対策をしたはずが、繰り返されるヨーロッパでの大失敗 今の方向性ではこれが限界か
バルセロニスタを長くやっていれば、チームが大ポカをやらかすのもそう珍しいことじゃないです。特に近年はチャンピオンズが失敗の舞台となっている。パリ(4-0)、トリノ(3-0)、ローマ(3-0)、そして先日のリバポー(4-0)。指揮官がルーチョからチングリに替わっても結局この傾向は変わらず、抜本的な改革なしにはヨーロッパを極められるバルサにはならなさそうな状況です。
リーガでは有効、ヨーロッパでは不十分
エルネスト・バルベルデの作ったチームは安定感があり、ラ・リーガ(とコパ)においては有効でした。
リーガでは強力なブロックを作り、シーズンを通して最も安定した結果を出したチームがタイトルを勝ち取る。3つのポジションではタイプによって選手を使い分け、ローテーションにも気を遣いました。
しかしチャンピオンズにおいては安定だけでは足りず、フィジカルであるとか、エリア前に押し寄せて力尽くでもねじ込むフットボールが求められる。欧州を獲るべくデザインされたはずのバルサも、ここは不足が目立ちました。
精神的なものなのか、身体的なものなのか、鬼気迫る勢いで迫るライバルに対しボールをコントロールできなかった。カオスをコントロールで返せず、こぼれ球も次々に持って行かれた。
このバルサの持ち味だった、敵陣でボールを奪取するプレッシングは見る影もなく、ボールを奪ってからの速い縦への崩しも数少なく。
全然タイプの異なるコンペティションを両方獲るには、複数の引き出し、もしくは圧倒的な優位性を誇る武器(ティキタカ、MSNトリデンテetc・・・)を持ったスカッドが必要になるわけで、だからこそトリプレーテの価値は絶大ですが・・・ このバルサではどうやら今のチャンピオンズを獲れないと思い知らされたのがアンフィールドでした。
4つめの失点となったあのコーナーキックは、戦術やインテンシティ云々とは無関係のおバカさだったのですが。
ここで結果を出してこそ、と3点のアドバンテージを持って臨んだ試合だけに、無能感を出しながら殴り倒された衝撃は巨大だったな。
いつの間にやら変わった方向性
前線からのプレッシングとポゼッションとポジショナルプレー、この“3つのP”がバルセロナの武器で、今季バルサが良いフットボールをしたな!という試合ではこれらが決まっていました。
でもシーズンが終盤になってからは、この“3つのP”なんて全然話に出てこなくなっていたと、これを書きながら思い出している次第です。オトナのフットボールだとか、いつの間にやら方向性が変わっちゃっていたような。オトナフットボールが確立したのは、クラシコ連戦でマドリーを沈めたあたりでしょうか。アルトゥロ・ビダルの定着からか。
ビダルの定着は良いことで、バルサがチャンピオンズを制するのに必要なニュアンスだったと思います。ペップチームのトゥレ・ヤヤやセイドゥ・ケイタのような。
しかし負けるイメージの酷さは、そんなこんなでチングリがせっせと築いてきた信頼を一夜で大きく揺るがせた。
バルサらしくはないけれど結果が出るならと受け入れていたフットボールが、ヨーロッパの肝心な試合で散々な結末に終わったこと。フットボールの重要な要素である情熱(パッション)をチームに伝える術を持たないこと。
これらのことから、バルベルデの方法論やキャラクターに不満・疑問が噴出するのは自然な流れです。
今の道で続けるか、刷新するか
ではアンフィールドでの大失敗を受け、バルサとしてどうしていくかです。
ラ・リーガは連覇できているし、コパも連覇まであと一歩で、チングリの実直で実用的なチーム運用は効果を出している。リーグ戦がシーズンの基本ゆえ、とりあえずそれで良しとするのか。
それともヨーロッパでの敵地戦、とくにフィジカルでインテンシティの高いチームの本拠地で勝てない(大事な試合で完敗する)ことを問題視し、スカッドを刷新していくのか。
バルサは国内タイトルだけで満足できないクラブなので、選ぶのはこっちでしょう。毎年繰り返される、ヨーロッパでの惨敗。どっちにせよ待ったなしの、高齢化対策。
世界最高選手レオ・メッシがいるうちに再び欧州制覇の夢を見たいのなら、急いで手を打たねばなりません。もう遅いかもしれないんですけれど。
結局、バルサらしくなるしかない
スカッドを刷新するとして、最も立場が危ういのはエルネスト・バルベルデです。
アンフィールドで3-0とされながらも大人しかったチームは、チングリのイメージと重なる。
ペップは智将ながら狂気も感じますが、バルベルデは常に物静かそうですから。
しかし監督を、例えばアヤックスでセンセーションを起こしたエリク・テンハーグに替えたからといって、それだけで上手く機能するようなユートピアはきっとないのでしょう。
