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会計調査完了:バルトメウ理事会の無計画なクラブ運営が明らかに

ついに表舞台に姿を見せたCEOが財務調査の結果を報道陣を前に発表
状況は相当に厳しいが、再建のためのプランはあると希望を示す

FCバルセロナが会計事務所デロイトに委ねていた調査活動、ファイナンシャル・デューデリジェンスの結果報告を行いました。前バルトメウ理事会時代から2020/21シーズン途中のラポルタ理事会発足時までの財務状況を徹底的に調べることが目的で、クラブCEOのフェラン・レベルテルが報道陣に向けてその結果を発表。バルト理事会の悲惨な運営を批判しています。

莫大な負債

ラポルタ理事会が世界有数の会計事務所デロイトに依頼し行ってきたデューデリジェンスが完了し、バルトメウ理事会によって作り上げられたクラブの悲惨な財務状況が明らかになりました。

2021年10月6日(水)、カンプノウに隣接するAuditori 1899にて報道陣に向けてその説明を担当したのはクラブCEOのフェラン・レベルテル。あのフロレンティノ・ペレスとの関係を疑われる人物ですが、今回はその件は横へ置きまして、CEOさんによって明かされたのは13億5,000万ユーロの負債・支払い義務をはじめとする数々の厳しい現実でした。

2021年3月に会長選挙に勝利したラポルタたちがバルサ運営を担当し始めた時、彼らはクラブの金庫が空っぽであることを知ります。それは職員たちの給与すらも満足に支払えない壊滅的状況・・・
レベルテルCEOによると3月時点のバルサは銀行への支払い義務もラ・リーガやUEFAの定める給与比率も何も果たせない状況だったとか(新加入選手の登録ももちろん出来ない)。酷い負の遺産が待っているとは覚悟していたでしょうが、ここまでとは、、と唖然としたことでしょう。

  • ❌ 財務は破産状態
  • ❌ 負債・支払い義務は総額13億5,000万ユーロ(うち1/3が短期負債)
  • ❌ 金庫にキャッシュがなく、職員への給与も支払えない。取れる行動は限定的
  • ❌ カンプノウを始めとするクラブ施設の損傷
  • ❌ 統治と内部コントロールの欠如

驚いたのは昨季のカンプノウには900ヶ所もの損傷(多くはコンクリート部分)があり、崩落の危険もあるのでそのままでは試合開催を出来ない状態だった、、という事実。いくら無観客試合だったとはいえ、スタジアムの保全を疎かにするとは何事か。無駄金はいっぱい使ってるくせにね・・・
クラブは8月に180万ユーロ(約2億3,000万円)をかけて重大な119ヶ所の補修を行っています。

61%も上昇した選手給与

デューデリジェンスはバルサの財政がこの5シーズン(2016/17〜2020/21の3月17日)でいかに悪化し、キャッシュを失っていったのかを明らかにしています。COVID-19禍があろうとなかろうと、クラブの金庫はなるべくして空っぽになったのです。
(※パンデミックによる損失は4,300万〜6,500万ユーロと説明)

選手の新規獲得と契約更新により、61%増加した選手経費。

5年間で56%も増加した経営支出

2018年6月から2021年3月までで、クラブの金融負債は5億1,400万ユーロ増加(1億5,900万ユーロが6億7,300万ユーロに)。大半は選手売買による3億600万ユーロ。

過去2年半の間に、合計4,800万ユーロの手数料が仲介人に支払われている。手数料は通常5〜10%となるが、バルトメウたちは20〜30%を払っていた計算。

レベルテルが公表した資料によれば、バルサの選手維持経費(給与+減価償却費)が急上昇するのは2017年夏からで、2016/17シーズンの4億7,100万ユーロが2020/21シーズンには7億9,300万ユーロへと61%も増加しています。

2017年夏といえば、ネイマールがPSGに去った時。ここからの金遣いは荒かったですからね、、「問題は全てにおいて無計画だったことで、支払えるかどうかを知らぬまま(融資を受け)補強をしてきた。コウチーニョの移籍金は金融コストによって1,600万ユーロ増加している」とCEOは指摘します。

ロイヤリティボーナスや契約満了ボーナスなどが契約に含まれているのも特徴といい、もし同じスカッドを2021/22シーズンも続けていれば、この額は8億3,500万ユーロまで(108%)増えていたそうです。

メッシグリーズマンデンベレコウチーニョを維持するために4年間で14億ユーロを使っていたということで、持続不可能なスカッドから放出可能な高給選手を2人出したわけです。

レベルテルによるとバルサと同規模のクラブでは、この費用はバルサよりも30〜50%低いとのこと。そりゃあ構想外となった選手を放出しようとしても移籍先は見つかりません。
そしてベテラン選手ほど長期の契約を有していて、給与も年々増えていく仕組み。この状況は逆にするべきだとCEOは指摘しています。

バルサ再建のための3つの柱

そんな悲劇的な財政状況のFCバルセロナですが、フェラン・レベルテルは自分たちにはクラブが欧州の頂点に返り咲くための戦略的プランがあるのだと説明しています。CEOが挙げたバルサ復活のためのプランは3つの柱で構成されています。

ラ・マシアこそバルサの生きる道(若い才能とプレースタイル)
状態の悪化した施設、特にグラウンドの改善。エスパイ・バルサ(新カンプノウ)
新しい収入源、マネタライズ手段(世界中のバルサファンから集金できる方法)

バルサがカンテラーノを中心に据えてアイデンティティを取り戻す。これは移籍金の節約を含めてクラブ再建には不可欠でしょうから、是非達成してほしいところです。フィジカルを強化するなど時代に適応させつつも、バルサらしくあることは出来るはず・・・出来てほしい。レベルテルは言います。

