クラブに退団を求めたburofaxから10日、沈黙を破り残留を発表したカピタン
この1年間は幸せでなかったと明かし、バルトメウ理事会を痛烈に批判
レオ・メッシが沈黙を破り、バルサ残留を決めた理由や今回の退団騒動にまつわる説明を行いました。残留自体は予想されていたものの、その内容は衝撃的で。バルセロナではもう幸せでなかったことを率直に明かし、バルトメウ理事会のクラブ運営にはプロジェクトがないと批判するなど、単なる残留発表を超えた破壊力で見るものを驚かせたメッシです。選手以上の存在・・・
D10Sをあと1年カンプノウで見られるのは朗報ながら、どういう余波を生むかまだ分からない。ショック療法となることを期待しましょう。
一年間ずっと退団を考えていた
スペイン時間2020年9月4日の18時(日本時間5日1時)、GOAL.com によってそのインタビューは配信されました。スペイン版編集長ルベン・ウリア氏による独占インタビューです。
インタビューは概ね、ここに紹介している順番で進んでいます。「完全版」といきたかったですが、ちょこっとカットしてあります。できるだけメッシの思いを正確に伝えられていればいいのですけれど。
まず冒頭でメッシは、自らの見解を語るのに時間のかかった理由を次のように説明しています(クラブへの Burofaxによる退団申請から約10日)。
「まず第一に、リスボンで負けた後が非常に辛かったからです。(バイエルンが)非常に難しい相手だとは知っていましたが、ああいうクラブやバルセロニズモにとってあまりに哀れなイメージを与える終わり方をするとは思っていなかった。僕らは非常に悪いイメージを残しました。僕の気分もひどいもので、何もする気がしなかった。あとから全てを話しに出るために、時間を過ごしたかったのです」
そしてバルサに退団希望を出した理由ですが、これがなかなかに驚き・・・ 2019/20シーズンを通して退団を考えていたというメッシです。トレーニングでも試合でもずっと苦しんでいたという告白。その事実は重い。
「僕はクラブに、特に会長に対して去りたいと言いました。一年を通してそう言っています。僕は自分が身を引く時期がきた、クラブにはもっと若い選手、新しい選手が必要だと信じ、自分のバルセロナでの時代は終わったと考えたのです。ここでキャリアを終えたいといつも言っていたので、とても残念に思いながらです」
「この一年はとても困難でした。トレーニングで、試合で、ロッカールームで、とても苦しみました。僕にとっては全てが非常に難しく、新たな目標や新たな環境を探そうかと考える瞬間がやって来たのです。チャンピオンズのバイエルン戦の結果が原因ではなく、長い時間考えた末の決断でした。僕はそれを会長に言いました。そして会長はいつも僕に、シーズンの終わりには僕が退団したいのか残りたいのかを言えるだろうと言っていたのです。しかし結局、会長はその言葉を守らずに終わりました」
偽りの言葉に傷つき、新たな目標を求めた
今回の退団騒動では、いろいろな憶測が乱れ飛びました。そのなかで辛かったのはバルサへの愛情に疑問を持たれたことだとカピタンは言います。
「(孤独?)いいえ・・・ 孤独は感じませんでした。僕のそばにはいつもの人たちがいてくれましたから。僕にはそれで十分で、力をもらえるのです。しかし僕のバルセロニズモを疑っている人々やジャーナリストの言葉には傷つきました。それは人を見抜くうえでは役立ちもしましたが。このフットボールの世界はすごく難しくて、偽った人が数多くいます。今回の件で役立ったのは、そういう偽った人たちを認識したことでした。このクラブへの僕の愛情に疑問を持たれると、僕は心が痛みます。自分が去るか残るかに関係なく、僕のバルサへの愛情は決して変わらないでしょう」
「友人のこと、お金のこと、、言われて傷つくことはたくさんありました。僕はいつもクラブを優先させてきました。バルサを出ていく可能性は何度もありました。お金?バルセロナを去ってより多くのお金を得ることは毎年できたのです。僕はバルサが自分の家だといつも言ってきたし、今もそう感じています。ここより良い場所を見つけるのは難しい。僕は変化であり新たな目標が必要だと感じたんです」
バルセロナに移り住んで20年。そこを離れる決断が簡単ではないことは容易に想像が付きます。しかし生まれついての競争者であり勝者のメッシには、いまのクラブのあり方が我慢ならなかった。バルセロナを去りたいと家族に告げたとき、「妻も息子たちも泣いていた」と明かすレオは、それでも自分には挑戦が必要だと語っています。
