30年以上にわたってチームを見てきた大ベテラン庶務。
ややマニアックな話題でスミマセンが… カルラス・ナバルというお人を知ってますでしょうか。バルサのトップチームに仕えてもうかれこれ30年になるレジェンド級のスタッフさんで、役職はデレガド。日本語に訳せば庶務係といいますか、チームが滞りなく運営されるように諸々の業務を担当している大ベテランスタッフです。いわゆる縁の下の力持ちなのですが、テレビ画面にもしばしば映っており、レオ・メッシがハットトリックを決めた際に記念ボールを手渡している人がいれば、それがナバルさんであります。
デレガドという仕事
そのカルラス・ナバルさんがどうしたのかといいますと、月曜(14日)夜に放送されたカタルーニャラジオの番組 El Club de la mitanit に出演し、彼だからこそ知りえる裏話を幾つも明かしたわけです。これがなかなかに興味深いものなので、ちょっと取り上げてみましょう(MD紙参考)。
まず彼の仕事デレガド delegado とは日々どんな業務を担当しているのか。ナバルさんの説明はこうです。「仕事は試合の日だけじゃないよ。遠征やら合宿先のホテルもまた準備しなければならないし、毎日解決しなければならない事柄はチーム内にたくさんあるからね… 選手たちの気まぐれ?ある選手はプレイステーションをちゃんと楽しみたいから、ホテルのテレビを大きいサイズにしてくれと言ってくるね」
とはいえ、選手たちは誰もが「すごく良い人間」だと彼は言います。おそらくは我が子世代よりも一回り若い選手たちですから、かわいくて仕方ないんじゃないでしょうか。メッシもその一人です。「レオはごくごく普通のタイプだ。ロッカールームにやってきて、朝食を取って、ジムへ行き、トレーニングをして… スターってタイプじゃないね」
ナバルさんはそのメッシに関して、国王杯1/2のバレンシア戦(7-0)でハットトリックを決めたメッシとポーケルを達成したルイス・スアレスにボールを渡す際のエピソードを語っています。「私がレオにボールを一つ渡そうとしたら、彼は“それは4点を決めたルイスのものだよ”って言うんだ。私はそれぞれに一つずつだよ、と説明した」
その他の仕事としましては、選手たちの累積カードの管理も彼の役割となります。そこで思い付くのが、前シーズンのカードによって出場停止だったのに出場させちゃったチェリシェフのケース。ナバルさんはあの件についてどう思ったのでしょうか。「チェンド(マドリーのデレガド)がひどいことになったな、と思ったよ。批判が彼に集中していたからね。担当はクラブによってそれぞれさ。試合当日にしかデレガドのいないチームもあるし、監督や強化部門、その他職員が計算しているところもある」
罰金の管理もナバルさんの担当だそうです。「集められた罰金は全てNGOか社会団体へと寄付されているんだ。行き先を決めるのは選手たちだよ。トレーニングや合宿のホテルに1分遅れると200ユーロの罰金。過去30年で一番多く払ったのは誰か?エウセビオだね。彼はいつも遅刻していた」
忘れられぬ思い出たち
ヨハン・クルイフ率いるドリームチームから暗黒時代を経て、ペップ黄金時代、そして現在のルーチョ時代まで、カルラス・ナバルさんは30数年にわたってバルサをその目で見てきました。以下はその酸いも甘いもあった思い出話です。
■ペップ・グアルディオラとビッグイヤー:「(1992年、クラブ初の欧州王者に輝いたウェンブリーにて)クラブはホテルでパーティを開催してね。(夜も更け)選手、テクニコ陣、スタッフたちが次々と部屋へと引き上げていき、会場にはぽつんとトロフィーが残されていたんだ。誰かがこのトロフィーを守らなければならないじゃないか。なので私が部屋へと持っていったよ」
「2006年のパリでも、私がトロフィーを守る役目を果たした。けれども2009年のローマではグアルディオラがトロフィーと一緒に寝られないものかと求めてきてね。もちろん、私はSi と言ったよ。ペップは2011年のロンドンでもトロフィーと寝た。去年のベルリンはクラブの警備担当が管理していた」
■ジュキッチのペナルティキック :「ドリームチームの4連覇が懸かった試合(1992/93のリーガ最終節)で、デポル有利のペナルティキックが吹かれた。私は思わず手に持っていたボールペンを投げたよ。誰もがこの試合は負けたと思ったんだ。けれどもクルイフだけは違っていた。彼はベンチの中で、“落ち着け、彼らは失敗するから”と言った。その通りになったね」
■イニエスタッソ :「スタンフォード・ブリッジでのイニエスタのゴールを私は祝わなかった。理由?誰かがベンチに残ってないといけなかったからだよッ!」
■伝説級の用具係チェマ・コルベジャさんが解雇された時 :「驚いたよ。ロッカールームの私たちには理解できなかった。消化するのに苦しんだニュースだった」
■退場になったこと :「一度はカンプノウでイトゥラルデ(ゴンサレス)によって退場になった。何故自分が退場になるのか訊ねたんだけれど、彼からの答えはなくってね。それで試合の最後にもう一度訊ねたら、彼は“キミは理由を知ってる”と言うんだ。今でもまだ、何故だったのか分からないよ。もう一つはセビージャで、審判はフェルナンド・テイシェイラ・ビティエネスだった。ハーフタイムにもっと公平に笛を吹いてくれと言ったら、キミは後半はピッチに出てくるなと言われた。三枚目はカンプノウだ。線審にあまりにも抗議したからだと思う」
■ロナウジーニョ :「彼がトレーニングを休んだのは2回だけだったよ。いつも顔は出していた。時間通りにやってきてはなかったけれどね… 」
ルイス・エンリケ「ナバルは友」
この番組ではまた、ナバルさん宛てに数々の有名人たちからメッセージが届けられました。そのサプライズに参加したのはペップ・グアルディオラ、ウリスト・ストイチコフ、カルラス・プジョル、チャビ・エルナンデス、ルイス・エンリケ、アンドレス・イニエスタ、フリオ・サリナス、エウセビオ・サクリスタンといったそうそうたる面々。ナバルさんがいかに皆に愛されているのかが分かりますなぁ、とMD紙はいいます。こちらでは、そのうちの4人だけですがコメントをご紹介。
■ルイス・エンリケ :「私が好きなのは彼の真面目な性格とすばらしい仕事ぶりだよ。必要な時々に合わせて愛想が良かったり、真面目でよそよそしくしたり出来るところが好きなんだ。私はものすごく彼とは馬が合うから、選手として8年間彼と過ごした後、また彼と仕事が出来ることを喜んでいる。彼は仕事仲間を超えた、友といえる存在だよ」
■ペップ・グアルディオラ :「カルラス、キミのことが懐かしいよ。これからも物事がうまく運べばいいね。またすぐに一緒にビールを飲めますように!」
■カルラス・プジョル :「ナバルは僕の親友であり、最高のプロフェッショナルだよ。そうでなければ、バルサのように要求されるレベルの高いクラブにこんなに長くいることは出来ない」
■アンドレス・イニエスタ :「ナバルはすごい人だし、彼ほどのプロはほとんどいないね。どんなことにも気を配っていて、バルサが上手く機能するためには欠かせない人物だよ。あなたから多くを学べたことを嬉しく思うし、これからも末長くここにいてくれると期待してます」
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