バルサは少しずつバルサらしさを失っていき、それは時代への適応・修正といえるものなのでしょうけれど、今のチングリスタイルになりました。でもクライフやペップ時代の栄光スタイルがバルサなら、現在は劣化ともいえる。
ここらでいっちょ、本腰を入れて超ポゼッションに回帰する時なのかもしれません。
バルベルデはアンフィールド決戦前日に「コントロールに興味はない。私が興味があるのは攻めることだ」と言っていましたが、結局コントロールのないバルサに欧州の頂点は極められないのでしょう。
ボールを放棄し、メッシに頼るやり方の限界。MSNトリデンテが猛威を振るった2014/15は特異すぎたか・・・それでも苦しい時はチャビ・エルナンデスがいましたね。
バルサが欧州を獲る時は、時代を動かすというか、毎回もうどうしようもない勢いがありました。今回は無理やり「できる」と信じ込もうとしていた感じ。これだけ好条件を揃えたんだからいける、みたいな。
バルベルデはやり繰り上手で、ルーチョ後のとっ散らかった状態を引き受けるには適任だったとは思うのですが、次はもっと勇敢でちょっとばかりの狂気もはらんだようなミスターが必要なんでしょう。じゃあ誰だ、っていうと分からないんですけれど。
バルサ哲学の原点に戻るといったって、主力は軒並み高齢化しているし、一朝一夕に出来るはずもないし、数年はまた脇役となって力を蓄える期間になりそうです。アルトゥール、アラニャー、プッチ、デ・ヨングと主軸になれそうな若手はいるので、ぼちぼち楽しもうじゃないですか。
欧州で勝てなくても良いから、バルベルデに若手を伸ばす方でもう1年頑張ってもらう?
以上、まとまりないですけどアンフィールドの悪夢後の雑感でした。
このニュースのまとめ
- ・ポゼッションして、試合をコントロールしてこそバルサじゃないの
- ・結局そんなバルサでしかヨーロッパは獲れない
コメント
筆者の方に全く同感です。
ボールを持ってこそ輝くチームのバルサがボールを持てない、持とうとしない?様な姿勢が徐々に大きくなってきて、アンフィールドで丸裸にされてしまった印象です。
超ポゼッション回帰は今バルサに一番必要な要素だと思います。
ルーチョ時代もチャビが居なくなってから、より個人路線に傾倒してしまった感があるので、マシアの選手を育てながら、大一番で肝の座った試合ができる様になって欲しいです!
チャビ監督の時代が早く来そう
ペップもリーグ戦績は圧倒的ながらCLでの戦績は完全な下降線ですし、本気でCL制覇を目指すなら意地を捨ててジダンからも学ぶ必要があるのでは。
そもそもCLが特殊すぎて何が通用するか結局のところわからず、ほぼ願望論になってしまいますね。
選手たちの、呆然とした表情に虚ろな目でピッチをフワフワしている姿は、もう見たくないと思いますが、、、
しかしこれまでにも欧州の舞台では、バルサよりテクニックで劣ると考えるチームは、確固たるインテンシティで「バルサ攻略」として激しくぶつかってきました。
今回あまりにも、あっさりやられてしまったのはなぜなんでしょうか?
ハートやプレーがあまりにも繊細すぎるんでしょうか?
ファーガソンはロッカールームで真っ赤になって怒鳴りちらすと聞いた事があります。
やはり情熱と狂気を持った監督が必要なのか。
例え相手がメッシでもピッチで叱咤する強いカピタンが必要なのか。
「3つのP」を徹底して蘇らせてほしい!!
私も筆者の方に同感です。
「ボールは自分達のものである」というバルサの哲学が気がついたら見当たらなくなっている 「3つのP」を徹底してこそバルサがバルサであり、たとえそれで負けても自分達のスタイルは変えないんだという強い自負があったはず。そのサッカーにワクワクして私はバルサファンになったんだと改めて思いました。
どうかクライフの作ったバルサを失わないでほしい。
負けるのは本当に悔しいし悲しいですが、バルサが自分達のスタイルを捨ててしまうのはもっと辛いです。
あと、闘争心や強いメンタルがいかに大事かとローマ戦や今回の試合を観て思いました。チームをまとめて鼓舞する闘争心がバルサには欠けていましたね。
私自身、負けたショックは未だ癒えず試合の場面が頭を過ってはため息をつくばかりですが、これからもクライフが作ったバルサを応援し続けます。
いろいろ原因はありますが分かりやすいのは選手の高齢化ですかね。
主力のほとんどが30代ですから体力は当然20代に負けますし
すでにCLを獲った事のあるメンバーばかりですから
若い選手のような捨て身の精神もないのは当然でしょう。
ここ数年の補強もハズレばかりでベンチ層は薄いまま。
盛者必衰ですね。バルサの暗黒期再到来を覚悟しています。
黄金時代の輝きが大きかっただけに今後の立て直しは苦労しそうです。