輝かずとも勝つ:ラス・パルマス戦

ビッグマッチ直前の敵地戦はこういう試合になりがち。

カンプノウでの試合やビッグマッチではアクセル全開の輝くフットボルで勝ち、そうではない試合では、それなりのパフォーマンスであっても確実に勝点3を積み重ねていく。それがカンペオンになるチームの進み方なのは重々承知しているものの、試合終了直前まで同点とされかねない展開は、なかなかにしんどい観戦体験でありました。15年ぶりとなったグラン・カナリア訪問は、会心の試合をしたラス・パルマスがバルセロナを圧迫。ルーチョチームは多くの時間でボールを追いかけることになり、勝点を取りこぼしそうな場面も一度や二度ではありませんでした。しかしクラックたちのパンチ力によって、きっちり勝てるのもバルサの強さ。とりわけ勝利への重要な要素となったのは、ルイス・スアレスのゴールへの意欲でした。

決定的だったルイス・スアレス

たった7日間でアウェーゲームを3つこなさなければならないハードスケジュール。そのなかでも、エル・モリノン遠征から中2日で、3日後にはロンドンでのアーセナル戦(チャンピオンズ1/8 イダ)も控えているこのラス・パルマス戦は、落とし穴となる危険性の高い厄介なゲームでした。

こういった試合はエネルギー配分が重要になってきますし、どうしても直後のビッグマッチが視界にチラつく。加えて、バルサのそういった状況に可能性を感じる相手チームが気合を入れて臨んでくるため、苦しむことが多くなります。今回のラス・パルマス戦は案の定というか厳しい展開となり、元バルサBのアラウホが再三ゴールを脅かした終盤はまさに綱渡り。それでもまあ、相手からすれば“不当だ”と言いたくもなりそうな勝点3を持ち帰るところが、このチームの強さです。

勝利の立役者はルイス・スアレスでした。3日前のエル・モリノンでの英雄はレオ・メッシでしたが、この試合の大エースは半ば休止モードで決定的なプレーは少なめ。決勝点を決めたとはいえネイマールもドリブルを試みてはボールを失うなど本調子ではなく、先制点を決め2点目でも決定的な仕事をしたルイシートの力があってこその勝利といえます。

チームメイトたちのギアが低めなのとは対照的に、スアレスはアクセルを踏み込み全力でプレーしていました。周囲の手助けがいつものようにない中でも、ゴールを目指して戦うことを惜しまない。この意欲、姿勢がすばらしいです。数字もそうなのですが(25得点でピチーチ競争単独首位)、今季のスアレスの働きは本当に文句の付けようがありません。何度でも言いましょう。獲得を疑問視してごめんなさい。

ブスケツ、ピケ不在の影響

試合内容では、ラス・パルマスの勝利でした。キケ・セティエン監督はこのバルセロナ戦にポゼッションで対抗することを選択し、選手たちはそのプランニングを見事に実行。3本のライン感覚をコンパクトに保ち、中盤を制してボールを奪うや迷うことなくクラウディオ・ブラボの守るゴールへと直行、幾度となく得点機へと結び付けていました。バルセロナのリズムが悪かったとはいえ、テンポ良くパスを展開する様子はどちらがバルサか?と思うほど。後半にはポゼッション率でバルセロナを上回る時間帯もあり、とても18位のチームとは思えない出来栄えでした。

バルサがそれほどまでにボールをコントロールできなかった理由としては、チームの屋台骨である二人の選手、セルヒオ・ブスケツジェラール・ピケの不在が挙げられます。セルヒオはこのラス・パルマス戦をカード累積による出場停止のために欠場。その代役を務めたセルジ・ロベルトはテレビ解説の某氏が言うほどに悪くはなかったのですが、ブスケツと比べれば特に組み立て面で物足りないのは否めず、相手ボールを奪いながら攻撃を作るブスケツの偉大さを改めて感じることとなりました。

