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カンプノウの命名権を1年譲渡:社会貢献を示し、クラブのイメージを上げつつ、“次”への布石となる決定

バルサ財団に権利を譲り、新型コロナウイルスに対抗するプロジェクトを支援する
UNICEFとの連帯を思い出させる社会貢献活動

FCバルセロナが4月21日(火)、ある公式発表を行いました。「対COVID-19の基金調達のために、バルサ財団にカンプノウの命名権を譲渡」というものです。コロナウイルス禍によって苦しむ世界のために、「クラブ以上の存在」をモットーとしているバルサが出来ることを模索して理事会が決断。COVID-19研究プロジェクトなどへの投資金を調達するそうで、カンプノウの命名権が使われるのはもちろんクラブ初のことです。

1年間、スタジアムの名字譲ります

バルトメウ理事会が昨日承認したのは、次の点です。

  • カンプノウの命名権を、バルサ財団に1年間譲渡する
  • ・期間は2020/21シーズン
  • ・その収入はCOVID-19研究プロジェクトやウイルス禍の影響と戦うイニシアティブに投資される

世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルスの治療法の開発であるとか、ウイルス禍による経済的・社会的影響を軽減ための手助けとか、そういったことにスポーツクラブとしてなにか出来ないかと検討した結果、スタジアム命名権の譲渡となったそうです。

バルサ財団はUNICEFへの寄付であるとか、クラブが社会貢献活動をする際の窓口になっている財団法人。バルサの第一副会長であり、バルトメウの信頼厚いジョルディ・カルドネルが財団の副会長も務めます。

スポンサー募集にはFCバルセロナの商業部門が協力するようです。
スポンサーを決定し、その先の融資も管理するのは、前述のジョルディ・カルドネル、バルサ商業部門担当副会長オリオル・トマス、バルサ財団専務理事マリア・バリェス、バルセロナ医師会長ジャウマ・パドロス、そしてバルサ医療サービス部長ラモン・カナルが構成する委員会。

バルサ日本語公式「FCバルセロナ、Covid-19対抗資金調達のためにカンプノウのネーミングライツを譲渡」

カンプノウの命名権はクラブ初

FCバルセロナはこれまで、バスケットボール部門などのプロセクションではスポンサーの名字を付けてきましたが(バルサ・ラッサ、バルサ・レガル、AXAバルサなど)、フットボール関係ではまだ手を付けていませんでした。
カンプノウを大規模改修する際の資金調達のために、“温存”されてきたのです。

それが今回、新型コロナウイルス対策への支援を目的とし、ついに発動させる。たくさんの人々が救われる、大きな社会貢献となるだけに反対しませんし、社会に目を向けたクラブとしての評判を上げる点でも役立つことでしょう。
最近のバルトメウ理事会はバルサゲートだ、理事6人の一斉辞任だと醜聞が続いていたので、イメージアップにもなります。

1,500万ユーロ~2,000万ユーロ

今回の期間は1シーズンなので、来たるべき本格的な命名権販売とはバッティングしません。SPORT紙が取材したマーケティング専門家エンリク・ジュベ氏によると、カンプノウ級スタジアムの命名権1シーズン販売市場価格は1,500万~2,000万ユーロとのことです。
でも繰り返しますが、この行為でもたらされるもっと重要なものは、そんなお金よりも“品格”。率先して社会を考えるクラブというイメージ。

ちなみに、胸スポンサーの時と同様に命名権に関してもクラブはソシオの承認を得ており(2014年のソシオ投票)、クラブ規約面での問題はありません。

「カンプノウACS?あらゆる企業にオープンであるべきだ」

さてその売りに出されるカンプノウの命名権。あくまで可能性の話ではありますが、あらゆる選択肢に対してクラブはオープンあると昨日ラジオ番組(COPEのEl Partidazo)に出演したバルサ広報ジュゼップ・ビベスは認めています。

レアル・マドリー会長フロレンティノ・ペレスの企業ACSがカンプノウの名字となり得るか?と訊ねられたビベスは「あらゆる企業にオープンであるべきだ」と言ってるんですね。もし実際にカンプノウACSが実現したらどうなりますやら。炎上どころでは済まなさそう。

でもスタジアム改修費を集めるわけではない対コロナウイルスのためのスポンサー選びは、金額の多さよりも企業イメージを優先することもできます。クラブの懐は痛まないので、良いイメージのスポンサーを選んでほしいです。

UNICEFの胸ロゴ

そして思い出されるのは、シャツの胸に「UNICEF」が付いた事例です。
あのUNICEFロゴは後の胸スポンサーの布石となりましたが、その一方でバルサのイメージを軽やかに上昇させた。バルトメウからすれば憎きジョアン・ラポルタが始めたUNICEFとの連携を、今回のアクションは踏まえています。

前例のない商業活動を、まずは社会活動から始める。連帯のイニシアティブをとっかかりに、クレに初の試みに慣れてもらう。そんな効果もあるでしょう。
しかし、コロナウイルス禍によって収入が大きく減少している現状で、カンプノウの命名権を直球で用いて収入源にするのではなく、「全員の利益」へと向けることにした決断はなかなかのものです。せっかくなので、我らのエスタディにいい名字が付きますように。

このニュースのまとめ

  • ・FCバルセロナがカンプノウ命名権の1年間の譲渡を発表
  • ・その収入はCOVID-19研究プロジェクトなどに投資される
  • ・エスタディに“名字”が付くのは初めて
  • ・バルサに“品格”をもたらしつつ、次の命名権販売への布石にもなる

 

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