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白っぽい競技委員会、バルサを攻撃

ボトルを投げつけられ、見苦しい振舞いをしたと非難。

もはやなんの珍しさもなく、ある意味で毎年恒例のイベントのようなものですが、今秋もまた、いわゆる“反バルサキャンペーン”が展開されています。事の発端は先週土曜日、メスタージャで行われたバレンシア対バルセロナでした。終了直前、レオ・メッシのペナルティキック成功を祝うバルサ選手たちへとスタンドからペットボトルやライターなどが投げ込まれ、そのうちの1つがネイマールの頭に直撃。通常であればバレンシアが罰せられて終了となるところですが、ネイが絡むと事はすんなりとはいきません。悪いのは観客を挑発していた彼だとの批判が各方面で展開されたことに加え、競技委員会もまたFCバルセロナに問題があるとの見解を示したことで、バルサ方面が激怒しているところです。

食い付いてきた“カベルナ”

選手に危害を及ぼしかねないペットボトル類を持ってのスタジアム入場が、厳しく制限されているのはもはやスポーツ観戦の常識です。もしグラウンドへとボトルなどが投げ込まれれば、処分を受けるのは投げ込んだファンのクラブ。しかしながらペットボトルが頭部に直撃しているにもかかわらず、咎められているのは主に当てられた選手だというのが今回のすごいところです。

ファンによるボトルなどの投げ込みがあったことに関しては、バレンシアCFはその事実を認め、「私たちはそういった暴力的行為を寛大に扱わず、事件を調査するとともに防止に努めていく」との声明を発表しています。しかしながらその後、バレンシアはバルサ、とりわけネイマールに対しては、騒動を起こしたのは彼であると攻撃。そこに即座に乗ってきたのが、“カベルナ”(洞窟)と呼ばれる、バルサを攻撃することを大好物とするマドリー系メディアです。以下、長くなります。

少年の謝罪と説明

ネイマールに当たったペットボトルを投げた人物をバレンシアは特定しています。SPORT紙によるとそれは17歳の少年。少年は父親とともにメスタージャのクラブオフィスへと出頭すると、犯した行為を謝り、処罰(年間指定席没収)を受け入れるとクラブに伝えたそうです。そして少年はラジオ・バレンシアへ出来事について綴った手紙を送付。その内容は次のようなものでした。

「ボトルを投げた瞬間から、自分が重大な過ちを犯したことは分かっていました。でも僕は、ネイマールが僕たちを侮辱するところを見ていましたし、彼はスタジアムにいて最後の瞬間まで自分たちのチームのために叫んでいたバレンシアファンを挑発していました」「バルサ選手が5人も当たったふりをしていたのは残念です」「バルセロナに、そして何より僕の人生のチームに許しを請いたいです」

テレビ映像を見ると、ネイマールは確かにゴール裏の観客席に向かってなにやら言っていて、それは決して褒められた行為ではないのですが、だからといってボトルを投げつけ行為よりも非難されるのはいかがなものか。挑発で名を馳せるクリスティアノ・ロナウドにボトルやライターが当てられた場合も、同じくロナウドに批判が集中するでしょうか。そして試合を通じてバレンシア選手たちが繰り返し繰り返しバルサ選手にラフなタックルを行っていたことは何故咎められないのか。イニエスタはそれで靭帯を損傷しました。

LFP会長「処罰されるべき振る舞い」

“カベルナ”が隙あらばバルサを攻撃するのは当然として、今回はそれ以外の各方面も、“バルサに問題あり”の合唱といった様子です。バレンシアを批判する声もありますが、少数派です。

バレンシアのスポーツディレクター、スソ・ガルシア・ピタルク氏が「ネイマールの態度もまた咎められるべきだ」とコメントするのは、立場的にまあ分かります。チェの主将ダニ・パレホが同じく「バルセロナの選手は敬意を欠いていた」と語るのも、納得はできないにせよ、そういう見解になるでしょう。

