クラックの決定力が勝負のポイントに。
2014/15シーズンのリーガ・エスパニョーラ最終盤戦をどちらのチームがより有利な状況で臨めるか、その位置を賭けて競われた第28節のバルサ対マドリーは、危ない橋を渡りながらも最後はきっちりと仕事をやってのけたルーチョチームの勝利(2-1)で終わりました。前半はマドリーに中盤とペースを握られ、リードを許してハーフタイムを迎えそうな場面も何度かありましたが、それを乗り越えたことと、スアレスの唐突なゴラッソが決まったことでこちらのペースに。ブスケツとチャビの入った終盤は圧倒的にバルサのリズムでゲームを進め、相手に好機をほぼ許すことなく勝利で試合を終えています。なにはともあれ、目標達成であります。
らしからぬけれど、作戦勝ち?
今回のこのクラシコは、なんとも奇妙な後味を残す試合となりました。各方面で言われているように、バルサがカウンターを、マドリーがポゼッションを主な武器として戦い、バルサがらしからぬ勝利を収めた印象。特に前半はマドリーに中盤を制圧され、これで良いのかバルサ… と何度も思い、後ろ向きな気持ちにもなったりしました。アトレティコ戦やシティ戦のような、もっと激しくゲームを支配していくチームを期待していたので余計です。クラシコでむしろモヤッとしたプレーが多いのは、それだけこの試合が特殊だという証ですかね。
10月末のベルナベウでは、チャビ・イニエスタ・ブスケツのトリオを起用し、その結果悲しいほど中盤での戦いに敗れたルーチョバルサ。今回はブスケツが負傷明けだったこともあり、ラキティッチ・イニエスタ・マスチェラーノの編成でアンチェロッティチームを迎えました。相手のカウンターを阻止し、かつこちらのカウンターで相手布陣を破る面子で臨んだわけですが、案の定前半はボールをしこたま回され、ピンチの連続となってしまうからバランスは難しい。おそらくルーチョもそのあたりは織り込み済みで、前半はどうにか打ち合いに応じながら凌ぎつつ、後半にブスケツ&チャビでマドリーを締め上げる作戦だったのではと良い方向に想像します。試合後すぐは不満も多々ありましたが、少し時間が経ってみると“してやったり”のゲームと思えなくもないです^^
(1週間丸々休んでいたマドリーに、シティ戦から中3日で臨んで最後は圧倒していたのも気分がいい。アンチェロッティは“体力ではなく、頭に問題があった”と述べていますが)
バルサ選手で特に輝いていたのは、幾つかのパラドンで失点をクリスティアノの一つで切り抜けたクラウディオ・ブラボと、渾身のブロックでマドリーの攻撃を摘み取ったジェラール・ピケ、そして流れや前兆とは無関係に一発のプレーで決勝点を奪い取って見せたルイス・スアレスでした。試合後にぺぺが「2点目が僕らを仕留めた」と言っているように、このルイシートのゴールは実に意味があった。マドリー選手たちのコメントは、普段バルサが負けたときのそれに似ていて、まあたまにはそういう逆パターンもいいんじゃない、と思うところです。フリーキックからの完璧なヘッドで先制点を決め、守備の高さでも貢献していたジェレミー・マテューも良かったです。
ルイス・エンリケ「ハイレベルな相手に勝てたことに値打ちあり」
バルサ監督として初となるカンプノウクラシコを勝利で終えた後、ルイス・エンリケは試合を次のように振り返っています。「レアル・マドリーが私たちに対して企てたあらゆる困難を乗り越え、私たちはこの勝利を手にすることができた。私は前日、これはリーガの優勝争いにおいて決定的にはならないと言っていたけれど、私たちのファンにとってはとても良い勝利だ。彼らは満足して帰途についたと思う」
■前半と後半の違い
「フットボルの試合においては、様々な局面が訪れるものだ。私たちの試合へのプランニングは、前半も後半も同じだった。相手が試合を難しくしたことで、後に試合状況を読み取り、修正を適応しなければならなかったけれどね。前半はプレッシングを仕掛ける適切な瞬間を見つけるのに苦労をした。後半は良いスタートを切れたし、2-1からはずっと落ち着いて数多くの得点機を作り出せたよ」
■試合への評価
「世界最高峰の実力とパンチ力を持った2チームによる、非常にハイレベルな試合だったね。それ故に双方のゴール前でたくさんのゴールチャンスがあった。私はこの結果に満足しているし、現ヨーロッパ王者であり、偉大な選手たちを擁し、私たちと同様のポテンシャルと同じ目標を持ったハイレベルなライバルに勝てたことにより大きな価値(値打ち)があるんだ。求められる時に苦しみ、そして楽しんだ選手たちを祝福したい。試合終盤にはもっとゴールを決めることもできたのは事実だけれど、逆に失点するリスクもあった。マドリーにもまたゴールのチャンスがあった」
■優勝への確率アップ?
