これ以上にない希望を胸に抱いているとバルサの4番。
2014/15シーズンから始まったルーチョチームにおいて、南米トリデンテやドンアンドレス、セルヒオ、ピケらと並んで不可欠な存在となっているのが爽やかクロアチア人のイバン・ラキティッチです。適応が困難なバルサの中盤で入団初年度から結果を出し、現地メディアに“デコ以来の大成功”と言わしめたセントロカンピスタ。労をいとわない献身的なカバーリング、後列からの飛び出し、強烈なロングシュートによってチームを支え、レギュラーの座を強固なものとしている彼ですが、決して自らのポジションが不動だと見なさず前へ進み続けようとするところが、彼の強みでありましょう。
欲しいのは監督やチームメイトからの信頼
国際代表戦ウイークが盛んに行われているこの10月7日、SPORT紙にイバン・ラキティッチのインタビューが掲載されました。アキレス腱の痛みによって今回の代表招集は見送られた彼ですが、取材を受けたのは今週ではなく、10日ほど前、ラフィーニャやジョルディ・アルバらとADIDASの新型シューズ発表イベントへ出席した直後の模様です。
冒頭に「チームはすごく順調に進んでいるし、状態も良い」「個人的にも良い始まりになったと満足している」と述べたセントロカンピスタは、続いてあなたは自分が先発レギュラーだと感じていますか、と問われ、次のように答えています。
「どう感じているかはさほど重要じゃないさ。もっと重要なのは僕ら全員がピッチに立ちたがっていること。僕が望むのはミスターやチームメイトたちの信頼を得て、彼らが僕をいつも戦力に数えられると感じることだよ」
あなたを周囲が信頼しないはずがないでしょう!外野から見れば不動のレギュラーそのものなのに、激しくなるポジション競争に勝つため、自主トレに励んでシャープになって休暇から戻ってきたことも信頼を高めます。その成果あり、今季は早くも2得点。フォームの良さを感じられます。
「その流れが続いてほしいと心から願うよ。もちろん、得点を決めてチームを手助け出来るのはすごく幸せなことさ。でも僕は得たいのは自分が上手くやっているという感覚なんだ。僕らはこれから成長していくし、僕もその一部でありたいと思う。毎年より良いフィーリングを手にしたいんだ。僕がバルサへきて3年目。トップの状態でありたいね」
「(層が厚くなったことによる)プレッシャーは感じていないよ。僕らはバルセロナに居るわけだし、多くを言う必要はないと僕は思ってる。プレッシャーは自分の中から生まれるものだしね。求められるのは“ほら、僕の状態は好いよ、僕はプレーがしたい”と言える自信。そのために僕は毎日働いているんだ。でも全ての上にあるのは希望や意欲さ。僕らはすごく良いスタートを切ったと思うし、これ以上にない2年間を過ごしてきたから、僕はそれを続けていきたい。そして3年目がもっと良いものになることを願ってるよ」
フットボルはそういうもの
この日のSPORT紙の表紙では、ラキティッチの「僕らは毎年トリプレーテ(3冠)をできる」との言葉がでっかく取り上げられています。なんて自信か、と感心するのですが、鼻高々にオレたちは強いといってるわけじゃありません。
セントロカンピスタはまず、2年連続トリプレーテを目指し、惜しくも2冠で幕を閉じた昨季のことをこう説明しています。「フットボルでは時々、説明のつかないことが起こったりするんだ。物事をあちらからこちらへと行かせる細かな要素がフットボルにはたくさんある。それを言うのは残念ではあるけれど、昨季は多くのディティールが逆向きになる、そんな15日間があって、おそらくそれらはチームに相応しくないものだった。でもフットボルはそういうものだからね」
「そしてそういった小さく細かな点が、多くを与えもするし、持ち去りもする。重要なのはそこから学ぶことだよ。もしチャンピオンズでもっと先へと進みたかったのなら、そうあってはいけないことがあった。でもリーガとコパを獲れてシーズンを終えたのは、ネガティブなことよりポジティブなことの方が多いよ」
語るより、ピッチで希望を表現したい
小さなディティールが積み重なって大きな問題となったのが、カンプノウクラシコで39試合無敗記録がストップしてからの、アトレティコ戦を挿んでの3連敗でした。バルサはこれでチャンピオンズを失い、リーガも危険に晒された。この夏のバルサは同じ失敗を繰り返さないためにベンチを強化する大型投資を行い、ルイス・エンリケは積極的にローテーションを実施しています。チームの層が厚くなり競争が増したことは、昨季のようなスランプを回避することにつながるか。ラキティッチは言います。
「そうなるといいね。クラブはいつも、あらゆる点を改善するために働いている。チームがもっと強くなるよう、僕らは頑張っていくよ。僕らは話すことはあまり好きじゃなくてね。それよりはハードワークをして、ピッチ上で自分たちが抱いている希望を示したり、楽しんだり、良い試合をしたり、クレが喜んでいるところを見たいんだ」
そしてバルサがもっと強くなるために必要なのはディティールの強化で、「ゴールが決まった時はその前の30秒間で何が起きたのかを、どうすれば避けられるのかを全てみること」だとセントロカンピスタは説明。「細部まで詰める必要があるし、グループとしてすごく強くならなければならない。それがより重要」と述べています。
長いシーズン中には様々な諸問題が発生し、それらを一つ一つ摘み取っては望ましい方向へと向かせ、たゆまぬ努力をしながら一歩ずつ前進していくことがトリプレーテの栄冠へとつながるのでしょう。長丁場のリーガと、一つダメ試合をすれば全てが終了になりかねないカップ戦を全部獲得することの難しさ。しかしラキティッチの前向き思考は成功者のそれです。
「もし毎年3冠できるチームがあるなら、それはバルサだよ。僕らはそれを目指して生きているわけで、全てのチームに世界中の敬意を表しつつも、クラブの歴史がそれが可能だと僕らに教えてくれた。僕らは良い仕事をしているし、これ以上ないほどの希望を抱いているんだ」
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