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気を緩めずに。

 

まだ事は成し遂げられてはいない、とペップ。

これで4ポイント差じゃ!次は1ポイント差じゃ!と浮かれるバルセロニスタを、我らのペップ・グアルディオラが優しくたしなめてくれています。ヘタフェ戦の前日会見にてミスターは、「逆転はほぼ不可能だとまだ思っている」とこれまでのコメントを踏襲し、そして「これまで以上の困難がチームを待っている」と、最終デッドヒートの厳しさを強調しました。単純なもので、ペップにそう諭されると、とても気分が引き締まります。

 

◇「逆転はほぼ不可能」

ヘタフェ戦の前日会見でペップ・グアルディオラはまず、リーガにおけるチーム状況についての自らの見解を示しています。「これまでのリーガの歴史のなかで、マドリーから10ポイントをひっくり返したチームはひとつも存在してないんや。今はまるで私たちがそれをやってのけたかのように見えるけど、キンタ・デル・ブイトレのゴール記録を超えようというマドリーに対して、4ポイント差はかなり大きい。私たちのやるべき仕事は山ほどあるんや。取り違えてはいけない。カンペオンになりたいのであれば、私たちは残り7試合に全勝する必要があるやろうし、それはとても難しいことなんや。私たちがすでにマドリーに勝ったように思われているけど、実際はそうやない。私たちにはレバンテやラージョとのフエラ戦や、カサでのエスパニョール戦があり、最終節はベティス戦が控えている。4日前には気の緩みがあったと言われていたのが、今は楽勝やと言われているんや。そしてマドリーは私たちに勝てばリーガ優勝ができることを知って、ここへ乗り込んでくるやろう。人々がスポーツをどう理解しているのかは私には分からない。私たちはポイント計算もするけれど、見なあかんのは自分たちのことなんや。今もマドリーが本命であるのには変わらへんよ。彼らにはまだ失敗が許されるけれど、私たちには許されない。これから訪れる困難は、10ポイント差のときよりも大きなものになるやろう」

ペップはさらに、マドリーのクオリティについてもこう念を押しています。「彼らが恐怖し、プレッシャーに耐えられへんと言われているけれど、そうやないよ。マドリーはハイレベルなチームで、彼らに勝利するためには、私たちはカサで最高の試合をする必要があるやろう。マドリーは毎試合ゴールチャンスを作り出しているし、彼らにチャンスのなかった試合を私は見たことがない」

そして。「リーガで優勝する可能性があるとするなら、それは失敗をせんことやし、残り試合に全勝するのはとても難しい。私たちがリーガで9連勝したからといって、これからまた7連勝できるということではないんや。16連勝できるよりは、できへん可能性の方が高い。私たちはヘタフェには毎回苦戦してきた。私は今も、この状況をひっくり返すのはほぼ不可能やと考えてるよ。希望をなくさせるようなことはせえへんけれどね」

 

◇選手たちへのメッセージ

浮かれるファンに対してだけでなく、グアルディオラは選手たちに対してもメッセージを送っています。こちらがむしろ、ペップの真骨頂といえるところです。「選手たちに対しては、シーズン終了までに必要となることをすでに告げてあるよ。それは笑いは少なく、走るのを多くということなんや。ここの選手たちが気を緩めたことは、これまでほとんどなかったけれどね」

「勝ちたいのであれば、私たちはより多く走らなければならない。そして良い瞬間が訪れれば、笑えばええんや。全てが順調にいっているときに私たちは笑うし、うな垂れている時には笑わない。私がいやなのは、必要のない場所を私たちが見始めることなんや。これまで以上のハードなものが、これからの私たちを待っている。私は選手たちに楽しくいてほしいし、笑ってもほしいよ。けれど勝つためには、より多く走る必要がある。今季は私たちはもう負けることがないと言ってる人たちがいるし、どんな啓発本にそうあるのかも私には分からない。何故なら、私たちがこれから向かう先には、多くの困難が待っているんやからね。3日おきの試合のために、私には3人のデフェンサしかおらへんのや。準備を整えておかなければ、激しい驚きに出くわすことやろう」

