ファンの声とチームメイトの言葉が効いたとラテラル。
すったもんだの末にFCバルセロナとの契約を2年間(+1年オプション)延長したその翌日、ダニ・アルベスが残留を決断した理由を説明するための記者会見を開きました。それによると、退団に傾いていた彼の考えを変えたのはカンプノウのファン、チームメイト、監督たちから受けた愛情。パレードや祝勝会での周囲の言葉が彼の心に強く響き、その心に従って決断を下したのだとラテラルは語っています。
心に従って決断した
前回5月25日の会見に比べれば報道陣の数もまばらだったプレスルームに、黒いTシャツ&黒縁メガネで登場したダニ・アルベス。幾分神妙な口調にて、バルサの22番は契約延長へと至った理由を説明しました。
「(トリプレーテの)祝勝会や、他のいろんな機会で言ったように、僕は自分が愛されていると思う場所にいる。疑問をもたれた瞬間もありはしたけれど、先日僕は、大半の人たちが自分を愛し評価しているとハッキリと判ったんだ。そのことが、残留を決めた一つの理由だよ。僕は心に従って生きているし、その心が僕にバルサに残るように求めた。まだここでやることはあるぞってね。これだけつながりがあって、よく理解し合えているグループを僕は見たことがないよ。いろんなポジティブな要素が積み重なりあって、僕はこの決断を下した」
前回の会見ではダニは、クラブが自分への敬意を欠いていると不快感を示していました。「物事が上手く回らない時、自分が狙い撃ちされるような感覚が僕にはあった。心地良く感じられず、ちょっとした疎外感があった。自分の仕事が評価されていると僕は感じていなかったんだ。僕は表門からこのクラブに入ってきたし、裏門から去ることは出来なかった。もしカンプノウでのああいう声援がなく、(パレード中に)チームメイトたちに口説かれていなければ、僕は残留していなかっただろう。僕は自分が間違っていた、人は自分を愛し評価していると感じ、それがこの決断へと後押しした。ショーとはそういうものさ。拍手を送る人がいれば、指笛を鳴らす人もいる。自分が貢献できないと思うのなら、荷物をまとめて出て行くよ。けれども自分がそうだとは思っていない」
歴史を記す為のページはたくさん残っている
今回の件でアルベスとクラブの関係はどうなったのでしょうか。「勝ち負けの問題じゃなかった。問題を解決し、両者にとってウィンウィンになる必要があったんだ。ダニとクラブの戦いではなかったよ。おカネだけの問題でもなかった。おカネで決めるなら、自分はこのクラブにはいなかっただろう。挑戦とはクラブを変え、新たな冒険を求めることはなく、この夢を延長するためにバルセロナで自分を新たに作り直すことなんだ。おそらくはそちらのほうがより難しい。もう無理だろうと考えていた二度目のトリプレーテを達成した後では特にね。でもそれにもう一回挑戦しない手はないだろう。僕らはこのクラブで歴史を作り続けられる。栄光を記すべきページはまだたくさん残ってるんだ」
ジョゼップ・マリア・バルトメウとの関係は悪くない、とアルベスは言います。「(前)会長との関係は悪くないよ。僕らは最高の関係さ。でもクラブは会長ひとりじゃなく、僕を信じていない人たちもいるわけで。会長とは普通の関係にある。ただし、それぞれには守るべき権利があるからね。あれは交渉の過程であったし、最終的に僕らはどちらにとっても嬉しい中間点に辿り着いたわけだ」
「僕は最初、自分が心地良く感じなかったと言ったけど、それはクラブ内外に自分を疑う人たちがいたからで、会長のせいじゃなかった。もう僕は以前のような成果は出せない、僕は終わったと多くの人に言われたよ。でも僕は頑固者なんでね、自分への期待度が下がれば、努力をしてそうではないと示したくなるんだ。一番大事なのは自分が自分を疑わないことだ。自分がそうしていれば、物事も上手く進み続けていくだろう」
他の会長候補者とは話をしたのか?との問いに、ダニはこう答えています。「僕は話してないけど、僕のオフィスには話しに来てるよ。候補者たちは全員、僕が残ることをと望んでいたからね。ただし僕はそういったことからは距離を取るようにしていた。(試合から)気を逸らしたくなかったから、ほぼ半年間何も喋らずにきたんだ。僕に出せる答えはピッチ内でのプレーだった。でもそれも首都方面が僕の頭を熱くするまでだったよ。彼らは馬鹿げたことを言い、僕を傷つけた。あの会見が大きなリスクを抱えていたことは知っていたよ。もしチームが勝ってなければ、僕は袋叩きにされただろう。自分がチームにコミットしていることを、僕は明らかにしたかった。最終的に全て上手くいったね。パーフェクトだった」
このコメントから推測できるのは、25日の会見の第一の目的は首都方面への抗議にあったけれど、話しているうちに熱くなり、理事会への不満も思っていた以上に爆発させた、というところでしょうか。実際、あの会見で序盤に喋っていたのは首都メディアへの文句です。また、あの怒りの会見で“チームの中には200%いるけど、クラブとは10%”と述べて件については、「物事が360度回転したんだ。僕はここで幸せだし、残留できて嬉しく思ってる。このクラブを僕はとても愛している」とのことです^^
ここ以上の場所がどこにある?
