スアレスのハットトリックでグラナダを下し、24度目の優勝決まる。
FCバルセロナが無事、2015/16リーガ王者に輝きました。3月下旬時点では、4月末には悠々と決まっているだろうと想像していたこのリーガのタイトル。それだけに3連敗でマドリー勢に急接近された時は少々焦りましたが、最終的にはクレ的ハッピーエンドとなり、あの苦労も喜びを盛り上げるスパイスになったというところです。グラナダ攻略の主役となったのは、ハットトリックの活躍でチームを勝利に導いたルイス・スアレス。バルサの9番はこれにてピチーチも獲得し、バルセロニスタの喜びもひとしおであります。
最終節までもつれ込むとは、夢にも思わず
今季のリーガ優勝争いが最終節までもつれることになろうとは、3月の時点では正直夢にも思っていませんでした。第29節のヘタフェ戦で6-0と圧勝し、リーガ12連勝を決めた時には、クレは優勝を確信。その試合後の当バルサニュースを見てみると、“チーム全体としての動きも上々”、“この過密スケジュールでちーむがこれだけ走れるコンディションを維持させているとは”、“3月に入り、選手たちのパフォーマンスはさらに上がっていくと見られる”などと、好調さにうっとりしている自分がいることが分かります。そこからバルサはアーセナル戦に勝ち(3-1)、ビジャレアルに引き分け(2-2)と、公式戦39試合無敗をやってのけました。
しかしそこからが大変でした。今思えばエル・マドリガルでのエンパテからスランプの影は近づいており、代表戦によるパロン(中断)の後はレアル・マドリー(1-2)、レアル・ソシエダ(1-0)、バレンシア(1-2)に痛恨の3連敗。2位マドリーに対して8つ、3位マドリーに対しては12もあった勝点差はあっという間に吐き出され、リーガに黄信号が点灯します。これにチャンピオンズ敗退も重なり、4月中旬は“針のむしろ”でした。
幸い、傷口はそれ以上には広がらず、ルーチョチームはどうにかこうにか乱れた進路を元に戻すことに成功します。転機となったのはルイス・スアレスの4ゴール3アシストなる規格外の大活躍で、0-8圧勝したリアソール。ここからバルサはスポルティングに6-0、ベティスに0-2、エスパニョールに5-0と無失点での勝利を重ね、このグラナダでの戴冠へとたどり着きました。グラナダは世界史で習ったレコンキスタ終結の地ですから、ここを陥落することでのリーガ優勝達成はなんというか、それっぽい喜びがあります^^
ルイス・スアレスMVP
グラナダを巡ってのバルサ優勝阻止ボーナスが事実であれ、ただのウワサであれ、マドリディスタの奇跡の逆転優勝への希望を打ち砕いたのはルーチョチームの勝者としての強さと、ルイス・スアレスのパンチ力です。
ペップ時代からの8年間でこれが6度目のリーガ優勝となるチームは、タイトルの懸かったこのグラナダ戦でも落ち着きを失うことなくゲームを支配。エリア周辺を固めるアンダルシアチームに対し、左のネイマールを中心に攻略を試みました。ネイのフォームはここへきて大分戻っていて、裏のスペースを取るべく何度も挑戦(メッシのアシストパス)。1対1やジョルディ・アルバとの連係も復活したことにより、危険を作り出せていました。先制点はこのアルバ×ネイコンビが崩したところを、スアレスが仕留めてのゴールでした。
圧巻だったのはスコアを0-2とした38分のゴールです。マスチェラーノからのロングボールに追い付き、センタリングを送り込んだダニ・アルベスも見事でしたが、ニアポストに相手選手より速く走り込み、「え!?」というヘディングシュートを決めたルイス・スアレスの得点への嗅覚たるや。今季はゴールが欲しい場面で本当によくルイシートに助けられました。「頼まなくてもチームメイトが僕を探してくれるから」と謙遜するスアレスですが、それも彼ならきっと決めてくれるとの絶大な信頼と、愛される人柄があってこそです。リーガ40得点でのピチーチ獲得おめでとう!
