苦しんだ末に栄冠がある…

カンペオンへの道のりは簡単ではない。

FCバルセロナが苦しみながらも、ビーゴでのセルタ戦に勝利しました。難しい試合になるであろうことは予想されてはいたものの、中盤を省略した、そのあまりにバルサらしからぬフットボルによって苦しんだことでバルセロニスタの観戦疲労感は増幅。何点奪って勝とうが得られる勝点は同じとはいえ、最後のワンプレーまで結末が分からない試合は非常に心臓に悪いものです。クラックたちのシューズが湿っていただけに、セットプレーから豪快にヘッド弾を叩き込んだマテューさんには感謝。カンペオンになるチームにはこういう勝利が必要であり、リーガ制覇へと向けてまた一歩前進したことをまずは祝うこととしましょう。タイトルを得るには、苦しみを乗り越えなければなりません…

前半寒々、後半復調

お昼のゲームでグラナダを9-1と文字どおり粉砕したマドリーに対し、我らのルーチョバルサはバライドスで苦悶の末の0-1での辛勝。それも相手ポルテーロが大当たりし、こちらのチャンスをことごとく阻止したのではなく、片手で足りる決定機の一つをセットプレーでモノにしての勝利ですから、クレとしましては実に悶々とする勝利でした。

攻撃陣は前線でほぼ孤立し、アイディアなく送り込んだボールは収まることなく容易にカットされ、選手間の距離感が悪いことでプレーに流れが生まれず、前半はほとんどシュートを打つことも出来ない。自慢のトリデンテを活かした速い攻撃も不発で、せっかくクラシコで広げた4ポイントのリードをあっという間に消費してしまいそうな雰囲気も、ハーフタイム前には感じられました。“プランB”を上手くやろうとするあまり、本来の“プランA”まで忘れてしまいそうな気がして心配というか。後半にチャビ師匠が入ってからはバルサらしいポゼッションが見られましたが（驚異の存在感）、彼が居なくとももう少しボールを落ち着かせられるようなアプローチは出来ないものでしょうかねぇ（戦略としては分かるものの、最後の砦頼みで非常に危なっかしい）。

バルサが最終的に2014/15シーズンのリーガを獲ることになれば、“セットプレーで獲ってやったリーガ”ということになるのかもしれません。それくらいウンスエコーチによる“黒板指導”は効いていて、チームに勝点をもたらしている。なんでもバルサは今季、セットプレーからすでに13ゴール（コーナー8、フリーキック5）を決めているらしく、そっちからは得点の匂いのなかった以前とは別チームとなってます。値千金弾を決めたマテューに、幾つもの失点に直結しそうなピンチを救ったピケと、セントラルたちが大活躍の夜。クラウディオ・ブラボもさすがの安定感でした。

ルイス・エンリケ「チームを強くする勝利」

試合終了後にルイス・エンリケがまず評価したのは、難しいバライドスで手にした勝点3でした。「私たちとしては試合をコントロールしたいところではあるけれど、毎回それが可能なわけでもないんだ。後半はセルタが疲労し、私たちのチャンスが増えたとはいえ、非常に苦労した試合だったよ」

「もっと早くに決着をつけることも可能だっただろうけれど、試合はあらゆる瞬間においてオープンだった。セルタに多くのゴールチャンスを作られて苦しんだわけではなかったにせよ、私たちもまたチャンスを生み出せなかった。そしてそういう試合においては、選手たちのクオリティが決定的な意味を持つものだ。今日は再びセットプレーから得点し試合を決めた。今後もそういうケースはあるだろう」

「自分たちが結果によって判断される瞬間が訪れることは、開幕当初から知っていた。この種の勝利は私たちを強くするよ。ハイレベルなライバルを相手にこういう勝ち方をすると、チームは強くなる。これから訪れるカレンダーの事を考えると特にね」「勝つことは決して悪くない。すばらしい3ポイントだよ」

なんといいますか、クレとしてのフットボルへの満足感と最重要ポイントである勝点3のバランス云々を考えていると、自ずと言い訳がましくなってくるので（^^；）、このセルタ戦は苦しみながらも勝利をものにし、優勝へとまた一歩前進したことに満足します。今後も然りです。戦力を取り戻したマドリーは勢いを上げてきそうですから、こちらも確実に勝っていくことが何より大事！最後まで勝ちきったれ、ルーチョバルサ！

チャビの去就

一方、先週末をカタールで過ごし、次の夏でバルサを離れるのではないかと言われているカピタン・チャビの去就も、この会見でのテーマの一つでした。ミスターは言います。「私はすでに、チャビについての見解を語っている。彼はバルサ史上最も多くの試合に出た選手であり、自らの将来については、彼が適切だと考える時に決めるだろう。私に言えるのは、彼がこのシーズン終盤に非常に集中していることだよ」

最後、オレジャナが腹を立てて芝生を投げつけ退場する原因となったセルヒオ・ブスケツの遅延行為とその代償としてのイエローカードについては、「私たちから選手にカードを出されるよう求めることは決してない」とコメントしたエンリケ監督。セルヒオはこのカードが5回目の累積警告となり、次節アルメリア戦を欠場となりますが、以後はセビージャ、バレンシア、エスパニョールと難敵が続くため、敢えてカードを受けたとの憶測を呼んでいる次第です。そのあたりはファンタジーを膨らませるのもファンの愉しみ^^