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ピケとクーマンは「これが現実」と言うけれど:バイエルン戦に敗れて

カンプノウでのバイエルン戦はバルセロナにとって、チームやクラブの現状を再確認した試合となりました。30代のベテランか10代の若手かという不均衡なスカッド編成。戦術的修正の利かない監督。クライフイズモへの回帰を掲げながらも、実現には程遠いという現実。戦力が揃えば戦えるようになる、と信じたいですが、若い子たちのエネルギーくらいしか期待できずに辛いです。

バイエルン

それにしてもバイエルン・ミュンヘンというクラブ。時折バルサの前に現れては、その時点でのバルサの現状を知らせてくれます。彼らは安定して強いので、こちらの力量を測る良い物差しとなる。もし勝てれば欧州タイトルを夢見られる水準にある、みたいな相手です。ほぼ負けてますけれど。

今回のバイエルン戦も完敗と言える内容でした。予想はしていたので驚きませんでしたが、今のバルサが欧州のトップレベルには程遠いという現実を明快に示されると、少々落ち込む。
チャンピオンズがチャンピオンズリーグになって以降(1991/92)、バルサがホーム開幕戦に負けたのは初めて(24勝2分1敗)だとか、チャンピオンズで枠内シュートがゼロだったのはクラブ史上初だとか、(またしても)歓迎されざる歴史を作ってしまったクーマンチームです。

9月のまだ4試合消化の段階で風当たりの強まる監督。

ピケ「Es lo que hay」これが現実だ

試合後、バルセロニズモのホットワードになっているのが「Es lo que hay.」です。
直訳すると「それが今あるもの」となり、現実だよ、とか、仕方ない、とかいう意味でよく用いられるフレーズですが、試合終了後のインタビューにてロナルド・クーマンジェラール・ピケの2人が揃ってそう語った。
これがバルセロニスタの心に刺さり、翌日(9/15)のスポーツ新聞ではMDが大きく表紙で使ったり、いくつもの記事でテーマになったりしています。今のバルサにあるのはこのチームであり、この現実ですからね。。しっくりくる言葉ではあります。

ピケはこんなふうに言っています。
「カサでの試合だから悪い結果だ。でも試合を見れば、前半は競えていたと思うし、相手の先制点はバウンドによるものだった。後半は0-2でダメージを受けたよ。でも若い選手が入ってチームは競い、立ち向かった。現時点では、これが僕らだし、これが現実さ。でも選手が戻ってくるにつれて、競えるようになると僕は確信している」

ピケリスボンでの悪夢の2-8後もインタビューに応じていて、さっさとロッカールームに引き上げたいであろう時にチーム代表として顔を出すあたりは流石のWAKA旦那です。彼はこういう時に立ち向かってくれる。
ただ賛同できるかと言えばまた別で、欠場者が戻ってくればバルサの競争力が上がるかというと、国内限定になるでしょう。彼らが苦戦の要因に挙げる前線の駒不足。デランテロがいなくてもネイマールのサントスに圧勝したクラブワールドカップ決勝が懐かしい。

では、チームに今「あるもの」(lo que hay)とはなんでしょう。
ベテランと若手ばかりという不均衡なスカッド。全てを勝ち取った三十代と、これから勝ち取っていく十代ばかりで、盛りを迎える二十代半ばがいない。唯一フレンキーくらいでしょうか。負傷離脱中の選手たちもベテラン(アグエロ)か若手(アンス)ですから、構造に変化はないんですよね。
デンベレは年齢的には良い時期に入る頃ですが・・・。
そしてベテランか若手かの二択となり薄くなる選手層。戦術的に優れているとは言えない監督。バイエルン戦では弱気も加わってさっぱりでした。

9月16日のMDは「FUTURO es lo que hay」、「あるのは未来だ」と希望を売ります。未来はある。そこに異論はない。資質あるカンテラーノたちにとっては、過去数年で最も出場への柵が低くなっているプリメール・エキポ(一軍)です。
しかしスカッド構成としては両極端なのは間違いなく、未来が今となるまでは苦しい戦いが続くことでしょう。