ルイス・スアレスの活躍がなければ、今季のバルサのリーガ優勝はなかったでしょう。終盤での数字は呆気に取られてしまうほどで、ここ5試合では14ゴール4アシストとあまりにも決定的。シーズンを通しても59得点26アシスト(リーガでは40得点17アシスト)と、恐るべき記録を残したルイシートは、間違いなく今季のチームMVPです。この7年間はメッシとCR7が独占してきたリーガ得点王の座を獲った点でも、大きなインパクトがあります。
(カンプノウの片隅にスアレス神社を建てたいほどです。日本の街角にひっそり建ってる感じの)
もちろん長丁場のリーガは個人の活躍だけで優勝できるようなものではなく、大黒柱メッシを始め、その大エースが長期離脱した際にチームを支えたネイマール、カピタンイニエスタ、黒子ラキティッチ、縁の下ブスケツ、ピッケンバウアー、マスチェ司令官、弾丸アルバ、ここぞで頼れるアルベス、守護神ブラボ、どこでもロベルトらチーム全員の力があってこそです。土俵際まで追い詰められながらも、そこから踏ん張ったチームの精神力はさすが。あと1試合、大事な決勝が残っていますが、ひとまずはリーガ優勝を存分に味わってくださいまし。
ファンが雪崩れ込み、グラウンドで祝えず
残念だったのは、エルナンデス・エルナンデス主審が試合終了を告げるホイッスルを響かせた直後、ヌエボ・ロス・カルメネスのピッチに多量のファンが雪崩れ込み、バルサ選手たちの歓喜の輪が妨害されたことです。SPORT紙によれば、試合開始前のスタジアムではファンに向けて“試合後のグラウンドには侵入しないでください”とのアナウンスもあったとのことですが、それは全く効力を発揮せず。バルサ選手たちは瞬く間に揉みくちゃになり、ピッチでの祝いを断念してロッカールームに引き上げざるを得ませんでした。こちらは選手たちが歓喜する様子を見て、余韻をもう少し堪能したかったのに。
ホテルWでの祝勝会
ロス・カルメネスのロッカールームでひとしきりカンペオーネスの歌を楽しんだバルサ選手たちはその後、バルセロナへと帰り、海沿いの高級ホテルWにてパーティを行っています。一行がプラット空港に到着したのは22時頃で、そこからシウター・エスポルティーバにバスで戻った後、一度解散して家族とともにホテルWに再集合という流れ。身内での祝勝会が始まったのは0時半だったそうです。
優勝パレードは日曜夕方から
無事クラブ史上24回目のリーガ優勝を果たしたルーチョチームは、この日曜日の現地18時(日本時間25時)より、恒例の市内パレードを行います。コースは港エリアのワールドトレードセンターから始まり、パラレイ大通りを通ってスペイン広場、マリア・クリスティーナ女王通り、そしてリウズ・イ・タウレト通りで終了というもの。コロンブスの塔からモンジュイックの麓へと行く感じです。コース上には3箇所、LEDスクリーンなどが設置されたスポットが設けられます。
パレードの所要時間は1時間半ほどの予定だそうです(やや短め)。通常であれば、パレードの後はカンプノウにてファンとの祝勝イベントが開催されるのですが、今日はまだ昨日公演があったブルース・スプリングスティーンの舞台セットが残されていることで、パレードのみの実施となります。コパも制して二冠となった場合、カンプノウでの祝勝会があるのかもしれません。
当初パレードは土曜の深夜に計画されていると報じられていましたが、それよりは日曜午後の方が数倍好いでしょう。子供たちも来れるし、太陽の下のほうが画としても美しい。通りで選手たちに声援を送れる人たちが羨ましゅうございます。(下の動画は市内中心部、カナレタスの泉で盛り上がるバルサファンたち)
コメント