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タイトル争いに大きな一撃:アトレティコ戦

クラックたちのパンチ力が勝負を決めた。

要塞カンプノウへとアトレティコ・マドリーを迎えてのリーガ首位攻防戦は、FCバルセロナの2-1勝利で幕を閉じました。バルサは赤白マドリーの序盤のプレッシングに苦しみ、コケに先制点を与えるしんどい展開となりましたが、南米トリデンテの他に類を見ないパンチ力によって逆転に成功。ラフプレーに走りすぎ、9人となったたアトレティコを仕留められずに苦労したことには少々の不満は残るものの、結果を出すべき試合できちんと勝点3をものにするその強さは称賛するしかないですし、このチームなら春に再び大きなことを達成してくれるであろうと信じるに足る試合でした。決定的な勝利というのはまだ早いですが、リーガ優勝争いはバルサ有利に進行中です。

目覚めるのには時間がかかるが…

アトレティコ・マドリーとのリーガ・エスパニョーラ首位対決でFCバルセロナが示したもの、それは美しく勝つことへのロマンを心の一部では追いながらも、ダメならダメでクラックたちの個のパンチ力によってチャンスをものにする現実路線での強さでした。

ルーチョチームはマラガ戦、アスレティック戦(コパ)に引き続き、このアトレティコ戦でも立ち上がりに苦労しました。ここ3試合のバルサはゲームに上手く入ることができておらず、前半の、それも早い時間帯に先制点を与えてしまうしんどい展開が続いています。ここまでのリーガ21試合で8失点しかしていないコルチョネロに先制を許すことは、“逆転のバルサ”であろうとも好ましい入り方とはいえない。幸いメッシスアレスの決定力が問題を解決しましたが、2月に再開されるチャンピオンズでこのようなことを繰り返したなら致命傷となりえるわけで、相手にビンタを食らうまで寝ているクセは直す必要があります。一度目覚めたら、実にえぐいんですけど。

そして南米トリデンテたちがギアをトップに入れた時、彼らのすさまじいパンチ力を阻止するのは非常に困難となります。“残念ながら今日は彼らの日ではなく…”とか“何度シュートを打てどもポストに阻まれ…”というようなことがないかぎり、一度のチャンスを個人能力でなんとかしてしまう別次元のクラックたち。マスチェラーノネイマールジョルディ・アルバとボールをつないでアトレティコの守備を崩したチャンスをレオ・メッシが逃すことはなく、ルイス・スアレスダニ・アルベスからの一本の縦パスを無理やりゴラッソにしてしまいました。特にルイシートの逆転弾なんて、相手からすれば反則級でしょう。規格外にも程があります^^

メッシスアレスネイマールの3人が日替りでチームを引っ張り、最後尾ではジェラール・ピケクラウディオ・ブラボが安定感あるプレーでゴールを守る。その間をラキティッチが懸命に走り回ってカバーする。発熱明けのせいか、ブスケツイニエスタは通常モードに比べると不安定でした。

とどめを刺せずに苦労

バルサが2-1と逆転し、フィリペ・ルイスメッシへの悪質ファール(大怪我になりかねない危険な膝関節への蹴り)で一発退場になった時、試合はそれで終わったように思えました。しかし10人になったくらいで諦めないのがシメオネチームの持ち味。後半の序盤、自陣で待ち構えたバルサに対し、アトレティコは再び攻勢に出ました。このあたり、“1点リード+数的優位”に満足し(たように思えた)、相手の出方を待ったことは、バルセロニスタとしましては少々不満の残るゲーム運びです。実際、バルサは55分にはグリースマンによって同点弾を食らいかけてまして、クラウディオ・ブラボの足先パラドンがなければ面倒なことになっていたでしょう。

今回ルイス・エンリケ2-1から勝負を決める3点目を奪いにいくことよりも、ゲームをコントロールして何事もなく試合を終わらせる道を選択しました(少なくともそう見えた)。3-1とすれば確実に勝負は付きますが、前に出ることで反撃を受けるリスクもある。ならば無理をせず勝ちを優先しようぜという現実路線で、最後までゴールを狙うことが基本であるバルセロナなるチームとしましては、少々物足りない選択肢です。それだけチームがここでの結果を重視していたことは表れていますが。アトレティコが9人となってからは、ゴールを脅かされることはなくなり、目論見どおりに試合を終わらせることができました。