まあ未来があるだけいいですかね・・・ 過去しかないのは辛いです。
それでも「今」をどう楽しむか、との問題にファンは直面します。カンテラーノが出番を得るには暗黒時代が必要なのだと割り切り、彼らが真の競争力を備える数年先を楽しみにしながらの忍耐の観戦生活となるのか。バイエルン戦でも若者たちの溌剌プレーは退屈を払拭してくれたけれど、いつまでその楽しみが持続するだろうか。忠誠心が試されますね(笑)
クーマンが突然アカシックレコードを見つけてくれないものか(現実逃避)。

2021年9月16日のMD

信頼関係にない会長と監督

バイエルンに完敗後、バルサのスポーツ部門を司どる幹部たちが夜更けまで2時間に及ぶ話し合いをしたとMDが伝えています。
議論を交わしたのはクラブ会長のジョアン・ラポルタ、スポーツ部門副会長のラファ・ユステ、そしてフットボールディレクターのマテウ・アレマニーの御三人。試合を分析した彼らはピケたちと同様にこれが「現実」だと認めつつ、開幕早々にクーマンをどうこうするのは急ぎすぎなので、怪我人が戻ってきて戦力が整ってから判断しようとの結論になったようです。

でもそれが“信頼”かというと微妙でしょう。
ラポルタは口ではクーマンへの信頼を強調しますが本心は別ですし、クーマンも「私たちはどちらもクラブの最良を求めている」と会長との冷めた関係には覆いをしようとしますが、夫婦関係に例えるならば仮面夫婦。いつその仮面が取れても不思議はありません。それもバルサにあるもの(lo que hay)ですよね。

この件についてはおそらくまた後日書くかと思いますが、去就を決めるまで2週間考えさせてくれと宙吊りにされたクーマンが何も思わないはずはないですし、でなければ母国オランダのメディアにてラポルタの情報漏洩を批判はしない。
選手たちも監督の力/信頼の欠如を感じますから、それがプレーに表れたりするんじゃないかと思います。ミステルがいつまでいるのか不透明では、ね、、

今季のバルセロナはレオ・メッシという大黒柱を欠き、そしてクライフイズモへの回帰を叫びながらも、実際の土台はグラグラと揺れています。クーマンが最適解を見つけられればいいけれど、いつ崩れてもおかしくはない。カンプノウからセルジ・ロベルトに指笛が鳴らされるような混乱ぶりですし、しんどいシーズンになりそうな気配は十分です。

コメント

  1. silver より:

     基礎がしっかりしていない建物はどれだけ立派に作っても、実際は脆く、地震が起きればすぐに崩れ去ってしまいます。
     Messiはバルサの大看板であり、クラブの基礎でもあったことを痛感するこの頃です…

     才能のある未来(若手)はいますが、先立つものと支える基礎が無ければ、バルサの行く末は明るくないでしょう。

     負傷者が戻ってきたところで、今すぐバイエルンに勝てるようになるはずはありませんし、クーマンに欧州トップに引き上げるだけの手腕があるとは思えませんが、どうかバルサが再び世界のトップに返り咲けるよう正しい道を進んで欲しいと願っています

  2. バルサ より:

    バイエルン相手の0-3で(おそらくよくやった方ですよね)この現地の反応ですと、今シーズンは強豪を相手にする度に物議を醸しそうですね…
    ここから次のメッシ、イニエスタ、チャビが出てくるのを信じて耐えていれば、数年後の黄金期の感動はひとしおだと思うので、スパイスだと思って応援していこうと思います。
    長い目で見ていま必要なのは戦術よりも、努力すればトップチームでプレーできるとカンテラに示す、いわば壊されてしまったバルサの精神の再生だと思いますので、クーマンにどっしりと構えてもらって、ベスト16までCLを楽しめたらなあと考えております。

  3. トム より:

