マラガの戦術が的中し、バルサのプレーは冴えず。
新生ルーチョバルサから最初に勝点を奪ったのは、ハビ・グラシア監督率いるマラガCFでした。おそらくはルイス・エンリケの予想を上回る守備戦術によって中央(メッシへのつながり)を封じ、バルセロナにチャンスを作らせなかったマラガ。バルサは結局枠内シュートが0本に終わり、それでは勝てませんよね、と納得して次の試合に視線を向けるしかありません。このエンパテで気を引き締めなおし、結果的にプラスとなるのであれば悪くなかったということで。
窮屈な攻めとなり、良いシュートを打てず
エンパテ・ア・セロ(0-0)に終わったマラガCF対FCバルセロナ。この結果はホームチームの守備が上手くいったと同時に、ビジターチームのプレー(特に攻撃)が上手くいかなかったことが合わさって生まれたものです。両サイドを捨て、とにかく中央を固めることでバルサのパスを遮断。このアンダルシア遠征でのバルサはパス総数が600本弱と少なく、パス成功率も77%ほどでした。バルサの試合ではパスが800本を超えるのは珍しくない。ゲームを作る選手なら、一人で100本はいきます。それがこの試合のメッシは常に数名に囲まれ、プレーへの関与はレバンテ戦の半分ほど(50弱)だったそうです。
さらに驚きだったのは、枠内シュートが0本だったこと。これはちょっと記憶にありません。カメニにはよく止められた記憶がありますが、今回はそういうシュートセーブも彼には無用だったわけです。
ここまで攻守に活躍してきたラキティッチは、ガチガチの相手をイマジネーションある個人技で崩すタイプではなく、カピタンのイニエスタもこの夜はいまいち。レオ・メッシへと縦パスを入れていたセルヒオ・ブスケツにもチェックが入ったことで、攻め手といえば左のジョルディ・アルバ(報われない上がりもしばしば)と、コーナーキックでのピケとバルトラのヘッドくらいしかありませんでした。右ラテラルはバルサで初出場のドグラス・ペレイラ(びっくり)ではなく、ここは手堅くモントーヤで良かったのではないかと思います。守備組織を崩すための忍耐もなく、縦に急いでもいた。銀将や桂馬の準備なしに歩兵を突っ込ませる感じですか。
外的要因では、ちょっと走れば砂が舞い上がり、やたらとめくれる芝生のコンディションは残念至極でしたし、マラガのラフなタックルを許していたエルナンデス・エルナンデス主審のジャッジもバルサには逆風となりました。バルサは存在しないオフサイドやハンドを取られてもいますし、苦手な審判になりそうな気配です。
「全て自分たち次第」
試合終了後、カピタンのアンドレス・イニエスタはこんなふうにコメントをしています。「幾つかの条件が重なって、この結果になったね。マラガはとても上手く守っていたし、僕らは速くボールを回すことで優位に立とうとしたけれど、出来なかった。マラガは自分たちの持ち札を上手く使った一方で、僕らは相手のバランスを崩す術を知らなかった。彼らの守りは堅かったよ。僕らはアプローチを変えようと試みたんだけれど、最終的に得点することは出来なかった」
「人は僕らが全部に勝つと思っているけれど、リーガの試合はどれも難しいものだし、今日の試合はそれをよく表していた」
「こういう戦術プランに僕らはこれからも出会い続けるだろう。でもそれらが上手くいくかどうかは、全て僕ら次第なんだ。僕らはトライし続けていくよ。11人で守るチームを攻めるのは簡単じゃないさ」
いかにして攻撃のパターンを増やすか
バルサはこれまでにも何度も守備的チームと戦ってきましたし、ドン・アンドレスが言うように、これからも似た戦術のチームと出会い続けていくでしょう。この数年間のバルサは、それに対抗するためのやり方探す旅の途中です。リーガやチャンピオンズで栄冠を手にするためには、このような試合を可能な限り繰り返さないようにしなければならないわけですが、前向きに考えるならば、ルイス・エンリケ(とウンスエ)がいかにしてそれを見つけるのかが楽しみともいえます(ライカーのダビッツ。ペップのメッシ偽9番。エンリケの・・・?)。どんな相手にもメッシを活用できるための、複数の引き出し。
また、ドグラスやムニール、サンドロの起用などミスターの勇敢さは認めるところですが、今回は不発でした。若きデランテロたちにはやはり、ぼちぼち期待していくのが吉。いきなりクラシコでハットトリックを決め、チームを救う10代などはほぼいません。チャビの活用法など、ルーチョが新たな引き出しを見つけていくのを期待するのですが、手っ取り早く(?)解決策の一つになりそうなのはルイス・スアレスです。
ウルグアイのクラックはチームがラ・ロサレダのピッチに立つ数時間前、シウター・エスポルティーバでの親善試合(バルサB対U-19インドネシア代表、6-0)に先発フル出場し2ゴールを決めました。実績や能力からして当然なんですが、まさに別格のプレーで、技量の高さやシュートに至る流れなどはさすがの一言。ちょうどあと1ヶ月後、FIFA制裁から自由になった時のプレーが非常に楽しみです。
前日の会見では、「守備を改善していく」と述べていたルイス・エンリケでしたが、このマラガ戦ではさらに攻撃面での不足も明らかとなりました。試合後の監督曰く、「ラスト数メートルでの正確さが足りなかったし、プレーを作る際の忍耐も欠けていて、ダイレクトに攻めすぎていた」「左右のバランスも良くなかった。両サイドから攻めたかったし、内と外を交互にしたかった。私たちの攻撃が良くなかったのは明らか」とのことですので、上手く修正をかけてくれることと、呑気に期待したいと思います^^ ファイト、ルーチョ!
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