今が3月や4月で、チームのフォームが上がっている時期であれば、2-1で相手が10人という状況で満足せずに3点目、4点目を求めにいっていたような気もします。今はまだ、最高の状態で春を迎えるための我慢の冬。ここ数試合でライバルたちから提出された問題をこれから1ヶ月で解決し、チャンピオンズへより万全の状態で臨めるなら十分でしょう。今回アトレティコに何が劣っていたわけでもないですし、なにより勝てたことに満足です。リーガはこれでだいぶ有利となりました。

どんなボールも全力で競り合い、激しく戦うのがシメオネチームの特徴とはいえ、このバルサ戦での彼らは少々ラフに行き過ぎました。それだけ激しくいかなければバルセロナを止められないと考えたからでしょうが、あれだけハードに当たっていればカードが増えるのも必然ですし、後半にはゴディンもまた二枚目のカードを受けてピッチを後にするなど、結果として自らの首を絞めることになりました。ただ、9人になった後も、ピッチサイドで檄を飛ばしていたシメオネはさすが。そのファイティング・スピリットでマドリーダービーに完勝することを応援しております。

ルイス・エンリケ 「改善点は多いが、耐える力に満足」

指揮官ルイス・エンリケはチームがこのアトレティコ・マドリー戦でベストなパフォーマンスを示せなかったことを認めつつも、強力なライバルに対して選手たちが汗を流し、最終的に良い結果を手にした事に対して高い評価をしています。「改善点は幾つもあるとはいえ、ポジティブな点を評価している」、「チームが行った努力が印象的だったよ」

プレッシングで押し込まれた序盤を、“奇妙だった”とルーチョは表現しています。「私たちはいつものように、攻撃的にいく計画を立てていたんだ。けれども毎回読みが当たるとはかぎらない。序盤は奇妙な展開となったし、私たちは試合に入るのにとても苦労したうえ、エラーの連続から失点も許してしまった。けれどもその後私たちは目を覚まし、アトレティコを自陣に追い込み、ゴールチャンスを作り、2点を決めることができたね」

逆転に成功し迎えた後半、バルサはアトレティコにとどめを差すことができませんでした。1点差を守るのではなく、2点差にして勝負をクローズすることを目指していたんだ、と監督は言います。「できるだけ早く試合を終わらせることが私たちの目標だったよ。しかし私たちは1人多く、後々には2人多くなったにもかかわらず苦労し、試合は最後の瞬間までオープンな状態が続いていた。私たちが良くなかったのは間違いない。とはいえ、耐えることができるこのチームを私は評価しているよ。アトレティコのようなチームに対し、これはとても良い結果だ」

改善すべきポイントは幾つもあるし、私は常々そう言ってきているけれど、この結果に私は喜んでいる。ファンも同じだと思ってるよ」

マラガ戦、アスレティック戦、それにこのアトレティコ戦と相手チームに先制を許している点については、バルサ監督は「それがフットボルだ」とのみ語るに止まり、試合序盤のチームが何故連続して失点しているのかに関する見解は語られなかったようです。

アトレティコ・マドリーに勝利したことでバルサが彼らに暫定で勝点3を付けたことについては、「これが重要な試合だったのは事実で、直近のライバルが勝点を積み重ねられなかったとは言っても、リーガはまだたくさん残っているし、相手チームはどこも難しいからね。何も決まっちゃいないさ」と幸福感を抑えようとしたルーチョ。眼前で行われた危険なファールに激怒していたフィリペ・ルイスの退場については、「私のリアクションを見たかい?あれがすべてを物語っているよ。最悪の事態も考えたからゾッとしたんだ」とのことです。

そして圧巻のゴラッソを決めたルイス・スアレスについて訊ねられたルーチョは、「リバポーですでに完璧な選手だったけれど、ここでさらに良くなっているね」とにっこり。「彼は私たちに多くのことをもたらしてくれる選手だし、それらは全て良いことばかりだ」と称えています。去年の夏頃は獲得を反対して、本当にごめんなさいねルイシート。スアレス明王として拝め奉りたい気分です。南無スアレス。

 

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