監督交代はもはや既定路線のように見える
勝ち続けることのみが生き残るための必要条件
ロナルド・クーマンが窮地に立たされています。バイエルンでの完敗(0-3)で萎れていたクレの心に、グラナダ戦(1-1)のクロスボール大作戦によって塩を塗り込んだバルサ監督。元々さほど期待されていなかった彼とはいえ、この2試合の結果・内容によって噴出した疑念はもはや止まることを知らず、次の結果如何ではサヨナラとなりそうな様子となっています。
2試合先は見えない
FCバルセロナ会長ジョアン・ラポルタがロナルド・クーマンに条件付きながら契約更新を提示した、と報じられてからわずか2週間と少し。しかしフットボール世界における状況の変化は速く、今クマさんがシーズン終了までカンプノウのベンチに座っていると信じるクレはごく少数ではないでしょうか。
いま確実なのはクーマンが今日(22日)の試合前日会見にバルサ監督として登場し、カディス戦を指揮するところまでで、それ以降のことは分からない。なんなら明日が彼の最後の試合となる可能性も大いにあります。
土壇場の90分にアラウホの豪快ヘッドでどうにか1-1としたグラナダ戦終了後、「今のスカッドでティキタカができますか」と自己弁護したのも印象が悪い。理事会だけでなくファンからの信頼も擦り切れていくウェンブリーの英雄です。
しんどい10月がやってくる
日程も難しいです。
バルサはカディス戦の次に週末のレバンテ戦があり、その後には必勝のチャンピオンズ・ベンフィカ戦が待っている。さらに3日後にはアトレティコ戦もありますね。この2試合はどちらもアウェイゲームです。
ここで負けると秋の大クライシス祭りになりますから、バルサは早急にチームを立て直さなければならない。でもクーマンにそれができるだろうか。ほぼ奇跡のレベルに思える。
かといって監督交代の劇薬を投入するにしても、戦力不均衡かつ負傷者だらけのこのチームがいきなり強くなるのは夢物語・・・。新しい監督にも時間が必要ですし、下手すると状況はさらに悪化するのです。
10月のバルサは、アトレティコ戦の後は代表戦ウィークを挿んで峠越えのカンプノウ3連戦(対バレンシア、ディナモ・キエフ、レアル・マドリー)が控えており、まるでこのタイミングでクーマンチームがしんどいことになると見越して組まれたかのように思えてくる。気持ちが弱っているといけませんな。
会長のメッセージ
ジョアン・ラポルタは昨日ソシオに向けてビデオメッセージを送り、その中でこんな風に語っています。
「落ち着いて。しなければならないことを、私たちは分かっている。それを解決していきます」
しなければならないこと。思い浮かぶのは後任監督の確保と、クーマンの契約を解除するために必要な1,300万ユーロの調達ですかね。
6月の、クーマンに対して後任監督探しのための2週間の猶予を求めたあの一件。あんなのがあった関係が良好に続くはずもなく、空々しい信頼発言を経つつもあっさり終焉へと向かうのも自然な流れでしょう。
どうせこんなタイミングで首を切ることになるなら、、、とは思いますけど。
そしてもしクーマンを切るのであれば、ラポルタたちは自分たちを批判の矢から守る盾が無くなることを覚悟の上で適切な人選をしなければならない。半ば追い込まれたような状況で、そんな決定ができますかどうか。
後任監督は誰になる
ではロナルド・クーマンの解任がもはや既定路線だとして、次にカンプノウのベンチに座る指揮官の目星は付いているのでしょうか。
いつものようにチャビ・エルナンデスの名前が挙がっていますが、6月の時点でラポルタが候補に挙げなかった彼に緊急で監督就任を要請するかというと、しないように思います。
チャビは会長選挙戦のライバル、ビクトル・フォン陣営の掲げた監督候補であり、当時、実績不足を理由にラポルタが選択肢から外したテクニコです。仮に会長の考えが変わったとして、チャビ自身はどうだろうか。彼にはオファーを引き受けるための確固たる条件がありますし、全然自分のものではないプロジェクトに途中から乗るとは思えないんですよね。
もう1人の有力候補とされるのは、ベルギー代表を指揮するカタルーニャ人監督ロベルト・マルティネスです。違約金は180万ユーロと問題ないそうですが、10月のUEFAネイションズリーグ後の就任となると、いきなりのぶっつけ本番になる。理事会メンバーはマルティネスには懐疑的だという難点もあります。
