魅力的で効果的なチームにする、と新監督。
2014年5月21日(水)、カンプノウにてルイス・エンリケのバルサ監督就任関連行事が行われました。入団時の恒例イベントには今回幾つか変更があったようで、まずサインの儀の場所が会長室ではなく、スタジアム内のパルコだったこと。オフィス玄関前にある巨大エスクード前での記念撮影もなく、パルコやグラウンド、ベンチでの撮影だったのも新しいポイントです。そして13時からはスタジアムに隣接するAuditori 1899での入団プレゼンテーション。新たな挑戦に目を輝かせたルーチョは時にユーモアを交えながら、「新たなバルサを作っていく」ことへの強い意欲を熱く語りました。
クレが希望を抱く、新しいバルサを作っていく
先日カルラス・プジョルの退団セレモニーが行われたAuditori 1899はこの日も満員となりました。ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長、アンドニ・スビサレッタ・スポーツディレクターと共に壇上に現れたルイス・エンリケは、会長たちの歓迎の挨拶とウェルカムビデオの上映後、バルサ監督を引き受けるにあたっての気持ちをこうスピーチしています。
「好いビデオだったよ。これを作った人たちを称えたいと思う。いつも私に何故ゴールをしないのと言う4歳の娘も、昔はゴールをしていたのが分かるだろう。それはともかく、、私を信頼し、この決断を下したバルトメウ会長や理事会、スビサレッタに感謝したい。今日は希望に胸弾む特別な日だよ。私たちはこれから、希望を与え、誰もが求める利益を収められる、そんな新しいバルサを作っていく」
「私はかつて(退団の際)、これは“またね”だと言われたけれど、実現の難しいその言葉がこうして果たされたんだ。今日でバルサ監督となるための手続きは全て完了する。監督としての経験がなかった私を、最初に信頼してくれたのがこのクラブだった。バルサBでの3年間で、私はとても多くのことを学んだよ。自分がここを去ったのは、トップチームを率いることを目標としていなかったからなんだ。それはこの世界にある最も素敵なことの1つで、狙おうとすると叶わない。ここで私に出来るのは、微笑むことだけだよ。恐れは感じていない。この午後から私たちは様々なことを決断していくことになる。すばらしいシーズンになることを期待しているよ。その難しさは十分承知しているけれど、カンプノウで再びイムノを聞くのが待ち遠しく思っている。そして大いに楽しみたいんだ」
監督はリーダー
新監督はスピーチ終了後、報道陣からの質問に次々に答えていきました。記念すべき最初の質問は、今日これからまず何をしたいか?というものでした。「この午後に一番最初にするのは、自分が働く場所を知ることになるだろう。私は新しいラ・マシアを知らないし、仕事場となるオフィスを訪れることをとても楽しみにしている。私はこれからスビやナルシス(ジュリア)、アルベール(バレンティン)たちと仕事をしていく。決断を下し始めていくよ」
続いて、監督というものが如何にあるべきか、についてはルーチョ曰く、「自分をどんな監督だと思うか?男前で、背が高く、好感度があってアストゥリアス人で、、、(会場笑)。フットボルの監督は、監督である以上にリーダーでなければならない。リーダーの能力には幾つかの要素がある。技術や戦術を知っているだけではなく、グループやエゴを管理する、個人やモチベーションの扱いも知っていなければならない。自分の信条に忠実でありつつも、それらの全てをこなせるよう試みていくよ。私は自分の3人の子供たちを、同じようには扱わないんだ。彼らは同じではないからね。重要な事柄は全員で話し合って決めていくだろう。監督としてこれまでに大きな問題を抱えたことはなかったよ」
