監督から考えを伝えられたメキシカン。
ムンディアルが開幕して4日。ほとんどのチームが大会初戦をこなしたなかで、センセーションを起こした選手の1人がメキシコ代表のジオバニ・ドスサントスであります。カメルーン戦ではオフサイドによって無効とされたものの2度ネットを揺らし、決勝点においても重要な役割を果たした元バルサのメディアプンタ。その兄のブラジルでの活躍を弟のジョナタンも大いに喜び、熱い夏を過ごしているのは間違いないのですが、一方で彼はこの夏大きな岐路に立ってもいます。ルイス・エンリケが彼に構想外通知をした、というお話です。
ラ・レアル移籍にNO
ヘラルド・マルティーノがバルサを去り、新たな指揮官としてルイス・エンリケがやってくるとの知らせは、ジョナタン・ドスサントスに「おっ!」と思わせたはずです。ルーチョがバルサBを率いていた時(2008/11)、ジョナタンはそのチームの中心選手としてセグンダA昇格とセグンダ3位フィニッシュに貢献。自分のことをよく知っているミスターにプレシーズンでアピールすれば、チャンスはもらえるだろうと考えるのは自然な流れです。
しかしジョナタンはすぐさま、クラウディオ・ブラボ獲得における作戦要員として報じられるようになります。それすなわち、ルイス・エンリケが自分を交渉に加えることにOKしたということ。ジョナタンはガックリきたんじゃないでしょうか。レアル・ソシエダは昨季からドスサントス弟を欲しがっていて、移籍もほぼ成立しかけていたのですが、マルティーノ監督が彼を戦力に考えているとのことでバルサ残留を一転決断。しかし11月に全治半年の大怪我を負い、リハビリでシーズンを終えた不運な経緯があります。
1年前に移籍を受け入れようとしていたラ・レアルですから、今回もOKかといえばジョナタンの想いはそう単純でもなく。SPORT紙によれば彼はサン・セバスチャン行きを望まず、2015年6月までのバルサとの契約満了を希望。各方面からの移籍の勧めを固辞し、あくまでもカンプノウでの成功にこだわっていたのだそうです。天の岩戸に閉じこもったようなジョナタン。そこで先週始め、メキシコでバケーション中の彼に電話をかけたのがルイス・エンリケでした。
決めるのはジョナタン
モヤモヤしている時、ケイタイの着信名にルーチョの文字。ジョナタンはどんな気持ちで「もしもし」と言ったでしょう。監督はそこで、「悪いがジョナタン、オレはキミを来季の戦力に数えていない。別の選手で中盤を作ろうと思っている。選手として成長するためには、キミは他のチームを探したほうが好いと思う」(想像)と伝え、プレシーズン開始前までに去就問題を解決するように励ましたそうです。そこでミスターはレアル・ソシエダ行きを推すこともなく、ジョナタンが最善だと思う場所を探せばいいと伝えたらしく。それでも彼がバルサでの継続を望むなら、それは尊重しようというところでしょうか。
一方でクラブもクラウディオ・ブラボ作戦に入るように無理強いはせず、ジョナタンの決断を尊重するべく可能なことをするとの考えのようです。ジョナタン・ドスサントスは2011年にバルサとの契約を延長し、2012年夏にモントーヤ、ムニエサ、バルトラ、テージョと一緒にに晴れてトップ昇格。しかしこの2年間での公式戦出場はわずか7試合(by WIKIPEDIA)に止まっています。契約期間は2015年までなので、あと1年で自由移籍の状況です。
ジョナタンといえば以前、兄のジオバニよりもトップチームでやれるんじゃないか、とも言われていた選手。順調に育っていれば、あるいはチャビの後継者候補にもなっていたかもしれません。偉大なる先輩を押しのけて、そのポジションを奪うことの難しさ。アノ選手に10代の頃から、このジョナタンのバルサへのこだわりがあればどうなっていたか、なんて考えてしまう今日この頃であります。
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