ラポルタはロベルト・マルティネスを望んでいる一方で、理事会はチャビを好んでいる構図。嗚呼、御大ヨハンはこんな時にどんな助言をくれるでしょうか。
そして今日の前日会見で、クーマンはどう語る。
コメント
予想通りの展開となりましたね。結果を残せているわけでもなく、会長と信頼関係があるわけでもないので今後も指揮を取るのは厳しいでしょう。
クロス重視はクレには不評でしょうが、今ある戦力の中で有効な手はあまり無い、というのも真実なんですよね。
昨シーズンからも、メッシ以外に崩せる選手がいない、という状況は何度もありましたし、指摘もしました。
それでもメッシであれば、一人で何とかしてしまえる力があった。
それが無くなった今、何とかデパイが崩し役をしてくれていますが、メッシ並の事ができるはずもありません。
崩せるタイプの選手が、今はデパイとデミルしかいないのです。
しかも若いデミルは明らかに経験も実力も不足していて、引いた相手に効果的な崩しは無理なので、デパイが抑えられるともう何もできなくなります。
そこで必要なのは、他の攻撃方法です。
クオリティのある選手がおらず、バルサの攻撃が人数て止められてる以上、誰もが思いつくのが手数を増やす事です。
バルサは中央を固められるので、外からのイージーなクロスであれば上げようと思えば比較的楽に上げられます。
狭い中では微妙なデストの突破力でも、外からのクロスを最終目的にするなら、崩し役に見立てられます。
そのためにルークを取った、実はこれは理解できる流れではあります。
しかしクーマンが現状戦力で上手くやっているかというと、全くそうではありません。
崩し手がいないのに、ルークを使わずデパイをCF起用して、前半を完全に無駄にしたりしています。
同じクロス戦術にしても、クーマン以外であればもう少しやりようがありそうです。
まあ今季は耐える時期だとは分かっていたので、クーマンのまま進む事も仕方ないですが、クーマンのまま進んでも良い事は無いでしょうね。
でもファティとデンベレが戻ってきて崩しの手が増えれば、また違うバルサを見せる事はできます。
メッシの穴はとてつもなく大きいですが、左デパイ右デンベレで中央にストライカーがいれば、まだ色々できます。
ペドリとフレンキーもいるのですから。
絶望に近い物を見せられはしましたが、まあ今季は色々あるでしょう。
何が起こっても楽しめるように、ショックアブソーバーの準備は万端です。多分。
私もトムさんとほぼ同じ意見で、クロス戦術が現状の怪我人が多い状況で唯一できる方法なのが現実です。メッシやグリーズマンが放出されて、崩しや裏抜け、中央に入ってくれる選手がメンフィスだけになり、彼をマンマークで抑えられたら他に打つ手がないです。11月に戦力が戻るまでは誰が監督でもやれることは変わらないですし、それならいっそう勝ち点を少しでも多く得て、本来の戦力で戦える後半戦の巻き返しを図るべきです。
むしろ批判されるなら、なぜクロスが上手い選手にクロスを蹴らせなかったかです。ミンゲサはクロスの精度が良くないので、フレンキーに蹴らせて得点の機会を増やすこともできたはずです。
あとはクーマン監督の契約解除に計1500万ユーロを払うのは避けるべきです。1500万ユーロの資金は来夏の選手補強に当ててシーズン通して出場できるデランテロを獲得したほうがいいです。それに、ロベルト・マルティネスの戦術はルカクやデ・ブライネといったクラックによる徹底したカウンターサッカーが軸なので、バルサには全く合わないです。クーマン監督とどっこいどっこいですね。
クーマンを解任したとして、解約金に新しい監督の契約解除費に給与…補強すらままならないバルサにどこから費用が出てくるのか…
出てきたところで、それは本当に価値のあるお金の使い方か…
それにクーマンの後釜で今のこの状況のバルサ監督はただの貧乏くじに他なりません。流れを極端に変えられる有名どころはおろか、そうでなくても手を挙げてくれる監督などいるのか疑問です。
今のチームには、MessiもXaviもIniestaもおりませんが、他に才能のある選手はいます。 前節救世主となったAraujoの様にカンテラからも力のある若手が出てきています。
正直、クーマンを続けたところでタイトルは獲れないとは思います。
ただこれが乗りかかった舟ならば、たとえ沈みかけの泥舟でも少しでも足掻いて欲しいとも思います。
どうせ振る袖は無いのですから、AnsuやDembeleが復帰したら少しは雰囲気が変わることを祈るとします、、