バルサでは全ての点で改善が必要だとデランテロ。
シーズンが始まって1ヶ月と少し。ルーチョチームの一員として迎えられた新加入選手たちはそれぞれに、バルサでやっていけるという手応えや、世界最高レベルのチームに要求されるレベルの高さなどを感じ、今後の課題などをリストアップしていることでしょう。ルイス・エンリケ期待の“第4のデランテロ”として入団したパコ・アルカセルの感想は、リーガとチャンピオンズの両方で先発デビューした手応え半分、惜しいながらもまだ無得点の悔しさ半分というところか。バレンシアの偉大な先輩ダビド・ビジャもまた適応には苦労したバルサですから、結果を残すのはそう簡単なことではありません。
ロッカールームに受け入れられて
先週土曜日(1日)のバルセロナ系スポーツ紙三紙(SPORT、MD、L’ESPORTIU)はどこも、このパコ・アルカセルのインタビューを“独占!”と称してメイン記事としています。選手が取材を受け付けた日の翌日には、よく見られる光景です。
うちSPORT紙は、パコが先週木曜から引っ越してきたというバルセロナの新居での取材に成功しています。バルサ選手は海辺の隣町に居を構えることが多いですが、アルカセルは Sarria Sant Gervasi という、サンツ駅から北に上がり、ディアグナル大通りを渡ったあたりの地区を選択。同じ高級住宅街に暮らす親友デニス・スアレスが、カンプノウに近いことからそこを勧めたのだそうです。
ということでパコのインタビューですが、今回取り上げますのはその豪邸訪問をしたSPORTではなく、シウター・エスポルティーバで立ち取材を行ったMDです。世界的ビッグクラブであるバルサの一員となった最初の感想を、バレンシアーノは次のように語っています。
「すごくいいよ。これだけ大きくて、唯一の選手たちがいるクラブへ来たんだから、最初は苦労して当たり前さ。でもそのチームメイトたちのおかげで、トレーニングや共同生活では全てが簡単になるわけで。チームメイトたちはみんな立派な人ばかりだし、僕ら(新入り)をすごく助けてくれてるよ。彼ら全員に個人として感謝をしているんだ」
「彼らは僕をメンバーの一人として扱っているよ。偉大な人物というのは特別な人たち、傲慢な人たちだと思われるかもしれないけれど、そうじゃない。彼らはとても謙虚で、だから僕は彼らの扱いにものすごく感謝をしている」
「一番仲が良いかは別にして、代表チームで馴染みの選手たちや、アンドレ(ゴメス)、デニス・スアレスと一緒にいる時間が長いかな」
そのうちゴールは決まる。必要なのは日々の努力
バルサの新加入選手たちが口を揃える“クラックたちの謙虚さ”。ロッカールーム内の雰囲気の良さは、パコにとっても適応する大きな手助けとなるでしょう。パコ・アルカセルはここまで5試合に出場し、惜しい場面は2度ほどあったものの、得点はまだありません。それに関して不安やプレッシャーはないのか。バルサの17番は言います。
「僕らデランテロがゴールに従っている(支配されている)のは明らかだけど、何故僕がここにいるかと言えば、クラブが僕の中になにかを見出したからだ。そのうちゴールは決まるよ。去年も僕は苦労をしたんだ。デランテロには勢いってのがあるから、最初のゴールが決まれば、あとはどんどん入るだろう」
「移籍金によるプレッシャーは感じてないよ。クラブが僕がここでやれると信頼したのは、僕のピッチ内での資質によるからであって、だから僕がすべきことは日々の努力だ。なにより僕は改善したいと思っているし、もっと良い選手となるためにするべきことを僕は全てやっていない」
「このレベルにあっては、あらゆる点を改善しなければならないと僕は思っているんだ。僕にはダメな点がたくさんあるし、好い点もあるけれど、ここのような大きなクラブに来たなら向上させることは幾つもある。そしてそれを達成させるのは、毎日のハードワークだよ」
「あと一歩でゴールだったのに、という時はガックリくるよ。バレンシアでも同じように、トップ昇格してからの初ゴールは苦労したんだ。1つめのゴールを決めたい。それによって解放され、より大きな自信となるからね。全試合でプレーするためには、自分自身への絶対の自信がないといけない」
新たな“言語”への適応、自らへの自信
2016年夏、ルイス・エンリケはルイス・スアレスに休養を与えられるだけの資質を備えた“第4のデランテロ”獲得に強くこだわっていました。バルサのトリデンテたちのレベルは非常に高いですから、ベンチ生活が中心になると予想される選手に3,000万ユーロを超える資金を投じるのはいかがなものか、と言われもしましたが、それでもアルカセルの実力を信頼し、バレンシアから彼を引き抜いた。そこにはミスターの高い評価が窺えます。
そしてパコ・アルカセルがバルセロナの重要なピースとなるために、ルイス・エンリケたちは彼に非常に気を配っているとMD紙は伝えます。ボルシア戦ではいきなり2トップで先発起用し、案の定機能しなかったことで自信を失いかねないじゃないか、と心配にもなりましたが、成果が出るには時間と忍耐が必要だと承知しており、厳しく求めすぎないなどして彼が下を向かないように精神状態に注意している模様です。
1日付けSPORT紙のコラムでは、アルベルト・マスノウ記者が「バルサではフットボルを再び勉強しなければならなかった」とするセイドゥ・ケイタの言葉を引用し、ラ・マシアを経ていない選手がバルサの言語を理解するのは本当に難しく、多くの選手が苦労する、苦労しながらも適応したケイタは一つのお手本であると述べています。幸い、ルイス・エンリケは彼を焦ることなく育てる計画のようですし、自らの可能性を信じハードワークを重ねていけば、パコがバルサにとって重要な選手となる日はきっとくるでしょう。ということで、我々ファンも忍耐強く声援を送りましょうぞ。では最後に、MD紙の中でのパコのコメントです。
「システムが何であれ、ミスターの欲することに適応しなければならないんだ。すさまじい資質の選手が集まるバルセロナでは特にそう」「ルイス・エンリケは僕がここへ居るための行動をすでに取ったわけだから、これからは僕が彼やクラブの信頼にお返ししないといけないね」
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