「もちろん決断にはとても苦労しました。バイエルン戦の結果が理由ではなく、多くのことが理由にあります。僕はいつも、ここでキャリアを終えたい、ここに残りたいと言っていました。僕が欲しかったのは勝者のプロジェクトであり、バルセロナの伝説を拡張していくためのタイトル獲得でした。そして事実は、もう何年も前からプロジェクトも何もなかった。彼ら(理事会)は曲芸をしながら、物事が起こると穴をふさぎながら進んでいます。前に言ったように、僕はいつも家族やクラブの幸福(健康・福祉)を考えていました」
「僕は最大レベルで競い、タイトルを勝ち取りたいんです。勝負は難しいので、勝つこともあれば負けることもありますが、競わなければならない。少なくとも競い、ローマやリバポー、リスボンのようなことが起こってはいけない。そういったことの全てが、僕に退団を考えさせました。話は最初に戻ります」
メッシのインタビューが配信された直後には「バルトメウ理事会のマネージメントはひどい代物(大失敗)」とのフレーズが出回っていましたが、実際はそういう発言はなかったようです。
いずれにせよ、スポーツプロジェクトがもう数年前から存在していないことと、会長に裏切られたことが20年過ごしたクラブを去ると決めた主な理由でした。
残留へと方向転換した理由
ここからいよいよ、決意していた退団を翻し、残留を決めた理由へと入って行きます。移籍することによって愛するバルサと法廷で争うことが避けられないなら、自分は残るとカピタンは言います。
「会長はいつも、シーズンの最後には僕は残るか去るかを言えると言っていましたし、僕は自分が自由だと確信していました。けれども今彼らは、以前には言っていなかった6月10日にしがみついている。6月10日の僕らはコロナウイルスのただ中にあり、ラ・リーガを戦っていました。この病気は全てのカレンダーを変えましたが、それが今も僕がクラブに残り続けている理由になります」
「今も僕がクラブに残っているのは、会長が契約解除金の7億ユーロを支払うことが唯一の退団方法だと言い、それは不可能だからです。他にもう一つ、裁判所に行く方法もありましたが、僕はバルサ相手に裁判には決して行かないでしょう。バルサは僕が愛するクラブですし、入団以降すべてを与えてくれた人生のクラブなんです。僕の人生はここで作られた。バルサは僕に全てを与え、僕はバルサに全てを与えた。バルサ相手に裁判することはまったく考えませんでした」
「僕が出ていきたかったのは、自分がフットボールの最後の数年を幸せに過ごそうと考えたからです。この最後の年に、僕はクラブ内で幸せを見出しませんでした」
裁判になった場合にどうなるか、などでなく、バルサと裁判することそのものが考えられない。その彼の気持ちを分かっていなかった自分を恥じます。
残る以上は最大限を出していく
バルサで幸せを見出せなくなってしまったと断言するメッシが、強制的に残留させられたバルサで果たして全力を出していけるのか。その点は全力を出して乗りきっていくとカピタンは言います。
「僕はバルサで続けていきますし、退団を望んだからと言って僕の姿勢は変わらないでしょう。最善を尽くしていきます。僕はいつも勝ちたいですし、コンペティティブな人間ですから、負けるのは好きじゃないのです。僕は常にクラブやロッカールーム、それに自分にとっての最善を望んでいます。僕はそれを、チャンピオンズで優勝するためのものが与えられていない時に言いました。これから何が起こるのか、分からないのは事実です。新しいアイディアを持った新監督がいる。それは良いことですが、そこからチームがどのように反応するか、それが僕らに競うためのものをもたらすかを見る必要があります。僕に言えるのは、自分が残り、そして最大限を出していくことです」
ここからしばらくは家族に関するセンチメンタルな質問と答えが続き(苦手なので省略)、インタビューはいよいよ最後に入って行きます。バルサ残留を決めたメッシが、リーダーとなってチームを引っ張っていくのか。2020/21シーズンに不安を抱えるバルセロニスタへのメッセージです。
「いつものように、最大限を出していきます。全ての目標に向かって戦うために、僕らは最大限を出していきますし、残念な時を過ごしたファンに捧げられればと願います。僕は今年イヤな目に遭いましたが、もしそれをコロナウイルスによって本当に苦しんだ人や、家族を失った人たちと比べて言うのは偽善者です。僕らに付き添ってくれる全ての人たちや彼らの家族に勝利を捧げられればと。辛い目に遭っている人たちにベストを捧げられること、そして僕らがこのウイルスを乗り越えて日常が戻ることを願っています」
冷たいburofaxを用いた理由
そしてインタビューの最終局面・・・ バルトメウ理事会に退団希望を示した burofax(内容証明郵便的なもの)についてです。あれは勇み足だったとか、間違いだったとの意見が多いのですが、何故彼は burofax を用いたのか、その説明をメッシはしています。
