ゴール枠に3度嫌われセビージャに敗れる。
前年度の三冠王者FCバルセロナの苦しい時期が続いています。最近は試合のたびに怪我人が発生するのではないか、勝点を取りこぼすのではないかとの不安にさいなまれるのですが、難関サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦は2-1で敗北。ルーチョチームはネイマール、スアレス、サンドロのシュートがポストに弾かれるなどツキのなさが目立ったものの、それはまさに現在の運気の悪さを表しているといえましょう。より残念だったのは、今回も守備ブロックが上手く機能せず、後半の早い段階で立て続けに2失点してしまったこと。レバークーゼン戦ではハートで逆転に成功したバルサでしたが、今回は守備のほころびを気迫でつくろうことは出来ませんでした。
決定力を欠き、守備も相変わらず不安定
2-1で敗れたセビージャ戦について、バルセロナのスポーツ紙SPORTとMUNDO DEPORTIVOはいずれも運のなさ、三度もポストによってゴールを阻まれたことを試合のポイントとして大見出しに使用しています。“あんまりな一撃”(SPORT紙)、“忌々しいポスト!”(MD紙)といった具合です。確かにバルサは終盤にセビージャ守備陣をギリギリのところまで追い込んでいましたし、合計20数本のシュートを浴びせています。しかし相手守護神セルヒオ・リコが鋭い反応でネイマールの決定機を次々に阻止し、その他のシュートもことごとくセビージャの壁がブロック。反撃はネイが沈めたペナルティの1点止まりで、レバークーゼン戦に続く“奇跡”の大逆転勝利はなりませんでした。
試合終了後のルイス・エンリケによる 「行き来の激しいゲームとなり、私たちはカウンターアタックから幾度もチャンスを手にした。けれどもボールをもっとコントロールした方が私たちに有利になっていただろう」というコメントからは、敢えて狙ったオープンなゲームなのかどうかは分かりませんが、前半は往来の忙しい展開となりました。カウンターがキレまくっていた昨季なら、それで何点か奪い、勝負を決めることも出来たでしょう。しかし今季のバルサは効率性が悪く、ゴールが入らない。オープンな試合で求められる得点を得られなかったことが、後半の状況を悪くしました。
守備も相変わらず不安定で、後半早々に立て続けに2失点を喫するアカン展開でした。1失点目はジョルディ・アルバをかわしたガメイロに、2対1を作って追い込むべきマテューまでもがいとも容易く料理された時点でほぼ勝負あり。最後は逆ポストへのセンタリングをクローン=デリを押し込まれ、ビハインドを背負う事になりました。わずか6分後の2点目でもずるずるとエリア内への侵攻を許すと、エリア際のクローン=デリから縦パスが来ると見たマテューがオフサイドを取り損ね、入れ替わるように前に出たイボーラにフリーでヘッド弾を決められて2-0。勝点3の獲得はこれでほぼ絶望的となりました。
これで分かったことは、今のバルサはポルテーロがテル・ステーゲンであれブラボであれ失点してしまうこと。必殺の決定力が甦らないのなら、この守備をなんとかしなければ勝利はおぼつかないです。
そしてセルヒオ・ブスケツはインテリオールよりもメディオセントロで本領を発揮することや、ムッシュマテューにはしばらくベンチでお休みいただいた方が良い(どうしてバルトラは起用されない?)のも確認されました。良かったのはチームが最後まで諦めることなく戦い、勝ちたいという気持ちが伝わってきたこと。シュート数、チャンス数からいけば引き分けぐらいの価値はあったと思うのですが、ピスファンの熱気を押し返してネットを揺らすパワーをもたらすものに欠けていたってところでしょう。ウナイ・エメリさんは対バルサ初勝利おめでとう(21試合目での悲願達成)。
チームを引っ張ったネイマール
バルセロナはこれでバライドスに続いてサンチェス・ピスファンでも黒星となりました。アウェーゲームでの連敗はレアル・ソシエダ(3-1)、バジャドリー(1-0)に敗れた2013/14シーズン3月以来のことだそうで、リーガ第7節の時点で2敗したのは2勝3分2敗だった2003/04シーズン以来のことだとか。今季はマドリー勢もまた勝点を取りこぼしており、セルタやビジャレアルが上位にいるなど混戦模様につき、この2敗によってタイトルを失うことにはなりませんが、ルイス・エンリケによる早い立て直しが求められるのは間違いないです。メッシ、イニエスタ、ラフィーニャらを欠く状況でいかにして競争力を取り戻すのか、指揮官の悩みは尽きません。
メッシとイニエスタを欠く中で、サンチェス・ピスファンでチームを引っ張ったのはネイマールでした。しかしバルサでの記念すべき公式戦100試合出場に勝利という花を添えることは叶わず、見せ場は作ったもののゴールはペナルティによる1点止まり。セルヒオ・リコの好守とポストがブラジル人エースの前に立ちはだかりました。自ら守備網を破壊することも、仲間を活かすことも可能なメッシの偉大さを改めて感じるわけですが、将来のバロン・デ・オロを目指すネイにはここでもう一段階段を上がり、クラックからメガクラックになることが期待されます。今のチームにはドリブルで守備網を崩せるのは彼しかいないので。。
ルイス・エンリケ 「1得点だけだったのが信じられない」
今季序盤のバルサの課題の一つが、ゴール前での効率性不足です。バライドスでは17本のシュートを放ちながらも1ゴール、サンチェス・ピスファンでは24本で1ゴール(しかもペナルティ)。その他のどうにか勝った試合でもバルセロナは1~2点しか奪えないことがほとんどで(3点以上は4-1のレバンテ戦のみ)、ゆとりをもって試合を進めることが出来ていません(=疲労する)。
ゲーム終了後の会見で、ルイス・エンリケは決定力不足についてこうコメントしています。「ゴール前での正確性が、いつものレベルからだいぶ落ちているのは事実だね。私たちの選手は効率性の高さが特徴だから、これは奇妙な状況だ。クラックと呼ばれる選手たちと、その他の偉大なデランテロたちとの一番の違いはゴール前での効率性にある。とはいえ、この点に関して私はとても落ち着いてはいるよ。効率性がすぐに戻ってくると確信しているからね」
試合結果については、もちろんのこと不満だと言う監督です。「2-1での敗北は私たちが期待していた結果ではないからね。しかし後半の10分間はセビージャが私たちをあらゆる面で上回っていたし、そこで2失点をしたことで私たちは罰せられることになった。セビージャを祝福しないといけない」
「試合内容を正しく評価するためには、もう一度テレビで試合を見なければならない。ただし私たちは数多くのゴールチャンスを作り出していたわけで、それらは得点にならないことが考えにくいほどの好機だった。こうして1点しか決まらずにここを去ることが信じられないよ」
バルセロナは今シーズン、欧州スーペルコパでも対戦し、そこでは4失点しているわけですが、ルーチョ曰く「私はあちらの試合の方が好みだよ。今回は2失点だったけれども試合に負け、前回は4点取られても勝ったからね」とのことです。その違いはペドロの存在、、、いやなんでもありません^^; 手持ちの駒で競争力を取り戻せるよう、ファイトだルーチョ!
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