ルーチョといえば、イメージは強面監督。記者さんからは“mano dura(直訳すると鉄拳?)”についての質問が飛びます。「みなさんがmano duraをどう理解しているのか私には分からないけど、私はいつもポジティブなんだ(笑)、心配は要らないよ。選手たちはバルサBやローマ、セルタの時と同じように扱っていくだろう。選手たちは人間だ。私はソシオとして選手たちに敬意を払っているけれど、監督としては彼らを助けたいんだ。選手には個人的な物の見方があるもので、私は彼らを全体的な視点から助けていきたい。彼らにはmano duraは必要ないよ。求められるのはコミュニケーションと、仕事で要求をしていくことだ。私はクレイジーなことはしないし、自転車にも乗らないだろう(笑)(注:ルーチョは自転車大好き)。選手たちにはトレーニングや非常に要求度の高い仕事を楽しんでもらいたい。日々の練習は最大限に活かさなければならない。どのようなグループでも同じだけれど、これからコミュニケーションや共同生活における問題が生じてくるだろう。けれども私たちは話し合い、前進していくよ。全員が一つになることで、私たちはより強くなるからね」
選手たちに求めるもの
■トレーニングについて
「バルサの選手になるためには、彼らは良いトレーニングをしてこなければならなかったわけで、バルサは良いトレーニングをしていることと思う。3日おきに試合があるにせよ、トレーニングは激しくなければならない。今年のトレーニングが激しくなることに私は疑問を抱いてはいないよ。それはトレーニングしたようにプレーが為されるからだ。選手はエゴイストであり、同時にインテリジェントで利口でもある。最高のフォームでありたいという彼らの個人的な利益を、私は当てにしているんだ。チーム内競争は良いことであるし、彼らが出番のないことに腹を立ててくれれば嬉しい。私はいつも彼らに意見を言い、彼らの言い分も聞いてきたよ」
■バルサBの若者たち
「フィリアルの若者たちを起用していきたいけれど、彼らには途方もない野心を求めるよ。Bチームやフベニールの選手たちへの扉は開いている。将来は彼らの手の内にあるんだ。けれども彼らは、それを勝ち取らなければならない。自分たちの準備が整っていて、バルサのトップチームに相応しいプロフェッショナルであることを示さなければならないんだ」
攻撃的にプレーする
■プレースタイル
「攻撃的なプレーを行っていく。世界の人たちを引きつけた魅力的なプレーをしていきたい。それは同時に、私たちが守備も行っていくということだよ。私が必要だと思うニュアンスを、選手たちに伝えていきたい。バルサのプレーは魅力的かつ効果的でなければならないんだ。私は自分が多くのことで貢献できると思っているし、それが私の挑戦でもある」
「守るための最良の手段はボールを保持することで、それがもし相手陣内であれば申し分ない。バルサがどのようにプレーをするかは誰もが知っているし、私たちはそれを維持していくだろう。けれどもライバルたちを驚かせるためには、発展改良を欠かすわけにはいかないんだ。相手陣内でのプレッシャーなど、相手を驚かせられるニュアンスは幾つもある。先を読まれないよう、策を出していくよ」
■タイトルへの要求
「バルサはこれまでに多くのタイトルを勝ちとり、ほとんど別の銀河のフットボルを展開してきた。それを見てきたソシオが別のことに慣れるのは難しく、要求度は極めて高い。タイトルがモノをいうのは知っているけれど、それが蹴り込みによるタイトルであっては意味を成さない。私はここに1996年に来て、それをよく知っている。監督となったからには、それを喜んで受け入れるよ。力尽きるまで続けていけることを期待してる」
■システム
「4-3-3やら、3-4-3、3-5-2やら。選手たちと共に取り組んでいくけれど、必要なのはここの選手たちに適応した戦術デザインだ」
あらゆるポジションを強化していく
■補強について