その他では、バレンシア州知事シモ・プッチ氏が「ボトルの投げ込みや侮辱を正当化することは決してないが、プレーグラウンドにいる、高給をもらっているプロフェッショナルたちは、一般大衆の気分を害させるべきではない」「スポーツ選手が受けなかった攻撃を受けたふりをするのは立派な行為ではない」とコメント。勝者は勝者らしく振舞え、との指摘と受け止めましょう。

そして月曜日にバレンシアのパラシオ・デ・コングレソス(会議センター)に催されましたラ・リーガ2015/16各賞授与式においては、LFPのハビエル・テバス会長が「(転がる)バルサ選手たちはボーリングピンのようだった」「何万人という子供たちが見ている試合で当たったふりをするのは、私なら恥ずかしくなるだろう」「あの手の振舞いは好きじゃない」「処罰され、非難されるべき振る舞いだ」とバルセロナを非難。完全にバルサが悪者という論調です。

競技委員会もバルサ批判に加わる

自分たちは被害者だと思っているのに、“カベルナ”の策略によって自分たちは加害者にされている。そんなバルセロニズモの怒りをさらに高めているのが、26日にスペインフットボル連盟(RFEF)の競技委員会の判決文書です。

その文書の中で競技委員会は、今回のボトル投げ込み事件に関し、バレンシアに対してメスタージャ無観客試合の警告と罰金1,500ユーロを宣告。ネイマールによる挑発があったとするバレンシアの主張は「観衆からの暴力的リアクションを正当化するものではない」と却下しています。通常はここで判決文は終了します。

驚きは競技委員会がバレンシアへの制裁を告げるだけでなく、文書を利用し、バルサ選手たちの態度を手厳しく咎めたことです。委員会曰く、「バルサ選手たちの振舞いは、彼ら自身の評価を失墜させるものだ」「ゴールを祝う際に観客席へと向けられたバルサ選手たちの振舞いは大目に見るべきではない」「1人に当たったボトルが、何人にも当たったかのようなふりをするようなその大げさなリアクションは、スポーツマンシップの手本となるものでない」など。

ボトル投げは正当化されるものではないが、非の一部はキミたちにもあり、その後の反応も見苦しいと、主観たっぷりにバルサをぶった斬っています。顔に手や物が当たったら、とりあえず倒れるのがリーガの普通だと思っていましたが違ったようです。

これに対しFCバルセロナは、「完全に不当で非難されるべき内容」との声明を発表。ラジオ局CADENA SERによるとジョゼップ・バルトメウ会長はまた、LFPのハビエル・テバス会長に対しても電話をかけ、先日の発言に関する説明を求めた模様です(電話の最後にはバルトメウの口調は穏やかになっていたと同局)。

マドリディスタ委員会

ちなみにRFEFの競技委員会のメンバーに関しては一般紙EL PERIODICOが説明をしているのですが、委員長フランシスコ・ルビオ・サンチェス氏(54)をはじめ、3人全員がマドリディスタという爽快さです。3人ともに中道右派政党PP(前身はフランコ体制の政治家を中心に結成された国民同盟。保守派)と関係があり、輝かしい学歴を誇る、真っ白なシャツを爽やかに着こなし白い歯を輝かせていそうな弁護士さんたちであります。

その2人の優秀な弁護士、パブロ・マヌエル・マヨール・メネンデス氏(52)、ルカス・オソリオ・イトゥルメンディ氏(53)はどちらもフランコ独裁時代に大臣だった高名な政治家の息子たちといいます。彼らはバルサ絡みの陰謀論で過去に登場している国家弁護士局(長官はかつてフロレンティノ理事会の一員だったマルタ・シルバ・デ・ラプエルタ氏)に所属と、邪推したくなるワードは揃っていまして、バルセロニスタの心を毛羽立てさせるんですよね。

ネイマールはもうバルサにいるかぎりはこの手のキャンペーンに苦しめられることでしょう。バルサに対する嫌がらせは止むことはない。最近はメッシがバロンデオロ競争の本命になってきているのが、面白くなかったんじゃないかと勝手に想像しています。

 

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