「私は確率論を重んじてはいないし、その手の憶測も好きではない。まだ重要な10試合が残されているし、どのチームも勝点を落としえるんだ。ビーゴでの試合も難しくなるだろう。ただし今の私たちは、かつて自分たちが望んでいた場所にいるわけで、それが重要なことだよ」
■ブラボのセーブ
「そのために私たちは優秀なポルテーロたちを擁している。デランテロたちだけでなく、彼らもまたセーブをして輝くためにここにいるんだ。継続的にプレーしているのは二人だけれど、私たちには三人の優れたポルテーロがいる」
■スアレスのゴラッソ
「彼がゴールを決めた際のあのコントロール、あの領域に達せられる選手はほとんどいないよ。だから私たちは彼を獲得したし、それだけのお金を払うんだ。彼はデランテロというだけでなく、連係する能力にも長けた必殺仕事人だからね、仕上げるために多くのボールを必要としない。彼のコミットメントや姿勢、チームへの貢献の全てに私はとても満足している」
「スアレスとマテューを獲得したのは私と前のテクニコ(監督)の要請によるものだけれど、それが誰によるものかはどっちでもいい。重要なのは彼らがバルサの選手であり、良い仕事をしている点だ」
■ピケの安定感
「ピケはベストのレベルに向かって行ってるね。私はいつも彼が最高のセントラルのひとりだと思ってきたし、だからこそ彼はバルサにいる。今の彼はすばらしい瞬間を迎えているよ」
アンチェロッティ「バルサのカウンターは恐ろしかった」
一方、敵将アンチェロッティさんのコメントを見ると、そうでしたか、とニヤリとします。「非常にハイレベルの2チームの対戦だったと思う。バルサの2点目が入るまでは私たちはとても良いプレーをしていたと思うし、その後は試合が非常に難しくなった。前半はこちらがとても上手くコントロールしていた。前線は効果的で後ろはソリッドだった。しかし最後は同点にするための冷静さを欠いていた」
「ベストなチームが勝ったとは言いがたいし、1時間は私たちのほうが良かった。しかし最後の30分間のバルサのカウンターアタックは恐ろしかったよ。どちらのチームもなにか大きなことをするに値していた。バルサは上手くやったね」「私たちのいフィジカルに問題はなかった。問題だったのは頭だ」
ルイス・スアレスのゴラッソでマドリーが迷いの小道に入り込む一方で、バルサは自信を深めてテンポアップ。それでもまだコントロールを欠いていたので、落ち着かせるためにブスケツとチャビを送り出し、クレ好みのポゼッションで相手の可能性をより搾り取った。。“名将”から恐ろしかった、上手くやったとお褒めの言葉。おや、なにやらルーチョが知将のような^^ なんにせよ間違いないのは、あのルイシートの2点目が試合を分けたことと、彼がバルセロニスタの英雄となったことです。ネイマールは少々心配ですが、、セレソンでゴール感覚を取り戻して帰っておいで!バモス!
コメント
前半劣勢から後半優勢、なんとなくベルナベウクラシコをなぞるような展開でしたね(チームは逆ですが)。
コンディションの都合から前半激しく行けなかったとしたら正にしてやったりの展開でした。
ペップもしばしば消耗戦に持ち込み後半に勝負を賭ける戦術を用いますが、
正にその作戦がハマった形ですね。
レアルは中盤を酷使する上にメンバー固定していてそれが今のチームの不振にも繋がっているとの見方が強いですが、日程で恵まれていたはずの今回の試合でもそれがモロに出てしまった、と。
もっとも自陣での守備は危なっかしいのでボールを回して前半を消化するのが理想ですが、
今の中盤ではそこまでのキープ力はありませんしね。
終盤には中盤を増やして試合を落ち着けることに成功したのですから、
過密日程でボールを奪いに行けない試合が続くなら今後は352も併用していって欲しいです。