「みなさんが補強や放出について知りたがるのは理解しているけれど、私たちのリズムは少し緩めなんだ。バルサのようなビッグクラブは、毎年選手が変わっていく。今年も変化はあるだろうし、可能なかぎり競争力あるチームとするために補強も行っていくだろう。自分たちに何が出来るか、これから見ていくよ。言えるのは、誰もが希望を抱けるチームとするために、すべてのラインを強化していく予定であることだね。9番?これから評価し、最良となるよう補強していくよ」
■チームルーチョ
「ファン・カルロス・ウンスエとロベルト・モレーノがアシスタントになるだろう。フィジカルトレーナーのラフェル・ポル、心理学者のホアキン・バルデスもチームに入り、バルサB時代のようにジョアン・バルバラも加わると思う。残りはこのクラブにいたスタッフたちが継続していく。心理学者については、私個人のためだよ。もし記者さんの中で必要とあれば、彼の名刺をお渡ししよう」
■トッティとの不仲説
「それはタソッティ(のヒジ打ち)の件のように、私に付きまとっている伝説だよ。彼とは良い関係にあるし、私がローマ退団を発表した日、別れを言いに来てくれた数少ない一人がトッティだったんだ。母親にまでトッティと何があった?と訊ねられたよ。以前も今も“イル・カピターノ”とはすばらしい関係にあるし、ローマの監督だったことを私はとても誇りに思っている」
■ペップとの比較
「今はまだ比べるのは止めてほしい。私がタイトルを勝ちとって、ということであれば好いけれど、今はまだそうじゃないからね。ペップとは話をしたよ。彼は私の友人であり、妻同士も仲が良いんだ。新しいリーグへと行った初年度に、幾つものタイトルを手にした彼を祝福するよ。プロとしての彼に脱帽するし、彼には感服してる」
「ペップとシメオネのどちらに近いか?両方に似ていたら嬉しいけれど、私は私だからね。実績を残している彼らに比べ、私はビッグクラブでの監督をはじめたところ。私がタイトルを勝ち取れるレベルにあるか、これから見ていこう」
■トレーニング時の矢倉(通称エンリケタワー)
「(セルタと同じように)ローマでも足場を組んでいたけど、ここでは観覧席があるから必要ないだろう。私は高いところからセッションを見るのが好きなんだ。全体的に見渡したければ、スタンドから見るよ」
■選手たちのSNS使用
「分別をもって上手に使ってほしい。そこからは個人の責任だ。どのようにいつ使うのか、他の物事と同じように選手たちと話し合っていくさ」
メッシの存在はモチベーション
■レオ・メッシ
「チームに世界最高の選手がいることを嬉しく思う。これは無視することの出来ない現実であって、私を非常にやる気にさせる事実だ。契約更新を終えたばかりのレオもここでプレーを続けることを喜んでいるし、クラブも私と同じ考えだと思っている。彼がバルサで引退したいと言ってる記事を読んだ。そうあれば素晴らしいね。この三者以上に強い結びつきはない」
「今季のメッシの活躍は以前ほどにはアンビリーバブルではなかったけれど、彼が今もナンバーワンなのには変わりはないんだ。けれども70万ゴールを決めることに慣れてしまえば、10万ゴールでもパッとしないものだからね。メッシはゴール以上に多くのことで貢献をしている。レオはグループ全体にとって欠かせない存在。私は彼が最高の状態となることを期待しているけれど、それはメッシだけでなく、イニエスタやネイマールやカンテラの若者たちや、チームの全員にも言えることだ。そのためには彼らがよりハングリーであることを要求していく」
■チャビの今後
「彼は私の友人であり、元チームメイトだ。ムンディアルが終われば、彼と話し合い、チャビが望んでいることや私たちの希望を評価する時が来るだろう。それまでは待つことだよ」
■マスチェラーノ
「彼の件もチャビのようなものだよ。私は(ここで)個別に話すことは望まないけれど、彼らは非常に重要な選手たちであり、ピッチ内外での強いパーソナリティを持っている。マスチェラーノはカピタンのようなものだよ。決断を下すための時間は、いずれ訪れるさ」
コメント
なんかこう、グッと来ますね!
何かが始まるワクワク感が半端ない。
ルーチョバルサ楽しみですね!