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アドリア・ビラノバ「安らかに、父さん」

カテドラルで行われたティト・ビラノバ追悼式。

2014年4月28日(月)、バルセロナ旧市街に鎮座するカテドラルにて、あるミサが執り行われました。セレモニーを司式したのは、バルセロナ区の大司教にして枢機卿のリュイス・マルティネス・シスタック。通常定員900名の大聖堂は1,500名へと座席が増やされたのですが、それでもカテドラル前の広場には入れなかった500名で溢れたそうです。葬儀はティトが亡くなった26日(金)、ジローナ近くの教会にて親族友人たちで営まれていますので、こちらは追悼式となります。

(ちなみに葬儀の出席者した友人は、最期が近づいていることを自覚したティトが自ら選んだらしく。公私ともに分かち難い存在だったジョルディ・ロウラ、親友のアウレリ・アルティミラらが呼ばれています。会場となった教会もティトが選んだ場所で、モンセ夫人と永遠の愛を誓い合った場所とのことです)

1,500人が参列

儀式にはFCバルセロナの関係者が多数参列しました。トップチームの選手(4人のカピタンは最前列)とスタッフ、理事たちが全員参列したのはもちろん、アグスティ・モンタル、ジョゼップ・ルイス・ヌニェス、ジョアン・ガスパール、エンリク・レイナ、ジョアン・ラポルタ、サンドロ・ロセイら歴代会長たちもずらりと集合。ティトがこのようなことにならなければ、一堂に会すことはなかったんじゃないかと思える6人です。

座席にはその他、カタルーニャ自治政府代表のアルトゥル・マス、バルセロナ市長のチャビエル・トリアス、カタルーニャスポーツ局事務長のイバン・ティバウ、LFP会長ハビエル・テバス、カタルーニャフットボル連盟会長のアンドレウ・スビエス(敬称略)らの姿もありました。

荘厳な追悼式のなかで、最も感動的だったのは終盤のスピーチの瞬間です。この式典でスピーチを行ったのはジョゼップ・マリア・バルトメウ会長を始め、親友であるジョルディ・ロウラ、そしてティトの2人の子供たちカルロタとアドリア。それぞれに胸に響く言葉だったのですが、こちらでは個人的に印象に強く残ったアドリア・ビラノバの言葉を紹介したいと思います(ロウラの言葉も沁みるので、後日取り上げたいです)。

父からの教えを胸に

アドリア・ビラノバは現在17歳で、FCバルセロナのフベニールBに所属しています。ポジションはセントラルで、アイドルはジェラール・ピケ。17歳なのでまだまだあどけなく、普通の心優しい高校生という感じなのですが、時々涙を拭いながら大役を果たしたその姿は非常に立派でありました。

「まず最初に、困難な瞬間にある僕たち家族が、バルセロニスタだけでなく世界中から頂いている援助の数々に感謝します。また、カンプノウの哀悼スペースを訪れ、心遣いやメッセージを残してくださった皆さんや、父への黙祷を捧げてくださったスポーツ界の皆さんにも感謝いたします」

「私の父は45年前、エンポルダで生まれました。家族や地域、周りの人たち思いの人でした。フットボルの世界ではエリートではありませんでしたが、努力によって階段を上り、自分が闘士であることを証明しながら夢を実現させていきました。私は父が癌だと診断された、初めての日のことを覚えています。彼が気にかけたのは私たち家族の幸せのことだけで、自分の健康については気にしなかったのです。彼はいつも自分より周りの人の事を気にかけていました。父はフットボル選手として、人として、そして何よりも父親としての私の手本です」

「父が私に与えてくれたもの、教えてくれたものに対しては、感謝する以外にありません。一番の贈り物は、父が側にいてくれたこの17年間です。私は父から、多くのことを学びました。ある日のことを覚えています。私はその日、大きな試験を控えてとても心配をしていました。すると父は私の横に座ると、静かにこう言ったのです。“落ち着いていればいい。今日重要に思えることは、明日になればそうではなくなっているものだ”。私はそれで楽になりました」

「あなたの経験は僕に、今手にしているものを評価するようにと教えてくれました。何故なら人は誰も、その瞬間がいつ訪れるか分からないからです。今あなたは僕たちを残して逝ったけれど、あなたの思い出は僕やみんなの心の中でいつまでも生き続けていくことでしょう。あなたは僕がフットボルで成長し、夢を叶えるために戦う上で手助けをしてくれるでしょう。僕はあなたがいつも側にいること、あなたが僕の守護天使となることを知っています。僕はあなたに、僕が手にする全ての成功を捧げます。そしてあなたの思い出は僕が困難を乗り越える手助けとなることでしょう。僕はあなたをお手本として、良心とハートと勇気をもって、最後まで戦っていきます。どうか安らかに、父さん」

そしてカルロタとアドリアは最後に、母モンセさんもまた父ティトと同じくらいの闘士であると述べ、大きな拍手を受けながら席へと戻っています。いつかアドリアがカンプノウのピッチに立ったら。待ってるよ、アドリア。

 

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