バルサは非常に困難な経済状況にある
次期会長は巨額の負債を返済し、クラブを再建しなければならない
FCバルセロナの2019/20シーズン収支がひどいことになっているぞ、と話題になっています。クラブが明かしたところによると、昨年8月17日での流動負債額(短期的)は、前年度比2億2,500万ユーロ増の7億3,068万ユーロ。これに固定負債(長期的)を合わせた総額は、11億7,300万ユーロに上るそうです。足腰へろへろ・・・ 次の会長さんは立て直しが大変であります。
誇示していた収入も、構造は脆く
クラブの決済は通常、毎年秋頃に開催されるアサンブレア(信任ソシオ総会)にて発表されます。バルトメウ理事会はここで自分たちの経営の堅実さに胸を張り、右肩上がりの予算を大いに誇っていたわけです。
しかし2019/20シーズンは10月下旬に予定されていたアサンブレアがバルトメウ理事会に対する不信任動議と総辞職によって消滅し、ソシオに対する会計報告もなされていなかった。 それが先週に行われたカルラス・トゥスケツ(管理代行委員会会長)と会長候補者3名ラポルタ、フォン、フレイシャとの会議にて明かされ、この月曜日には外部にもその負債総額が知らされたのでした。11億7,300万ユーロ。笑える。
2019/20シーズンの純負債額は4億8,800万ユーロとなります。
これが全部COVID-19のせいかっていうと、そうでもないでしょう。年間予算がスポーツクラブとして初めて10億ユーロを超えた、と言っていたバルトメウたちでしたが、収支構造はあまりに脆かった。補強政策が全然持続可能じゃなかったのです。
(レアル・マドリーは昨日アサンブレアを行ったそうで、負債額はバルサよりも少しマシな9億100万ユーロ。うち流動負債は2億300万ユーロとのこと)
他クラブへの借り
バルサが抱える負債のうち、大きな部分を占めているのが他クラブに支払わねばならない移籍金です。これも短期間(即払い)と長期(後払い)があり、前者が1億2,600万ユーロ、後者が1億9,600万ユーロの合計3億3,200万ユーロ。ずいぶん無理をしてきましたね。よくも危機はスポーツ面だけだと言えたものだ・・・。
バルトメウたちは補強に分割払いを用いてきました。
たとえばフレンキー・デ・ヨングの場合はアヤックスに短期(1年以内)に1,600万ユーロ、長期で4,800万ユーロを支払うことになっていて、フィリペ・コウチーニョでリバポーに2,900万ユーロと4,000万ユーロ、ミラレム・ピアニッチでユベントスに480万ユーロと5,200万ユーロ ・・・ みたいな具合です。グリーズマンはアトレティコと色々している中に含まれているっぽい。
ここ数年での巨額投資が、ずしりと来季以降の予算にも響いてきます。
昨季の流動負債には、すでにクラブを去った選手の未支払い分も入ってます。マルコム代金としてボルドーに1,000万ユーロ、アルトゥール代金でグレミオに800万ユーロなどです。
逆に、他クラブがバルセロナに対して借りとなっている移籍金は、短期・長期合わせて4,640万ユーロだったと。3億2,200万ユーロの借りに比べて、だいぶ少なくなってます。売る時はキャッシュで払ってもらいつつ、買う時は分割払いってことか。
アルトゥールとピアニッチを巡る取引は、バルサの方が+1,000万ユーロですが、どういう支払方式になってるんでしょう。
会長候補者たちはこう考える
COVID-19の影響で収入が大きく減っているのに(30%の減収という)、すぐに支払わねばならないお金が7億3,000万ユーロも存在している(銀行に2億6,600万ユーロ)。FCバルセロナは相当ヤバい状況にあり(語彙力)、3月8日に誕生する新会長は財政改善の困難な任務に挑まねばなりません。
自分たちのプランを信じるフォン
会長候補のひとりビクトル・フォンはSPORTの取材に対し、こう述べています。
「発表された内容には、全く驚かなかったよ。ずっと前から、私たちはこれが現実だと警告していたし、だからこそプロジェクトを持つことが不可欠になるんだ」
「負債の原因は、スポーツ面での間違った決定にある。そしてコスト構造はこのような収入の下落に準備がされてなかった」
では解決策はなにかというと、「私たちのような、複雑な状況での経験を備えたチームを持つこと」で、企業経営で実績のある自分たちであればこの難局を乗り越えられるとフォンは自信を見せています。「緊急プランを実装しなければならない。それはコスト構造の再築と、倒産を避けるための全流動負債のリファイナンスだ」
そして彼らのプランを実行することで、「来季から余剰資産を生み出す」というんですね。フォンが絶対に超えてはならないというラインが、クラブの株式会社化です。「バルサは私たちの財産です。バルサが株式会社になることを、私たちは避けたい」
解決策はソシオにあるとフレイシャ、自分たちはクラブを浮上させるとラポルタ
・・・ 他の候補者二人の見解も紹介したかったのですが、力尽きたので割愛します。ごめんなさい。超テキトウにまとめると、弁護士のフレイシャさんはバルサがソシオ社会に力強く守られているので難局をひっくり返せる、スポーツ面を立て直すことで経済面も改善する、支出の見直しと同時にバルサモデルとアイデンティティの再生が重要との意見。ラポルタは一度クラブを復活させた会長としての経験ってところです。
旧来の収入源が復活するかというと不透明なため、新しいビジネスを構築できる目を持ったチームが求められます。
スポーツ部門への影響は不可避
こんな金庫事情ですから、夏マーケットでの補強には多くを望めません。エリック・ガルシアやメンフィス・デパイのようにフリー契約になる選手とは契約できそうだけれど、高額給与が必要となると、高給選手を手放さねばならない。去年のスアレスたちのように、放出されるベテランが何人か出そうです。メッシはどうなる。
移籍市場で他クラブに先行されるのは避けられないでしょう。
そしてスポーツでは上積みがなければ後退を意味しますから、タイトル獲得への道は険しくなります。アンス・ファティ、ペドリ、デ・ヨング、アラウホら若手がさらに覚醒し、クーマンが最強システムを考案・確立するというシナリオに期待しますが・・・ 復活のための土台作りになるのが現実的ですかね。
こんな壊滅的な金庫事情を知りながら、会長選挙を出来るかぎり早期に実現すると言いながら、1月24日に設定し、結局さらに遅れさせた管理代行委員会にも疑問を抱きます。本当に年内の実施はムリだったのかと。そうすれば早くに危機的状況の解決に動けていたのにと。
そしてこの状況でタイトル獲得へと日々汗を流すクーマンチームを応援したい。今日はバジェカスを訪れての国王杯ラーヨ戦。ピッチ外の重苦しさを忘れさせるような快勝となれば良いなぁ・・・
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