今シーズンのバルサは、怪我人によってパフォーマンスを限定されています。「今季の私たちは、全般的に好いレベルにあったと思う。おそらくはパンプローナでの前半を除いてはね。シーズンはとても長いし、最高の瞬間もあれば最悪の瞬間もある。そして相手チームにも懸かっているものがあり、私たちに引き分けたり勝ったりもできるんや。戦力がギリギリとなっている守備面で、私たちは好いプレーをしなければならない」

チャンピオンズに関しても、グアルディオラは同じように、幸福感を締め出すことを望んでいます。「私たちはリーガを逃し得るし、チェルシーにも敗れ得るんや。私たちがすでにチェルシーを破ったと言うのは良くないことで、私たちはそういった教育は受けていない。私たちが祝福するのは、それに相応しいときだけなんや。ただ働いていくのみやし、私たちはそうやって勝利を手にしてきた。チェルシーはものすごくタフなライバルになるやろう」

そしてミスターは、このように選手たちを称えてもいます。このあたりが実に絶妙です。「私が評価しているのは、サラゴサ戦のような難しい試合において、私たちが前進をしてきたことなんや。もしミュンヘンでのファイナルへと勝ち上がれば、それはここ4シーズンのうちの3つで、私たちが1シーズンに可能な全試合をプレーすることを意味する。もしそれを達成したなら、この選手たちはさらに評価されなければならない」

 

ちなみにこの記者会見においては、ペップ・グアルディオラは周囲の幸福感を抑制すべく、非常に真剣な表情を続けていたそうです。しかしそんなミスターがちょこっと頬を緩めたのが、バレンシア戦でぺぺがアルベロアを蹴った行為について質問を受けた瞬間でした。そして少しニヤッとしたペップはしばし考えた後、「ちょっと微笑んだ」とのみ答えています。まあ、フツウはニヤけちゃいますよね!

 

◇目指せ、暫定1ポイント差

さて、今夜のペップチームの目標は言うまでもなく、カンプノウでヘタフェにリーガ前半戦のお返しをすることです。すなわち勝利をもぎ取り、モウマドリーとの勝点差を1にして帰途につくこと。首位との差が10ポイントあった1ヶ月前とはまったく異なった状況を手にしたバルサですが、ペップが言うとおり、マドリー頼みという状態は依然として変わってはおらず、ここからの逆転が本当に大変になってくるのです。カーレースでも後ろに追いついてから抜き去るのが、より困難なミッションとなる。今こちらに出来ることは、とにかく勝ち続ける以外にはありません。

そしてバルサがこのヘタフェ戦にきっちりと勝利すれば、明日のビセンテ・カルデロンでのマドリーダービーが、シーズンを大きく左右する一大決戦となります。アトレチコがカサでマドリーに勝利したのはなんと1999年が最後という悲しさですが、今年のシメオネチームならば、やってくれるんじゃないかと思わせるものがあります。アトレチコを心より愛するチョロ・シメオネなら、チームに闘魂を注入してくれることでしょう。ジエゴはすでに「マドリー戦は決勝のつもりで戦う」と力強いメッセージを発しています。いずれにせよバルサはモウチームへと更なる圧力をかけるために、今夜の試合に勝つだけです。

しかしなんです、ペップの「優勝むりむり」発言はもう慣れたとはいえ、一見するとかなり悲観的な内容なのに、勇気の鈴がりんりんと鳴るのはすごいことです。試合に簡単に勝てるなどと思うなと周囲やチームを引き締め、かつマドリー相手に10ポイントをひっくり返せばリーガ史に燦然と輝く偉業になるぞと、それとなく言っている。カタルーニャの各紙がこぞって大きく取り上げている、「少し笑い、多く走れ」というフレーズは、ペップ語録における新たなる名文句となりました。どこぞの隠れては批判や皮肉を繰り返す監督とは異なり、我らのミスターは本当に進むべき道を示してくれる。すばらしい監督であります。

 

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