3点で済んで良かったくらいの敗北。
2014/15シーズンの初クラシコは、クレにとっては非常に残念なことに、ルーチョバルサの完敗にて終了しました。開始4分にネイマールのゴールで簡単に先制しながらも、試合を落ち着かせることが出来ず、再三サイドを破られてはペナルティやらコーナーキックからの失点で被逆転。バルサはレアル・マドリー最大の武器であるカウンターを防ぐことは出来ず、好いようにやられての帰宅となりました。バルセロニスタとしてはそこがとにかく悔しく、選手たちとテクニコが草を噛んでも這い上がる!と闘志を燃やしていることを願うところです。過去の再現にこだわっていては、茂みから抜け出せなさそうな感もあります。
存在しなかった中盤
ルイス・エンリケはこのマドリー戦に、チャビ・イニエスタ・ブスケツによる中盤トリオで挑む選択をしました。ペップ時代にバルサへと数々の栄光をもたらしたこの3人。体調さえ良ければブスケツの先発は当確として、ルーチョがチャビ、イニエスタ、ラキティッチの中からどのインテリオールを選ぶのかはこのクラシコの注目点の1つでした。ラキティッチ先発が濃厚かとも思われていましたが、チャビがリーガでは3試合連続のフル出場中でイニエスタがアヤックス戦で復調の兆しとなれば、黄金トリオに賭ける案は十分理解できる。クラシコでカピタンを使わずどうする、との思いもありました。
しかし残念ながら、ベルナベウでバルサはこの中盤から崩れます。ルイス・スアレスの良いパスを受けたネイマールがいきなり3-4分でネットを揺らし、クレがホクホクしていたのも束の間。マドリーはすかさずサイドからの攻撃によってクラウディオ・ブラボを脅かし、バルサの守備もマドリーを笑ってはいられないことが判明しました。ヒル・マンサーノ主審の基準には?マークが付きはしましたが、メッシ(9分)、ネイマール(14分)、イニエスタ(38分)が次々とイエローカードをもらったのは中盤でのコントロールが効いていなかった証しでもありましょう。
実質アスルグラナの中盤は存在しておらず、3失点はいずれも易々と前にボールを進められたことによるものでした。バルサにはさらなる惨事に見舞われていた可能性も十分にあった。クラシコの前々日にイニエスタは「最終ラインから前線まで、あらゆるラインでマドリーを上回らなければならない」と言っていましたが、後半はハメス、モドリッチ、クロース、イスコの白い中盤の完勝。交代による修正も機能せず、特に右サイドを突いてのカウンターに特化しいていたアンチェロッティチームの戦い方に対抗する手段を、最後まで見つけられませんでした。そこは事前に用意してほしかったところです。
中盤でボールを持てず、またメッシの出来栄えもいまひとつとなれば、リードを手にしたマドリーの守備バランスを崩すのは至難の業。3-1とされてからの30分は、点差を広げられそうな場面は幾つかあれど、得点の匂いは皆無でした。
なにか新たなデザインが必要
かつてフランク・ライカールトがクラシコにて斜陽のロナウジーニョとデコにこだわり、その結果マドリーにこてんぱんにやられた試合があったと記憶しますが、今回のチャビ・イニエスタ・ブスケツもそれに似ているというか。彼らはバルセロニスタにたくさんの喜びと栄光をもたらしてくれた偉大なるセントロカンピスタトリオですが、今はもう以前の活躍は望めず、新加入のイバン・ラキティッチを主力として新しいものを作っていくしか強豪チームに必然的に勝つ方法はなさそうです。パスフットボルを志向するにしても、動きのダイナミズムがないと厳しい。
おそらくはラキティッチを活かしていくだけでは足りないでしょうから、さらに何らかのプラスがいるわけですが、それがイニエスタの復調になるのか、ラフィーニャやロベルト、あるいはハリロビッチといったカンテラーノたちの成長になるのか・・・。デニス・スアレスは光を感じさせますが、なんにしても今季はセビージャにレンタル中。チャビの上手い使い方はどうすればいいのかも含め、ルーチョ(とアシスタントたち)が良い答を見つけ出すことを願うばかりであります。バルサは“バルサ”ゆえ、時間がかかる覚悟も必要でしょう。。マドリーもここに到達するのに数年擁しましたし、一朝一夕ではいきますまい。
では最後に、厳しい敗北となったマドリー戦終了後のルイス・エンリケの言葉を見ますと、個人的に印象的だったのは「違ったタイプの試合になると予想していた」、「私たちよりも上のチームがいることが明らかとなった」、「PSG戦では私たちにより良い結果が相応しかったけれど、マドリー戦では相手により良い結果となる価値があった」、そして「敗北はチームが学んでいく過程の一部。これから分析し、問題を解決していくよう努力していく。自分らに何らかの価値のあったかどうか、シーズン最後になれば分かるさ」というコメントです。是非、この負けが良い学びの過程となって後の開花へとつながりますよう。ファイト、ルーチョと選手たち。
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