「burofax を使ったのは、なんらかの方法で公式に(通達)するためでした。僕はこの一年を通して会長にクラブを出たいこと、自分のキャリアのなかで新しい希望や新しい進路を探すときが訪れたことを言ってきました。彼は僕にいつも、“話をしていく、あれやこれやね”と言っていた。でも一切なかったのです。言うなれば、会長は自分が言っていたことに“ボール”を与えなかった。burofax を送ったのは僕が出て行きたいことや自由であること、オプションの1年は行使しないことを公式にするためでした。混乱させるためでもクラブに反抗するためでもなかった。結論は下していましたから・・・」
イバン・ラキティッチの契約更新も口約束だけで実行しようとしなかったウソつき会長・・・ メッシが言うとおり、公式書類を送りつけなければ、何もなかったことにしてスルーしていたでしょう。
「もし僕が burofax を送らないなら、それはなにも起こっていないようなもので、僕がオプションの1年間を使って残るということです。6月10日までに僕が言わなかったとクラブは言いますが、繰り返しますけれど、僕らはその時コンペティションの真っただ中にあり、言うべき時ではなかった。しかしそれを別にしても、会長はいつも僕に、シーズンが終わった時に残るか去るか伝えるよう言っていたのです。期日は一切設けずにです。あれは単にクラブに対して残留しないことを公式にするためでしたが、争いに入らないためでもあります。僕はこのクラブと争いたくなかったので」
それだけメッシが思い悩み、一年を通して退団希望を伝えていたのに、何もなかったことにして振る舞っているのはどんな性質かと。ルイス・スアレスへの戦力外通知の仕方がひどかったのも、バルトメウの人間性が表れているわけです。
そのバルトメウといえば、「もしメッシが残留をして、自分が問題だったと公言するのであれば会長を辞任する」(8月27日)と言ったと各メディアで報じられました。が、これは取り巻きにリークさせた発言であって、公式ではない。そんな報道もあったけれども事実ではない、とか言って逃げそうに思います。逃げたところで死に体でしょうが・・・
そしてバルトの誘いにすぐには乗らず、数日寝かせてから予想以上のパンチ力で相手を葬ったメッシ。なかなかのカウンターでした・・・ クラブに変わってほしい想いも伝わってきます。
あとはこのメッシ退団騒動で荒れたクラブ周辺を、クーマンチームがどのように立て直していくかです。ひょっとすると今回の件が一致団結を生む要素になるかもしれない。そこにわずかな希望を託します。そして新たに訪れる会長には、メッシが心変わりするくらいの魅力的なプロジェクトを提示してほしい。不安しかないですが、気持ちを新たに。いざ。
これだけ世界中で取り上げられたレオ・メッシの言葉を完全スルーすることは出来ないようで、クラブの公式ツイッター/インスタグラムでは「最大限を出していくよ。僕のバルサへの愛情は決して変わらない」の部分だけを切り取って投稿。バルトメウやその他理事たちは沈黙。
コメント
お疲れ様です。
予想通り、退団しませんでしたが、ユウさんの怒りと、メッシの怒りがシンクロしたのだと、思います。メッシのバルサ愛は、行きすぎて憎しみになっちゃてるのが、辛い。
MSNをカウンターで成立させたLエンリケ後、ネイマールが抜けたのを機にペップ時代のプレスとポゼッションを復活させるべき時に、バルベルデがリトリート守備を導入してしまった。
この辺りからもう、メッシは違和感を感じていたのでしょう。
その後CLの悪夢が連発しても、クラブに反発しない都合の良いバルベルデを代えようとしなかったバルトメウは、ずっとメッシに絶望を与え続けていたのですね。
メッシは残るが、バルトメウのナイトメアは続く…
中盤の創造性と、スアレスの抜ける前線の攻撃力を、メッシ一人でどこまで支えられるか。
クーマンが呼びたがる、金をかけられないオランダ人が、どれだけ力になれるか。
来季のカギは本当に、デンベレが握ってると思います。
本当にバルトメウの人間性を疑う。
このインタビューが公になっても会長もを続けられるメンタルが信じられない・・・
「メッシが自分が原因だと言っていない」とか思っているんですかね?
メッシは終始バルベルデを支持してたんですがね…
バルトメウ一派が消えない限りチームとしては泥沼一直線ですが
とりあえずメッシの裏口退団が回避されたことにほっとしています。
>メッシのバルサ愛は、行きすぎて憎しみになっちゃてるのが、辛い。
勘違いされてますがメッシが憎んでるのはバルサじゃなくて会長です。
上に書いてあるようにバルサを憎んでいないから裁判を回避したんですよ。