    バイエルン戦で明らかになったのは、現実とか戦力不足とか言う以前に、クーマンはカンプノウで平然と自陣に引きこもるような、守備的な戦術を選ぶ監督だと言う事です。
    相手が強いのは分かってますが、それでもカンプノウでクレの声援を受けながら自陣に引きこもったのは最悪でした。
    前に出て勇敢に戦って散るなら、選手が揃ってないと言っても良いでしょう。
    しかしこの戦いっぷりを見せつけられて、クーマンがバルサに相応しい監督だと思えるクレはいるでしょうか?
    クーマンが何を目指しているのか、窮地に追い込まれてはっきりしたという事だと思います。
    クーマンは決して攻撃的なバルササッカーを作ろうとしている訳ではなく、相手が強かったら自陣に引きこもる監督である。
    これこそが、Es lo que hay、今ここにあるものなのでしょう。
    戦術上の問題以前の、戦う姿勢すらクーマンは持ち合わせていませんでした。

    クーマンの言うEs lo que hayと、ピケの言うEs lo que hayは、同じ意味なのでしょうか?
    私はそういうニュアンスの違いを感じました、というのは穿ち過ぎでしょうかね。

    グリーズマンもピアニッチも去って経済的にやや安定した今、クーマンは決して安泰な状態ではないです。
    攻撃的なフットボールを志向するという約束も、クーマンは早くも破ってしまいました。
    ただグリーズマンもアトレティコでブーイングを受けている状態で、無事買い取ってもらえるかも怪しくなってきています。
    今後の展開も全く読めません。どうなる事やら。

  4. よし より:

    トムさんとほぼ同意見かな・・・

    言いたい事はヤマのようにあるけど、書き出すと止まらないのでこれだけ。

  5. サイ より:

    30代のベテランと10代の新星しかいないクラブ。これはバルトメウ元会長が三十路フェチだったからですね。本当に酷かったあの時は(大爆笑)。未だにバルトメウの仕掛けたトラップから抜け出せないですね。次の会長になる人物が自分より優秀扱いされるのが嫌で劇的変化をさせないように1700億の借金を作り上げた頭脳明晰のベテラン好きの会長でした。楽天になってからCLがズタボロですが10月になるまでに新しい胸スポンサーを決めなきゃいけないのになんか行動が遅いですね。契約上発表できないのですかね。別記事でバルサぐらいのカリスマクラブなら世界中からオファーがあると見ましたが。そろそろですかね。

  6. しんのすけ より:

    お疲れ様です。
    え、えーとなんとなく、2000ー2001シーズン見てる感じに近い(セラフェレール?)んですが(笑)、暗黒時代は必ず来ると思ってたので、クレは試される時でしょう。
    楽天は、前会長が契約したので、ないかもですね。
    いずれにしても、弱くてもクレなので、こればかりは仕方ない。

  7. lamasia1979 より:

    無双バルサを経験してる我々としてはツラい現実ですよね。メッシの退団が予期されず起こった流れのままこれなのでクレは正直パニック状態です。

    でも、ここはひとつ落ち着きたいですね。
    こういう時も来るとは分かっていた事ですし、そこからどう上がっていくのかを楽しみに応援したいですね。
    90分観戦するのがツラくなるのは否定できませんが、応援する立場としてはある意味無敵の頃より、見がいがあります。
    未来に期待しながら観てると、ピッチに立っていた4人の10代はそれぞれに溌剌と輝いている瞬間があったので、それだけでも楽しみで仕方ないですね。
    チャビが来る日が待ち遠しいです。

    メッシの加わったPSGのCL初戦もまるでチームとしてさっぱりで個の固まりでしかなかったのをみて、改めてプレーモデルと戦術が重要だと再認識しました。
    いまの陣容でも、監督さえ優秀ならきっと別チームになると思います。

    個人的にはチャビの前にテンハーグにきてほしい。

  8. Gu より:

    クーマンは結果が出せない状況が続けば解任間違いなしでしょうね。会長と正反対の事を言ってますし。
    果たしてどこまでやれるのやら。

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