選手たちとの対話やトレーニング方法などが受け入れられているオランダ人監督
ロナルド・クーマンのチーム運用、予想外に良いんじゃない?そんな声がバルセロニスタ界隈で聞こえています。8月後半、荒波の中で新たなプロジェクトを出航させたオランダ人監督でしたが、ここまでは結果・内容共に心配していたほどではない。ロッカールーム内での評判も良いようで、心配された“破壊者”の様子は今のところありません。
クーマン・メソッドの10ポイント
10月15日(木)のバルセロナスポーツ紙は、MDとSPORTが揃ってロナルド・クーマンのチーム運営を特集しました。どちらもクーマンのメソッドが上手くいっていると伝えるもので、つまりは新監督がバルセロニズモに受け入れられていることを表している。
リスボンでの2-8により傷ついていたバルセロニズモを、そしてなによりもロッカールームを前向きな方向で刺激するという最初の関門を突破できたことを、まずは喜んでおきます(あまり期待していなかっただけに)。
MD紙が挙げる、クーマンがチームにもたらした変革の10のポイントは次のようになります。
記者さんの妄想ではなく、過去のコメントや事実を元に挙げている10項目です。
- 1.トレーニングするようにプレーすることと、インテンシティ(練習の時間と強度を上げ、選手たちもそれを快く受け入れている)
- 2.4-2-3-1に賭けると決めた
- 3.固定されたブロックへの信頼(最初の1ヶ月はメンバーを変更せず)
- 4.試合当日のセットプレー練習とダブルセッション(ルーチョ時代以来)
- 5.トレーニング開始1時間前にロッカールームへ(監督と個人的あるいはグループでの話し合いが可能に。規律強化)
- 6.試合前のウォームアップ強度増(以前は緩く、時間も短かった)
- 7.自分のポジションでプレーする(妙な起用法はせず、適材適所を試みている)
- 8.対話を重視するモチベーター(改善点を直接指摘し、選手たちと良好な関係)
- 9.若者たちに賭ける(やるやる詐欺ではなさそう)
- 10.記者会見でのハッキリとして誠実な話し方(厄介な質問から逃げない)
最初は上手くいっても、ずっと続かないことだってあるでしょう。スポーツ面では次々に現れる事象に対し適切な対処を施していかねばなりません。10月のパロン後には、ヘタフェ戦で初黒星。さっそく修正力が試されるクーマンと彼のスタッフたちです。
メッシとの個人面談
チーム運営に関して特徴的なのは、選手たちが気持ち良く試合をプレーする環境を整えようとしていることと、規律やインテンシティを求めていることです。それを選手たちが納得のうえでやっているので、良い結果へとつながっています。
そのロナルド・クーマンがどのようにしてクラックたちの信頼を勝ち取ったか、15日のSPORTによると、8月に行われたレオ・メッシとの個人面談がカギとなったそうです。
バルサ監督としての就任会見が行われた翌日の8月20日、クーマンはメッシと会い、自らのプロジェクトについてをカピタンへと伝えています。
メッシはこの時、バルトメウ理事会への不信感によって退団の決意を固めていたわけですが(25日にクラブへとBurofaxを送付)、インテンシティの強化やフィジカル向上を土台とした新監督のプランには好印象を抱いていたらしく、面談後、何人かのチームメイトたちにそれを伝えた模様です。自分はいなくなるけど、クーマンはチームにとって良い指揮官になるよ、みたいな感じでしょうか。
選手たちとの対話を欠かさない
その後、レオ・メッシが残留を決断するまでにはクラブとの悶着があるわけですが、クーマンはプレシーズン開始に先駆けてチームの中心選手たちと面談をしていきます。ここでも伝えられたのが、規律の強化やトレーニング量の増加。今までよりも厳しい要求をするぞとの予告です。
しかしリスボンでの大敗により、勝利のためには意識改革が不可欠だと理解していた選手たちはこれを快く受け入れ、上記10ポイントでの●トレーニング強度アップ ●試合当日のセッション ●出勤時間を早める などに取り組んでいると。実際に身体がよく動く手応えもあるんでしょう。
選手たちに直接、率直に話すクーマンの性質も、これまでのところ上手くいっています。
メディアを使ったり、アシスタントに伝言するのではなく、必要と感じれば選手と面と向かって話をする。試合前後の記者会見で語るようなことは、それ以前に選手本人に向けて語っているのが窺えます。
「アントワン(グリーズマン)とは昨日の午後話をしたよ。ポジションやパフォーマンスについて話をして、チームのために彼のベストを求めていると言ったんだ」
「チームの利益のために最終決断をするのは私であり、その後に各選手が最大のパフォーマンスを出さねばならない」「そういったプレーが4つ5つあった」
先日リキ・プッチもクーマンとの対話を好意的に説明していましたし、起用されない理由や改善すべきポイントを率直に言ってもらえるのならば、懐疑心を持たずに前向きに励んでいける。実際チームのモチベーションは高いようなので、これから訪れるであろういくつかの難局も一体感をもって乗り切っていけると期待しましょう。
良い仕事をすれば
母国オランダ AD紙のインタビューで、クーマンはこう述べています。
「(会長選挙立候補者と話をするか)ノー。それはしないよ。私は選挙とは距離を置いているんでね。ある候補者はチャビ・エルナンデスを監督に望んでいるし、他の候補はまた別の、だと思う。バルセロナで私に出来ることと言えば、良いプレーをすることだけだからね。もし私が良い仕事をすれば、私を拒否する会長候補は多くないだろうと思っているよ」
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