仕事始めの朝に解任を告げられた、ロッカールームの生き証人。
カンプノウ周辺がクラウディオ・ブラボの入団プレゼンテーションやルイス・スアレスのウワサで賑やかになっているこの7日、バルサロッカールームにおける陰の功労者の1人であり、選手たちからの信望も厚い人物が突如クビを宣告されました。トップチームの用具係を32年間務めてきた、ジョゼップ・マリア・“チェマ”コルベージャさん(62)です。
トップチームのプレシーズン開始まであと1週間となったこの月曜、チェマ・コルベージャはシウター・エスポルティーバへと出勤しました。用具係である彼らは毎年、プレシーズンが始まる1週間前から仕事を再開するので、彼もまたさあやるぞ!と気持ちを新たにロッカールームの扉を開いたことでしょう。
しかしそこで彼を待っていたのは、悲しい知らせを携えたアンドニ・スビサレッタでした。スポーツディレクターはチェマさんに、トップチームの用具係責任者としての任を解くと伝え、それが「クラブの決定である」と説明しました。そしてトップチーム外の別の仕事か、望むのであれば早期退職を勧めたのだそうです。
MUNDO DEPORTIVO紙がコルベージャさんに近い人からの情報として伝えるところでは、クラブから持ちかけられた新たな仕事は給与条件としては悪くなかったそうです。しかし、このやり方は普通に考えて敬意を欠きます。詳しい説明もなく、いきなり突きつけられたこの決定に、チェマさんは心を痛めました。
用具係として32年間
チェマ・コルベージャさんは1982年、こちらもクラブの伝説的人物であるという“パピ”・アンゲラさんとマルティン・レブエルタさんの後任としてトップチームの用具係に就きました。そしてホセ・アントニオ・イバルスさん(通称タハマタ)とコンビを組み、数多くのクラックたちを支えること32年。今では彼はロッカールーム内で“プレジデント”と呼ばれるほど、選手たちからの信望も非常に厚い大ベテランとなってます。ファンからも愛される、名物スタッフ。あるいはその存在の大きさが、快く思われなかったのかもしれません。では、誰に?
実は少し前のSPORT紙に、ルイス・エンリケがロッカールームの管理を“強化”しようとしているとの記事がありました。バルサはこの夏から、エミリ・サバデイなる人物が“スーパーバイザー”に就任し、グラウンド外での様々な雑務を取り仕切るようになっています。それに伴いロッカールームの刷新も行われているようで、選手たちのサポート係でありメッシらとも近い間柄にあったペペ・コスタらは、あまりロッカールーム内部に深く関わらないように、ということになっているらしいのです。これは、ロッカールームを選手たちとコーチ、直接のスタッフのみで固める意図があるそうです。
チェマさんは道具係というチームスタッフゆえ、これとはまた別でしょうが、クラブ内部でなにやら不穏な活動があると考えるのは飛躍しすぎでしょうか。ビクトル・バルデスやセスク・ファブレガスのクラブの去り方といい、レオ・メッシが一時は退団を考えていたという件といい(アモールの更迭もそうだ)、解せないことが多いのです。
いずれにせよ、ロッカールームの生き証人として暗黒時代も黄金時代もチームを支え、クラブに貢献してきた人物への扱いとしては、さすがにこれは良くない。というか酷い。クラブが好ましくない方向へ進んでいるような、そんな感じのするニュースです。
(※バルサのロッカールームでは少し前も、大ベテランのスタッフが1人去っています。34年間にわたってトップチームの物理療法士を務め、マラドーナ、ミゲリ、スビサレッタ、フィーゴ、ルイス・エンリケ、リバルド、ロナウジーニョ、メッシらの脚をマッサージしてきた、ジャウマ・ランガさんです。とはいっても彼の場合は、円満なる定年?退職なのですが)
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