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新カンプノウは“日本製”

選ばれたのは日建設計による計画案。

FCバルセロナは数年前より、“エスパイ・バルサ”(バルサスペース)と名付けられたスタジアム周辺改修プロジェクトを進めています。カンプノウ、そして隣接するパラウ・ブラウグラナを新/改築することによってラス・コルツ地区に世界最高クラスのスポーツ複合施設を完成させよう!というもので、数日前に新パラウのデザイン案が、火曜日に新カンプノウ Nou Camp Nou の改修案が正式に発表となりました。新カンプノウの設計コンペで勝利したのは、日本の日建設計とカタルーニャの建築事務所の合同チーム。水曜日のメディアはメイド・イン・ジャパンのエスタディができるぞ、と大きく取り上げています。

エスパイ・バルサ

自分への復習も兼ねて、エスパイ・バルサについてざっと見ていきますと、その内容は次のようなものとなっています。

  • カンプノウを大幅に改修し、最新鋭設備のスタジアムとする
  • ■現在ミニエスタディがある場所に新しくパラウ(アリーナ)を建設する
  • 新ミニエスタディ(バルサB用スタジアム)はシウター・エスポルティーバに建設する
  • ■現在パラウのある場所にはクラブオフィス、レストラン、チケット売り場などクラブ付随施設を新設する
  • ■5,000台が利用できる地下駐車スペースを作る
  • ■カンプノウの隣りに新バルサミュージアム&ショップを建設する
  • ■スタジアムは周辺の大学エリアとマッチしたオープンな空間となる

数年をかけてカンプノウ周辺の設備を一新する、一クラブとしてはかなりの大型プロジェクトであることが分かります。全体としての予算は6億ユーロ(720~780億円)。内訳は新カンプノウに3億6,000万ユーロ、新パラウに9,000万ユーロ、地下駐車場に4,800万ユーロ、新ミニエスタディに2,400万ユーロ、周辺施設に3,600万ユーロ、ラス・コルツの都市計画に3,600万ユーロ、といった感じです。資金調達方法は3つの方法で3等分されていまして、3分の1(2億ユーロ)がスタジアムの命名権で賄われるようです。あとは借金が3分の1、貴賓席やVIPシートの売上などスタジアム自体が生み出す収入が3分の1。2017年から2024年まで、8年をかけて調達する計画となってます。

これはクラブの将来を左右するプロジェクトですから、ソシオの意見を問うべく、2014年4月にはレファレンダム(ソシオ投票)が実施されています。結果は全クラブ会員の31.65%にあたる37,535人が投票し、72.3%の賛成を受け可決(反対票は25.5%、白票は2%)。新カンプノウの工事は2017年5月に始まり、2021年2月に完成の予定です。工事はシーズンオフを中心に行われるので、トップチームの試合開催に問題はありません。

あとはこのエスパイ・バルサがラス・コルツ地区の都市計画にもなっていて、人々が365日自由に敷地内へと入れるようになるのも特徴の一つです。現在は存在している柵やゲートが取り払われ、いつでもスタジアムの横まで行けるようになります。

日建設計+パスクアル・アウシオ事務所

FCバルセロナはこのエスパイ・バルサ計画を進めるにあたり、2015年6月にクラブ代表5人(バルトメウ会長、スサナ・モンヘジョルディ・モイシュ副会長、そして現カンプノウを設計したフランセスク・ミチャンス氏の息子で建築家のファン・パブロ・ミチャンス氏)、カタルーニャ建築学校のメンバー3人、市役所代表1人などから成る審査会を設立。新カンプノウと新パラウ・ブラウグラナの建築案を国際公募してきました。

クラブ発表によると、新カンプノウ設計の第一次審査(2015年8月)には国内外から合計26チームの応募があったようです。そして過去の実績などから8チーム、4チームへと候補者たちが絞り込まれてゆき、今回のコンペ勝者の発表となったわけですが、エスパイ・バルサ審査会が新カンプノウに選んだのは、日本とカタルーニャの建築事務所がタッグを組んだ 日建設計+ジョアン・パスクアル&ラモン・アウシオ設計事務所の計画案。日建設計といえば、新国立競技場計画ではザハさんと組んでいたところですね。ということで、9日のSPORT紙の表紙には日本語で「新カンプ・ノウと記されています^^

SPORT

10万5千人収容、全座席屋根付き

新カンプノウの設計に関してエスパイ・バルサ審査会は、フットボルを最高の環境で楽しめるスタジアムとするため、コンペ参加チームに対し幾つか(13個)の必要条件を提示していました。それは、

■全座席が屋根で覆われ、どんな天候からも観客が保護されること。■どの座席からもグラウンドが完璧に見渡せること。全座席からビデオスクリーンなどスタジアム全体が見えること。■1階席の傾斜角度向上。■3階席を増築し、アクセスを向上させること。■座席数を10万5000席まで増やすこと。■全座席の座り心地向上。■エネルギー効率など環境に配慮したスタジアムであること。■全エリアでの飲食スペースの質向上などなど。

日建設計+パスクアル&アウシオ建築事務所の設計案はこれらを最も満たしていると、審査会の満場一致で選ばれたそうです。クラブ発表によると、選出の決め手となったのは “開放感があり、優美で、落ち着きがあり、地中海的で民主的である”とデザインに工夫が見られ、かつ外周(ファザード)に奥行きを持たせることで適度な日陰を生み出しつつも周辺施設へのアクセスが非常によく考えられている点だそうです。内部面積も4万平米から10万4000平米に増加します。

ちなみに、、、コンペの各プロジェクト案はどの案が誰によるものなのかが分からないように匿名・番号で審査されていたのですが(MD紙)、クラブがファイナリスト4チームによる最終プレゼンテーションを聞き、最終審議に入る前からおおよその結論は出ていたらしく。SPORT紙はクラブの公式発表があるほぼ4時間前に勝者の名前が漏れていたのが唯一残念なことである、と報じています。

新カンプノウに関する詳細な公式発表は、数週間内に行われる予定となっています。

 

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