理事会メンバーの約1/3がバルトメウの運営に反対して辞任
会長は続投可能とはいえ、改めて不和が表面化したことで風は冷たく
ジュゼップ・マリア・バルトメウによって進められた理事会の再編が、次の展開を見せました。9日夜、クラブ会長が辞任を要求していた面々に2人を加えた合計6人の理事たちが、いっせいに退職を表明。理事会内部にあった不和を表面化させ、このコロナウイルスで大変な時になにやってんだ感(バルサ感)を際立たせています。
クラブ運営方法に失望し
今回、FCバルセロナ理事を辞任したのは以下の6人です。
・エンリケ・トンバス(第4副会長/会計部門)
・エミリ・ルサウ(副会長/制度部門)
・シルビオ・エリアス(理事)
・ジュゼップ・ポン(商業部門責任者)
・ジョルディ・カルサミリア(理事)
・マリア・テイシドル(書記官)
最初の4人が、不忠実を理由に、2日前にバルトメウからの電話によって辞任を要求されていた人たち。
降格される彼らが辞任するのは確実視されていましたが、驚きだったのは自発的にクラブを去ると決めた理事が2人いたこと。
そのうちのひとりマリア・テイシドルさんはバルサ女子のプロ化に尽力した人物ということで、女子チームにとって打撃です。
6人は昨日、公証人へと辞表を提出した後、バルトメウへと電話をかけて辞意を表明。そしてクラブのソシオやバルサファンに向けて、別れの公開状を示し、バルサを去ることを決意した理由などを説明しています。
その理由は、ざっくりいうと、現在のクラブ運営やバルサゲートのような出来事に失望し、自分たちが無力であると分かったこと。
彼らは手紙を通じてバルサゲートの責任者を粛正することを求め、「私たちのクラブへの最後の務めとして」会長選挙の前倒し実施を勧めています。そうすることによってバルサは「差し迫った(パンデミック後の)未来の大きな挑戦に最良の方法で対処できる」のだと。
この6理事の一斉辞任を真っ先に伝えたのが一般紙 La Vanguardia で、公開状を掲載されたのも同紙ですが、その La Vanguardia はこれから数日内に新たなる理事の辞任があるかもしれないとの見解を示しています。
会長続投は可能だが・・・
19人いた理事から6人が減ったのですが、クラブ規約上、バルトメウはまだ会長としてバルサを運営し続けられます。ただし、このような事態を招いてしまったわけですから、組織トップとしての資質を疑われるのは避けられない。
反対派である副会長2人に辞任要求の不意打ちを仕掛けたバルト会長でしたが、6人一斉辞任なるカウンターアタックを食らい、厳しい立場になりました。その程度は想定していたかもしれないけれど。
で、バルトメウはこの一斉辞任を受け、理事会メンバーを補充すると見られています。
辞任を要求した4人が欠けても補充は考えていなかったらしいですが、6人も減るとなると放置もしておけない。クラブ規約によって理事の数は14~21名と規定されているので(現在13名)、バルトメウはあと2人を補充する予定だと見られています。
任期満了まであと1年少し、それはもう、信頼のおける人たちで周りを固めることでしょう。
末期的症状
2015年6月の会長選挙にてバルトメウがFCバルセロナの最高責任者となってから、辞任した理事はこれで合計11人になるそうです。ジョアン・ラポルタ時代の終盤も理事の大量辞任が発生しましたが(2008年7月、不信任動議で辛うじて生き残った4日後、8人が辞任)、そんな様相ですな。
ちなみに、その時辞任したのがフェラン・ソリアーノやマルク・イングラで、彼らは2010年会長選挙でラポルタの対抗馬となっている(勝ったのはサンドロ・ロセイ)。同じようにエミリ・ルサウも2021年予定の選挙ではバルトメウの後継者と戦うのでしょう。どちらも勝てるようには思えないけれど。
コロナウイルスの感染拡大によって、クラブが全活動を停止すると決めた時、バルトメウはバルサファンに向けて公開状を送っています。そこで彼は人々を励まし、「個人と集団の努力を合わせることによってのみ、この危機を克服できるであろうことを私たちは気付いている」と述べています。残念ながら、理事会はぱっくりと分かれちゃいましたね・・・。
さてこの理事会分裂がこれで収束するのか、それともまた新たなる離脱があるのか。そして選手たちはどんな気持ちでこの騒動を見てるんでしょうか。
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