悲観的であることを止めるべきだ、とバルサ会長
この2017年9月5日のバルセロナスポーツ各紙は、FCバルセロナのジュゼップ・マリア・バルトメウ会長へのインタビューが大々的に紙面を飾っています。SPORTでいうと、表紙を含めずに全6ページ。そこで彼が強調しているのは、バルセロニスタがもっと前向きになること、ネイマール退団はチャンスであること、メッシとの契約更新はほぼ完了していることなどです。
補強は満足、放出には不満
まず、不手際が目立った夏の補強活動に関しては、バルトメウ会長は「良かった」と評価しています。その理由は若くて将来性のあるセメドや、中盤で強さのあるパウリーニョが獲れ、予想していなかったネイマールの引き抜きにもデンベレで対応できたから。ただし自己批判も必要ということで、会長はこう述べました。
「8月の初め、ネイマールの父は私たちに出ていくことはないだろう、何も起こらないだろうと言っていた。私たちはそれを信じたが、それが間違いだったんだ。それで私たちはデンベレへ向かい、ドルトムントとの会話を始め、選手を連れてくることができた。彼自身が言うように、市場価格を超える値段だったがね。ネイマールの退団で全ての戦略が混乱した」
それでも「ポジティブ」だったという会長の分析に対し、記者さんはファンはそれに同意しない、計画性が欠けていたのではないかとツッコミます。それへのバルトの答えは、「ノー」でした。理由は前述したように「ネイマールと彼の父の言葉を信じたから」で、裏切られたとの言い分です。ただし放出作戦は失敗だったとクラブ会長は認めています。
「放出計画は望まれたものとはならず、期待を満たさなかったね。放出を計画していた何人かの選手が、チームに残っている。一方でセメドとパウリーニョ、デンベレの加入とデウロフェウの復帰にはとても満足している」
「スカッドは去年より良くなっている。右ラテラルと中盤が良くなったよ。カウンター攻撃を多く食らっていたことに対しては、パウリーニョの強さが貢献するだろう。そして前線にはデウロフェウとデンベレのような選手がいる」
そして会長が繰り返すのは「私たちは悲観的であることを止める」というフレーズですが・・・ ピッチでの結果が伴ってこないかぎりはバルセロニズモが活気づくのは難しいでしょう。理事会が楽観的になるのは自由ですが。
ネイマールの退団は原点回帰のチャンス
補強プランを大きく乱したネイマールの退団に関する質問と返答は、SPORTのインタビューで結構な量を占めています。バルトメウがネイマールに求めたのは、「事前に退団すると言ってほしかった」というもの。「そうすれば後任となる選手を通常のマーケットで探せた」し、「バルサは歴史的に去ることを望む選手たちには応じてきたので、ネイマールも同じだった」ということです。しかし覆水は盆に返らない。前向きに進んでいくしかありません。ネイの退団はバルサにとって一つのチャンスである、とバルトは考えます。
「トリデンテを解体し、集団的プレーに賭ける機会だ。ルイス・エンリケのプロジェクトが終わり、バルベルデのプロジェクトが始まっている今、彼には全幅の信頼を置いている。彼はバルサモデルとラ・マシア選手を信じる監督だよ」
「トリデンテは非常に良かったけれど、影響もあった。これは中盤での連携フットボルへの回帰を計画する機会になる。伝統的にそれがバルサの強さだったんだ」「ネイマールの存在は問題ではなかったけれど、彼の退団によってモデルの強化は可能となる」
「クラブ内部に悲観論はないんだ。周囲はネイマールの退団でチーム力は弱まったと考えているが、その逆だよ。チームを強化するために、この機会を活かさなければならない」
そしてバルトメウによれば「マルロンをローンに出したのはエルネスト(バルベルデ)が求めたからで、その理由はマルロンが不要だったからではなく、監督が彼にとても関心を持っていたからだよ。試合に出て、将来戻ってくることをエルネストは望んだんだ」とのこと。パウリーニョを獲ってサンペールを出した件についてはこう釈明してます。
「ここに残るよりも外の方が試合に出られると監督は考えている。サンペールは良いプレシーズンをしたよ。しかしポジション的にたくさん試合に出るのは難しいだろうし、年齢的には試合に出ることが求められる。ラフィーニャやデニス・スアレス、デウロフェウといった前例もいるんだ」
契約解除金を巡る問題
バルトメウはこのネイマールの件により、「契約解除金を上げる必要がある」ことを学んだと言います。フィリッペ・コウチーニョ、ウスマン・デンベレらはクラブの言い値でどんどんと値段が上がったのに対し、ネイマールは2億2,200万ユーロの支払いと選手の同意によって問答無用で引き抜かれた。マルコ・ベラッティに解除金があれば、話は違っていたでしょう。
「スペインでは、契約解除金を付けることが義務づけられており、これが不利な条件となっている。例えば、イングランドでは解除金は義務ではないけれど、ルイス・スアレスにはあった。彼の代理人はとても頭が良く、その条項を付けたんだ。テル・ステーゲンも同じだよ。任意であって、義務ではない。リーガではこれが義務なんだ」
「労働問題となるので、(スペインで)解除金をなくすのは不可能だ。これはAFA(選手協会)の求めによるもので、判事が正当性を認めている。全ヨーロッパが契約解除金を入れるべきだろう」
義務ではなくとも任意で解除金条項を入れられるのであれば、デンベレの代理人もドルトムントに対してそれを求められただろう、去年何故そうしなかったのかと記者さんは訊ねます。たしかにいつかバルサに入団したいけれど出番を求めて他クラブへ行くのなら、そういう条件を付けてもらうのもこちらの技能でしょう。これについてバルト会長曰く、「デンベレの代理人がそれを入れなかった」「その質問は代理人にするべきだ」とのことです。
SPORT紙のインタビューでは記者さんはけっこう厳しい質問をしているのですが、某政治家たちとは異なり、熱くなることなく穏やかに丁寧に返答しているところは好印象でした。このあたりはバルトメウの長所だなと。ベラッティの件でPSGを怒らせ、ネイを引き抜かれ、その後は後手後手で複数の選手を傷つけたことへの納得のいく言葉はなかったですし、理事会への信頼がこれで回復するとも思えませんが、応対は良かったということで。
コメント
ネイマール放出の是非については意見が分かれていますが、メリットが実感できるようになるのはシーズン後半からでしょうし少なくとも今年一杯は私は悲観的であることを止められないと思います。
すぐにでも不信任投票を実施して頂きたいところですが、
若手に経験を積ませるためにレンタルすることについてだけは賛成ですね。
未熟なうちに残留させた所で少ない出場機会で成長が期待できるのかという疑問はどうしても拭えないので。