アーセナル戦に向けて休養をもらったジェラール・ピケの不在もまた影響が大きかったです。守備においては勿論ですが、最終ラインからのボール供給面でもまた、ジェリがいないとバルサは苦しくなる。二人がいればもう少しボールをコントロールでき、これほどに苦労しなかったのではないでしょうか。この試合でも出番を与えられなかったマルク・バルトラは心配です。

いまいちだったのはアルダ・トゥランです。アトレティコでは不動の中心選手として存在感を放っていたトルコ人セントロカンピスタですが、脇役に回るバルサではまだ自らの場所を見つけるには至っておらず、ラス・パルマス戦でもどうプレーすれば良いやら迷っているようでした。カードをもらって退場しそうな危うさもあり、ルイス・エンリケはハーフタイムでアルダラキティッチを交代する決断を下しています。まあ、まだ彼がバルサでプレーするようになって1ヵ月半ほど。バルセロナの中盤に適応し、輝きを放つにはしばし時間が必要でしょう。

悪かったのはアルダだけに限らず、チーム全体としての動きの少なさ(ポジショニング)、プレッシャーの緩さも目立ちました。これらの点は次のアーセナル戦では解決されていることと思いますけれど。

ちなみに、、アルダ・トゥランは昨シーズンのチャンピオンズ1/4ブエルタ(対マドリー)で退場処分になっており、来週火曜日のアーセナル戦は出場停止になるそうです。知らずに起用して、“チェリシェフケース”になってしまわないように要注意^^;

ルイス・エンリケ 「通常より効率の良い試合だった」

このラス・パルマス戦を見たバルセロニスタの感想はきっと、いつものような激しいプレーはなく、リズムも悪かった、いまいちの出来だった、というようなものでしょう。エスタディオ・グラン・カナリアの記者会見室に現れたルイス・エンリケに対して向けられた最初の質問も、そのいまいちな出来に関するものだったようです。しかしバルサ監督はこの試合がいつもに比べて特別に悪かったわけではない、との見解を示しました。

試合のリズムが低かったとは思わないよ。攻撃の際に速さが不足した場面があったり、いつもよりもトランジションで苦労していた場面はあったけれども、リズムが低いということはなかった。その反対だよ。私たちには試合を終わらせるチャンスも手にしていたんだ。試合終盤には同点を目指してきたラス・パルマスにも得点のチャンスはあったね」

往復の激しい試合になった」ことは認めるルイス・エンリケですが、チームのパフォーマンスには満足している、と言います。「今日はいつもよりも効率の良い試合になったと思う。3日おきに試合を行っていく中で、私たちに求められるのは上手く競いつづけていくことであり、私たちはそれを実行している。ゴール前での精度の高い低い、試合コントロール度の高い低いはあるにせよ、チームには満足しているよ。私たちはこれでライバルたちとの勝点差を(暫定で)広げた。あとはライバルたちがどうなるかを観てみようよじゃないか」

ラス・パルマスに度々進攻を許した件についての、ルーチョの考えはこうです。「トランジションは自陣エリア近くでボールを失わないことと、良いポジショニングで解決される。私たちも理論については全て分かっているけれど、実戦となると常に上手くいくとは限らないんだ。それに相手チームが4-5タッチとパスをつなぎ、ボールを譲ってくれることもないならね。ラス・パルマスのポジショニングは完璧だったよ。ボールを失った場合は、各ラインが共同して取り戻さなければならない」

アルダ・トゥランをハーフタイムで交代させた理由については、「カードをすでにもらっていたので、2枚目をもらうリスクを冒したくなかった。彼にはスライディングでボールを奪おうとする癖があって、たいていは上手くやっているんだけれど、リスクは避けたかった。トランジション上の問題ではない」とのこと。ベルマーレンを入れたことでマティエウと左利きセントラルが二人並んだ件に関しては、「右利きが二人並ぶのと同じトーマスは空中戦でチームに落ち着きをもたらしていたし、マスチェが前にいることでフィジカル面が強化された」と説明しています。

 

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