「バルサは再び世界最高の選手たちを擁するようになるでしょう。それも5年10年ではなく、もっと早くです。もし私たちがプランの全てを実行し、クラブの価値を適用していけば、バルサは相応しい場所へと戻ります」

言いましたね。
彼はこんなふうにも希望を示しています。
「バルサはまず最初に、宿題をしなければなりません。私たちは大きな仕事をし、給与総額を減らしてはきましたが、働き続けねばならないのです。そして宿題を果たせば、私たちはクラックを獲得できるでしょう。来年夏にも、私たちが望む選手たちがやって来ることは可能です」

フェラン・レベルテルCEO

まだ欧州スーペルリーガにこだわっているところはどうかと思いますが、優秀な人だとの評判なのでその手腕をいかんなく発揮してもらいたい。
今回の発表会見も壇上にひとりで立ち、用意した資料をただ読み上げるのではなく、理路整然とクラブの現状を説明しています。自分をより良く見せようとの考えもないようで、ジャケット&ジーンズスタイル。これがあたかも米国企業のできる経営者のプレゼンテーションのようだった、と評判は上々のようです。確かにこれは、バルサでは見なかった光景。

レベルテルはメッシ退団事件では陰でラポルタの糸を引いたのではないか、、などと憶測されていた人物なので、今回はついにそのCEOが表舞台に立つぞと注目もされていました。その最初の”試験”はクリアした様子。あとは結果です。

コメント

  1. silver より:

     おぉ…
    あまりの馴染みない額とその連続で吐きそうです。しかもそれが収益ではなく支出と思うと…

     しかし、スタジアム状態の保全管理を疎かにしていたのはクラブとしてあるまじきことですね。スタジアムの一部が崩落する等の事故は世界の様々なスタジアムで起こっています。その全てが損傷が原因というわけではないですし、損傷していなくても事故が起こることもあるかもしれません。それでもフットボールクラブとしてそのあたりの最低限の安全面は守れるように立て直して欲しいと思います。

  2. トム より:

    結局ビッグクラブをビッグクラブたらしめている物は、選手の競争力を維持できるお金があるからです。
    その基礎をボッコボコに壊してくれたのがバルトメウという事を、数字で出した訳ですね。しかし時間がかかったな…。
    必要ない選手にお金を費やし、ほぼ素人アビダルをSDに据え、節約など一切しなかったという事が、丸裸にされていっている訳ですね…。

    バルトメウでなければ、久保もバルサでやれていて、右サイドでそこそこ出番があったのではないでしょうか。
    そうなれば、今は完全にマドリッドに向いている日本の注目も、バルサに留める事ができていたでしょう。
    カンテラ出身の日本人選手、というパワーワードと共に。
    この事がどれだけバルサに円収入を齎したかを考えると、本当に怒りしか湧いてきません。

    とにかくまずは、必要ない選手に払うお金を、必要な選手にのみ向ける事です。
    まずはウムティティとコウチーニョ、そしてレンタルであるグリーズマンとピアニッチを何とか放出しましょう。
    ケガの多いデンベレは、今の仕掛けがデパイしかいないバルサの前線事情からすれば必須ですが、契約更新問題が解決しないならもうバッサリ切るしかないです。
    コロナ禍が終われば収入も安定し、ゴールドマンサックスの融資も効いてくるので、競争力は戻ってくるはず。
    そこでまともな監督を得て、確実な戦力補強でカンテラ中心のスカッドを補強できて、そこからようやくCL制覇への道が始まります。

    前線は、左デパイ、右デンベレが残ると仮定しても、両側できて競争力を保てる崩しの選手がもう一人か二人必要になりそうです。
    9番は、点を取れるストライカーとファティで。今はクンがどうかお試しですね。
    それを支えるカンテラという形で、前線は完成します。

    中盤は、ペドリガビに、ボックストゥボックスでどこにでも顔を出して精度の高いプレーができるフレンキーですが、ピッチを支配できるゲームメーカーがいません。
    後ろから支配できるブスケも、今ではフル稼働は難しいので、もう一人デコのようなゲームメーカーが欲しい所です。ペドリガビはまだそこまでの領域には至ってません。

    CBは、エリックの成長を待ちつつ、ピケ、アラウホ、ミンゲサですが、ピケの年齢的にやはりもう一人必要です。
    今はラングレですが、今後は世界的な名手を柱にしたい所です。
    でもアラウホがその領域行きそうな気配もあるので、ラングレくらいで良いのかも。
    SBは、右はデストが直線的な仕掛けをし始めてますが、やはりバルサのSBとしては微妙な所ではあります。またこのタイプならセメドで良かった気も。
    ただデストは若いので、監督次第で変わる可能性もあり、見切りを付けるまではもう少し試したい所です。しばらくはこのままで。
    控えのセルジは守備に不安がありますがバルサらしいSBという事で、今はこのデストセルジ体制で良いと思います。
    左アルバも年齢が見え始めましたが、しばらくはバルデ控えでやっていき、アルバの限界と共に一線級の選手を取って来るしかないでしょう。

    GKは、今のテアネト体制が、テアカンテラ体制に変わるみたいですが、まあ一人柱がいれば優秀なカンテラGKで何とかなりそうです。

    とにかく監督を変えて、これくらいの陣容を揃えるのは、2,3年でできるのではないでしょうか。
    バルサを苦しめるFFPが、収入から給与限度を決めるシステムである以上、経済がどの程度回復するかです。
    レベルテルCEO、頑張ってほしいです。

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