スポーツ面での利益を優先。
ここ数年、夏の恒例イベントとなっているのが欧州ビッグクラブによるアメリカ/アジアツアーです。フットボルもまたビジネスである以上、定期的に世界各地を回ることでマーケットを拡大しなければならないってのは分かるのですが、そこで得られるおカネの代わりに十分なコンディション作りができなくなるのがツアーの問題点。現場のチームとしましては、出来るならばじっくりひと所に腰を据えてトレーニングをしたいことでしょう。そして今年のFCバルセロナですが、どうやら夏のツアーは取りやめとし、どこか涼しい地方でキャンプを行うことになった模様。ユーロ2016やらコパ・アメリカで選手が揃わないのもその理由のひとつです。
コーチ陣と選手たちの要望を受け
今夏のツアーを行わないことをFCバルセロナがすでに決断した、と伝えるのは19日のSPORT紙です。それによると、理事会が集金ツアーを断念することを決めたのはロッカールームからの圧力(要望)だそうです。
2016年の夏は4年に一度のユーロ(欧州選手権)だけでなく、100周年を迎えるコパ・アメリカ(南米選手権)も特別開催され、さらにはオリンピックまである特殊な夏となります。これらに参加した後、夏のバケーションもそこそこにクラブの都合で早めに集合させられ、しんどいツアーに出たりしたら必ずやシーズン中にツケとなって帰ってくる。移動に次ぐ移動のツアーではしっかりとしたトレーニングは行えず、落ち着いたプレシーズンを送った方が良いシーズンになる、というのがスタッフと選手たちに共通する考えです。実際、ツアーだスーパーカップだと忙しい日程だった2015年のバルサは、序盤のコンディション調整で非常に苦労しました。
そこでルーチョチームはバルトメウ理事会に対し、今年はアメリカやアジアから届くツアーのオファーを断ってくれるように圧力をかけたのだそうです。当然マーケティング部門からは巡業の必要性を強調するレポートが上がってきたでしょうが、勝ち星を積み重ねクラブに安定をもたらしているルーチョチームの“助言”をバルト会長は軽視できない。経済的な利益よりもスポーツ面での利益を優先することでチームと理事会は合意しました。
そもそも、スター選手は休暇中
ユーロやコパ・アメリカの影響も無視できません。世界中からクラックが集うバルセロナですから、これらの大会には所属選手のほとんど(約19名)が招集を受けます。フランスで開催されるユーロ2016は6月10日から7月10日にかけて、米国で開催されるコパ・アメリカ・センテナリオは6月3日から6月26日にかけて行われますので、決勝トーナメントへと勝ち進んだ代表チームの選手たちがバケーションを終えて合流するのは7月末から8月上旬。ツアーはだいたい7月中/下旬から出発しますので、代表スター選手不在では集客面で多くは見込めないでしょう。スポンサーの要求で選手たちに無理をさせれば、後で過負荷になってしまいます。
ということで今年のプレシーズンはルイス・エンリケ体制の初年度のように、序盤はどこかの涼しく環境のいい国で若手中心のトレーニングを行い、そこに欧州クラブとの親善試合を加えていく感じになるのでしょう。フィリアルの選手がたくさん参加するステージになるかもしれません。個人的にはそっちの方が、断然好み。
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