今回の件において、レオ・メッシから助言があり、それが決断する上での重要な要素になったとラテラルは認めました。「メッシは僕に、“ダニ、残りなよ。ここ以上の場所がどこにあるんだ?”と言ったよ。ずっと前から僕らは、このクラブでの生活は最高だよなって話し合っていた。この街には僕らが必要とするものは何でもあるし、気候もすばらしい。一年前にレオを獲得したがってるクラブがある、バルサが僕を売りたがっているというウワサが出た時も、ここよりも良い場所はないって言っていたよ。それらが影響したのは明らかだね。でも結局のところ、望むのはバルサに貢献し続けたいってことだよ」
バルサ以上の場所なんて他にないじゃないか、という言葉で思い出すのは、病床のティト・ビラノバが、彼に退団の気持ちを伝えたメッシに対して語った同様のセリフ。そのティトの言葉がレオの心に強く残っているのでしょう。
ルイス・エンリケからの言葉はどうだったのでしょうか。「周りに疑問符を付けられている僕に彼は賭けてくれたね。彼は決して僕を疑わなかった。一年前、残留するべきか退団すべきかを迷っている時に彼に言われたフレーズが心に強く残っているよ。それは、“ダニ、チームに残って一緒に楽しもうじゃないか”というものだったんだ。僕はあのフレーズを何度も思い出したけど、ベルリンでの試合が終わった時は特にそうだった。僕はこれからも楽しみ続けたい。監督もまた契約を更新したけど、彼はそれに相応しいよ。僕はパーソナリティと個性のある人が好きなんだ。僕はプレーや性質がルイス・エンリケによく似ていると思う。彼のスタッフもまたハードワークを重んじる人たちだし、僕は彼らも大好きだ。ハードワークなしには何も勝ち取れはしないし、多く働けば得るものも大きい。その証明がこのチームだ」
残留を決めたアルベスには、アレイシ・ビダルとのポジション競争が待っています。「僕らのチームに貢献できる人が来たことを嬉しく思うよ。彼の存在は僕への要求を高くするだろう。競争は僕の心を刺激するし、それが難しいものであるほどにやる気にさせる。ビダルはすごく偉大なプレーヤーだよ。偶然ではバルサには来れない。相応しい選手だからここにいるんだ。彼がいることで僕は向上するだろうし、僕もまた彼を向上させるだろう。彼がプレーする時は、僕が外から彼を助けるだろう。逆もまた同じさ。僕らが歴史を作り続けるために、サポートし合っていきたい」
バルサ史上最高の外国人選手のひとりであるダニには、2年後にチャビのようにクラブを送り出される可能性が出来ました。「チャビのような別れは望んでないよ。彼はこのクラブにとって偉大すぎる人だったからね。僕は手頃な目標を目指すのが好きなんだ。僕は今32歳で、3年契約があるから、それを満了するために必要なことをやっていく。来シーズンは個人的により良い年になるんじゃないかな。バルサでの引退も可能性の一つだ。もしこのクラブを去るなら、その後バルサと対戦したくはないからね」
ケビン・ロルダン
ちなみに、、今巷で話題のケビン・ロルダンに関する質問も、当然ながらありました。ダニ・アルベスは言います。「僕らの祝勝会に彼が来なくて寂しかったよ。ピケは何も悪いことはしていない。ちょっと悪ふざけはしたけれど、そこに悪意はなかった。彼から全てが始まったか?それはないよ。ちょっとばかり助けてはくれたけれどね。プロフェッショナルは相手に敬意を払わないといけないし、彼は別に敬意を欠いた発言でもなかった。ただのジョークだよ」
コメント