね。良い選択だったんじゃないでしょうか。
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